杉浦 嘉信(すぎうら よしのぶ)さん/古式三河仕込「愛桜」純米本みりん

COREZOコレゾ「伝統製法による本格みりんを復活し、さらなる飛躍を目指して焼酎醸造や『みりんスイーツ・プロジェクト』にも取り組む三代目」賞

sugiura

杉浦 嘉信(すぎうら よしのぶ)さん

プロフィール

愛知県碧南市

杉浦味淋株式会社 代表取締役

ジャンル

食づくり

三河純米本みりん製造

経歴・実績

 

動画 COREZOコレゾチャンネル

杉浦嘉信(すぎうらよしのぶ)さん/古式三河仕付け「愛桜」純米本みりん(その1)「継ぐ気のなかった家業を継いでみたら…」

杉浦 嘉信(すぎうら よしのぶ)さん/古式三河仕込「愛桜」純米本みりん(その2)「祖父の残した古式三河仕込配合」

杉浦 嘉信(すぎうら よしのぶ)さん/古式三河仕込「愛桜」純米本みりん(その3)「ネット購入リピーターが励みに」

杉浦 嘉信(すぎうら よしのぶ)さん/古式三河仕込「愛桜」純米本みりん(その4)「創業の原点を大切に、新たな挑戦」

受賞者のご紹介

杉浦 嘉信(すぎうら よしのぶ)さんが代表取締役を務める杉浦味淋株式会社は、みりん醸造で栄えた碧南でも数少なくなった伝統製法でつくる本来のみりんの醸造元である。日東醸造の蜷川社長にご紹介して頂いた。

伝統製法による本格みりんの復活と復権

ーいつ継がれたのですか?

「大正13年の創業以来、伝統製法によるみりん醸造にこだわってきましたが、時代の波には勝てず、相手先OEMによる安価なみりん製造が中心となってしまった時代がありました。」

「私は、酒類卸会社に務めていたのですが、父の勧めで家業を継いだ時には、経営的にはかなり厳しい状況に追い込まれていました。そこで、一念発起し、永年、培ってきた伝統製法による本格みりんの復活と復権を目指すことにしました。」

粕取の本格焼酎を使用するのが特徴

 

「私ども、杉浦味淋株式会社の『古式三河仕込 愛桜 純米本みりん』は、もち米、米麹、粕取りの本格焼酎のみ使用を使用し、もろみを60日余り低温で仕込み、槽で搾って、300日余りの長期熟成しているので、もち米を米麹で糖化した米本来の上品な甘みがあり、焼酎に粕取り焼酎を使うことで豊香も併せ持っているが特徴です。」

本格焼酎は、大別して、もろみ取焼酎と粕取焼酎のニつに分けられ、米麹もしくは麦麹に水と酵母を加えて発酵させたもろみ(一次もろみ)に主原料(蒸した米、麦、甘藷、ソバなど)を仕込み、発酵熟成させたもろみを単式蒸留機で蒸留して造ったのがもろみ取り焼酎で、清酒の副産物である酒粕をセイロ式蒸留機で蒸留して造ったのが粕取り焼酎と呼ばれる。粕取り焼酎は、蒸気の通りをよくするためもみ殻をまぜるので、これがこの焼酎の独特の風味のもとになっているという。

かつて、粕取り焼酎は九州北部を中心に発達し、全国の清酒蔵で製造されいて、清酒が醸造される地域で焼酎といえば粕取り焼酎のことであった。

独特の香りがあるため、戦後、嗜好が変って、需要が低迷し、粕取り焼酎の製造から撤退する蔵が相次いだが、近年、見直されて、復活の兆しがあるそうだ。

三河は、江戸時代からの酒どころだったため、この粕取り焼酎を利用した味醂づくりも盛んだったという。

「この伝統的な製法を守りながら、原材料や仕込みに工夫を重ねて、『古式三河仕込 愛桜 純米本みりん』と『愛桜 3年熟成 純米本みりん』をなんとか復活することができましたが、すぐに売り上げに繋がる訳ではありませんから、大都市圏の食料品フェアに出品したり、料理研究家の皆さんとコラボをしたりと、拡販に奔走してきました。」

みりんスイーツ・プロジェクト

「最近では、みりんの特性である照りと艶、そして風味豊かな天然の甘みを生かしたいという想いから、今の時代にも通じる新たな「みりん」の可能性をスイーツに使うことで伝えていきたいというあるパティシエがいらっしゃって、その方と手を組んで、『みりんスイーツ・プロジェクト』という試みにも取り組んでいます。」

「みりんスイーツ」の特徴は、天然醸造によって生み出されるまろやかで味わいの深い甘みで、甘いものが苦手な方にも親しみやすいスイーツになるそうだ。

ホンモノのみりんは、お酒として飲めるかどうかで見分けがつくと云われるように、江戸時代、高級な甘口のお酒として飲まれていたみりんは、リキュールのように使って風味付けに、煮つめれば甘いシロップ、ソース、キャラメルと幅広く応用できるらしい。

さらには、米麹の発酵によりもち米のデンプンを糖化する過程で生まれる多糖類から成るみりんの甘みは、ショ糖と果糖で構成される砂糖より複雑であるため、体内で分解されるのに時間がかかり、ゆっくりと血糖値が上がるので脂肪がつきにくくなるという。

角谷文治郎商店さんから、砂糖は使わず、みりんだけの甘みでつくったぜんざいは上品な甘さで美味しい、と伺っていたが、こちらも期待できそうだ。

杉浦さんの誠実なお人柄そのままのみりん

「古式三河仕込 愛桜 純米本みりん」を試飲をさせて頂くと、色が濃く、その色のイメージからか、少し黒糖のようなコクも感じて、とても濃厚で上品な甘さのみりんだ。「愛桜 3年熟成 純米本みりん」は、さらに濃厚で、甘さにも丸みと深さを感じた。

フェイスブックの書き込みを拝見していても、とても誠実なお人柄が伝わってくる。そのお人柄、そのままのみりんである。

「これからも伝統製法を守りながら、本来のみりんの美味しさを伝える取り組みにもチャレンジして行きたいと思っています。」と杉浦さん。

COREZOコレゾ「粕取り焼酎を使った伝統製法による本格みりんを復活し、さらなる飛躍を目指して『みりんスイーツ・プロジェクト』にも取り組む三代目」賞

※本サイトに掲載している以外の受賞者の連絡先、住所他、個人情報や個人的なお問い合わせには、一切、返答致しません。

COREZO(コレゾ)賞 事務局

初稿;2015.11.25.

最終取材;2015.6.

最終更新;2015.11.25.

文責;平野 龍平

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