堀田 雅湖(正子/ほった まさこ)さん

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COREZO「こめみそしょうゆ、とじゅもんをとなえ、日本の食文化を大切にするつくり手と食べる人のご縁を結ぶ、つなぎ人」賞

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プロフィール

フード&ホスピタリティコーディネータ

こめみそしょうゆアカデミー 理事・事務局長(おかみ)

総務省 地域力創造アドバイザー

社団法人 食品需給研究センター 食農連携コーディネーター

地域総合整備財団〈ふるさと財団〉 地域再生マネージャー

内閣府認定公益社団法人 全日本司厨士協会東京地方本部 常務理事

日本フードコーディネーター協会会員

日本ホスピタリティ推進協会会員

経歴・実績

愛知県に生まれ育つ

電気メーカーのシステムエンジニアとして社会人のキャリアをスタート

退職後、日本料理店で料理人として修業

名古屋市内のホテルに転職し、17年間勤務

婚礼、宴会予約に配属後、ホテル全般の企画・宣伝・イベント・広報などの職を経験

食体験を通して感動を提供するための基本になることを求めてフランスやイタリアなどの食教育の現場などを視察し、その体験から、食に関わる仕事を通じて食環境を見つめなおし、日本の食文化に関する理解を深めるためホテルを退職

ホテルでの経験を活かして、フード&ホスピタリティコーディネータとして東京を拠点に全国で活動中

受賞者のご紹介

堀田 雅湖(正子/ほった まさこ)さんは、フード&ホスピタリティコーディネータ他、数多くの肩書を持つ、「食」のプロフェッショナル。

2016年6月、日東醸造の蜷川社長から、りんねしゃの大島さんが企画した名古屋のデパートでの催事に協力しておられるという、堀田 雅湖(正子/ほった まさこ)さんを紹介して頂いた。

「これはなかなかおもしろい調味料で、お出汁をカレー風味に変えるスパイスです。是非、試食してみて下さい。」と、カネジョウの望月英幸(もちづき ひでゆき)さんのところに連れて行かれ、試食させてもらったら、これがなかなかイケる。

実は、出店しておられた店舗のいくつかは堀田さんが誘致したらしい。

現場で忙しそうにしておられたので、その時は、それ以上、話ができなかったが、蜷川社長や大島さんから伺った話だけでも面白そうな方だった。

で、日を改めて、お目に掛かり、お話を伺える機会を得た。

システムエンジニアから「食」の世界へ

― 堀田さんは元々、何をしておられたのですか?

親の勧めもあって手に職を付けようと、情報処理の勉強をして、電機メーカーに就職し、システムエンジニアになりました。システムエンジニアは、人と接する仕事と云う話だったのですが、研修が終わったら、一人ぼっちでクライアント企業に出されて、打合せ、ブログラミング等々で、残業続きの毎日でした。

2年間、勤めましたが、自分には向いていない職種でしたし、料理をするのが好きだったので、「食」に関する仕事がしたいと思い、退職して、日本料理店で料理人として修業を始めました。

社長も板長さんもとてもいい方で、料理学校も出ていないし、料理人の経験もない私にも親切に教えて下さり、徐々に上達すると、仕事も任せて下さり、経験の浅い私の意見も取り入れて下さいました。

元々、料理人になりたいということでもなかったし、私が調理するより、もっと上手な料理人はたくさんいらっしゃるのも実感して、料理に付加価値を付けるおもてなしの勉強をしたいと思うようになりました。

また、企画やプロデュースの勉強もしたいと思い、伝手を辿って、アルバイトで名古屋のホテルのバンケットオフィスの打合せの仕事に就き、ちょっと様子がわかればいいかな、と思っていたのですが、社員にならないか?と誘われて、そのまま、17年間勤務することになりました。

バンケットを5年やって、その後、企画・マーケティングの部門が一番長くて、最後は、管理職になって、バンケットに戻りました。当時は、バブルも終わって、ホテル業も一番厳しい時代でしたが、料理人の経験があったので、料飲部門の人たちとも上手くコミュニケーションがとれ、新たな企画の起ち上げにもいろいろ協力してもらえました。

それに、ホテル業界もIT化する時代だったので、SE時代の知識や経験も活かすことができ、重宝がられた面もありました。どこでどの経験が活きるかわからないですよね。

また、勧められてフードコーディネーターの資格を1期生で取得して、いろいろな会合に参加するようになりました。そこで、東京の食品メーカーやベテランのコーディネーターの方々と交流するうちに、自分たちは本当に付加価値の高い、いいものを提供できているのかという、疑問が沸々と沸いてきました。ホテルに戻り、料理人の人たちと議論をしたり、いろんな勉強会を開いたりしたのですが、企業・組織の仕組みの壁もあり、なかなか思うようには進まなくて、企業の中でやれる限界が見えてきました。

ホテル勤務からの独立

このまま定年まで働くか等々、その先のことを考えるようになり、職場環境は悪くはなかったのですが、新しいことを始めるなら、今の方がいいのではと思い立ち、退職することにしました。

― で、どうされたのですか?

フードコンサルやリサーチの会社を探して勤めるつもりで、東京に出て、ご縁があった栄養士の先生が料理本を出すからと頼まれて、半年ほど、それを手伝いました。その後、食関係のイベントを手伝ったりしているうちに、いろんな地域の生産者とも繋がるようになり、雇用促進のためのコミュニティカフェの立ち上げを手伝うようになりました。

それで、料理や店舗運営の指導をして下さる方を探していて、出会ったのが、愛知県碧南市の小伴天の長田さんで、そこから日東醸造の蜷川さんやりんねしゃの大島さんたちとも知り合いました。

こめみそしょうゆアカデミー

― こめみそしょうゆアカデミーとは?

まだホテルにいた2004年にフードコーディネーターの先生とイタリアのスローフードとフランスの食育事情を視察するツアーに参加した折に、その主催団体が、ある「食」に関する任意団体を立ち上げている、という話を聞きました。

その頃、私には日本食には深い思いもなく、食の原点とか、食育がどういうものかを知りたかっただけだったのですが、その任意団体の中で、「こめみそしょうゆアカデミー」という分科会も立ち上げる予定だ、という話もあって、辞めて東京に来ました、と連絡したら、お誘いを受けて、手伝うようになりました。

この「こめみそしょうゆアカデミー」って、ネーミングがいいから、みんなが飛びつくんですけど、動き出すと、思想が違ってきたりして、しっくりいかなくなって、2006年に「こめみそしょうゆアカデミー」だけが分かれて、独立し、私たちで新たにやり始めることになりました。メンバーの誰にも報酬が出ない、一種のボランティア団体ですね。

今、私たちは、四季折々の風土に根ざした食べものや生活、文化が忘れ去られようとしている現実の中で暮らしています。長い年月を経て、私たちの先人が築いてきたかけがえのない食文化は、一度、途絶えてしまうと、二度と取り戻すことができません。

日本の代表的な「食」である「米」や醸造調味料の「みそ」と「しょうゆ」が、「人」とどんな関係を持つことで、日本の食文化が育まれてきたのか?ということを見つめ直すことで、日本食の根幹にある本質を知り、日本の食卓の原風景を思い出し、あるべき姿を取り戻して、それらを伝え、もう一度育みたい、と思うようになりました。

― 具体的には、どのような活動を?

はい、つくる人と食べる人の双方が、日本の風土を振り返って、本物に触れ、旬の食材を意識することで、「気づき」の場や機会を一緒に創りたい、と願い、都市圏で、食のプロや消費者を対象に、地方生産者によるセミナーを開催しています。また、都市圏からの参加者を募って、地方の生産者を訪問し、生産現場での食・農体験を通じて、地域住民との交流を図りながら、地域資源を見直すツアー等を企画・運営しています。

2006年から、埼玉1回、滋賀1回、新潟3回、茨城1回、福井2回、静岡1回、計9回開催しました。

勝手に醤油サミット応援隊

例えば、2016年11月12日、13日に三河・碧南で「第7回醤油サミット」が開催されますが、その開催にあわせて醸造や発酵食文化の魅力を伝え、1人でも多くの方に日々の暮らしに気軽に発酵食を取り入れていただくきっかけ作りを応援する「勝手に醤油サミット応援隊」を「発酵食LOVEの愉快なメンバー」で結成しました。

ご存じのように、人口約7万人の三河・碧南市は、「白しょうゆ」の発祥の地と云われ、蔵元さんが3社もあります。中部圏では、基本の醤油に「溜まり」や「白しょうゆ」が家庭に3種類も常備されている、全国的にもとても珍しい地域です。

最近では、使い勝手の良さから「白だし」を愛用する方が、増えているようですが、その「白だし」の基本となるのが、「白しょうゆ」です。

三河発酵アカデミー(お江戸編)

そんな碧南が今年の「醤油サミット」のホスト地になったので、勝手に醤油サミット応援プロジェクトの第1弾、三河発酵アカデミー(お江戸編)として、「醸造の聖地・三河の発酵食文化にふれる 白しょうゆ編~三河・碧南発祥の白しょうゆの魅力を作り手から学ぶ~」と称し、この際、徹底的に碧南の「白しょうゆ」の魅力を深―く紹介しようと、「白しょうゆ編」を今年の5月から6月にかけて企画し、なんと贅沢にも、3社の社長様に1社ずつ上京いただき、東京の会場で、じっくり、たっぷり「白しょうゆ」の魅力を語っていただきました。

蔵娘とともに次代へつなごう!!日本の発酵・醸造食文化

また、「全国醤油サミット」開催にあわせて、11月13日には、徹底的に碧南の「白しょうゆ」の魅力とさらにそれ以外の醸造調味料もあわせて、三河の郷土の味わいを体験していただこうと、三河・尾張・讃岐の醸造蔵の蔵娘が勢ぞろい!!「醸造の聖地・碧南で蔵娘と語らい・味わう美味しい昼餉~蔵娘とともに次代へつなごう!!日本の発酵・醸造食文化~」を企画しています。

醤油、日本酒、みりんの蔵娘さん、3人にお願いして、発酵・醸造食文化豊かな日本で暮らしているからこそ、知っておきたい発酵・醸造調味料の魅力とそれぞれの醸造・発酵食に対する思いを語ってもらったあとで、小伴天の長田勇久さんのお料理で、三河・碧南の郷土料理や発酵・醸造調味料の新しい使い方やさらなる可能性を体感いただこうと思っています。

その他にも、2016年2月には、「第24回 おはなし・こみしょう」、「縁起良く2016年のこみしょう始めは、正月魚から~海人族の理想の地 西伊豆の鰹文化と暮らしを知る。~」を企画し、縄文時代からカツオとともに生きてきた街・伊豆の田子で伝統的な手火山式焙乾製法を継承し、昔ながらの手仕事を守り続けておられる方をお招きして、カツオとともに生きる街の独特なカツオの食べ方他をお話しいただきました。

―どれもおもしろそうですね?集客は如何ですか?

おかげさまで、全て満員御礼でした。

―でも、儲かりそうにありませんね?

ハハハハ、持ち出しの方が多いですよ。

大事なことを伝える地道な活動

― 大事なことを伝えるには、地道な活動しかありませんし、そんな活動をしておられるからこそ、皆さん、協力して下さるんでしょうね。その他にはどのようなことを?

いろいろあるのですが、新潟県村上市高根における山村再生プラン事業・「新技術を活用した高根の食文化発信プロジェクト」の支援(2008年)や青森県(2009年)の果樹農家の加工・業務用果実需要対応産地育成事業・「果実加工品の試作品製作等調査」の支援、和歌山県のフウドわかやまのサポーターとして他地域生産者及び加工者との連携を支援(2009年~)、静岡県沼津市のみかん農家グループと企業のCSR活動としての農業支援をコーディネート(2009年~2014年)等々、食や農産品を通じた地域活性化の仕事が多いですね。

それから、先ほども、少しお話しました、愛知県の障がい者によって運営されるカフェでの障がい者の適正・能力を生かした地域農産品の加工及び商品開発、メニュー開発などの支援(2009年)や青森県内のコミュニティカフェ事業(県内4ヶ所)の立ち上げサポートと担い手の人材育成(2009年~)、滋賀県東近江市・福祉モール・福祉支援型レストラン開業にむけての担い手人材育成研修(2011~13年)、長野県・南木曽町のコミュニティカフェの担い手人材育成と開業支援(2015年)等、来訪者にも喜んで頂ける、地域力を活かしたコミュニティカフェ等の施設の開業・運営支援にも力を入れています。

人材育成としては、農林水産省平成24年度6次産業推進中央支援事業「民間企業等派遣研修」による普及指導員研修(2012年)や茨城県の平成24年度農業学園販売・流通講座での講師(2013年)や鹿児島・奄美産業活性化協議会にておもてなし人材育成講座(2015年)他を担当しました。

その他、国土交通省「半島地域の価値創出支援調査」半島の価値創出プロジェクトでのアドバイザー(2012,2013年)や復興庁・「新しい東北」復興ビジネスコンテスト2015と2016の審査員(2015年、2016年)、総務省「地域力創造アドバイザー」(2016年~)他も務め、愛知県・蒲郡市地方創生セミナーでの「ふるさと名物づくり~蒲郡ブランドづくりのヒント~」(2015年)等の講演もお引受けしています。

日本の食文化の扉を開ける「じゅもん」

-大活躍ですね。今後は?

「こめみそしょうゆアカデミー」は、もう、私のライフワークのようなもので、決して、「こめ」や「みそ」、「しょうゆ」だけにこだわる会ではなく、ましてや、お金持ちやグルメが集う会でもありません。

「こめみそしょうゆ」は日本の食文化の原点であり、他の食材を組みあわせることで、食の楽しみや、食への興味が無限に拡がります。この言葉は、いわば、日本の食文化の扉を開ける「じゅもん」のようなものだと思っていただきたいのです。

このアカデミーでは、まだ私たちが出会えていない本物のおいしさを訪ね、食し、その地域の伝統や文化を学び、また、「たべること」と「つくること」を通して、食の作法や器、 おもてなしの心など、食をより楽しむモノ・コトを幅広く知りたい、と願っています。

世の中で話題になることを追いかけるつもりはないし、ご縁があって、本当にいいものを真面目につくっておられる生産者さんと繋がって、応援できることがあれば応援しよう、という感じなんですよ。

これからは、単に生産しておられるだけでなく、地域活動とか、地方の暮らしに関わっている人たちともっと繋がりたいですね。

そうして、楽しみながら「たべる」ことを学び、 そこで得た気づきを「いきる」ことに活かしていくことで、みんなで未来の食文化をつくっていければいいな、って思っています。

最後に目指すのは、学生寮とかの食堂のおばちゃん

でね、私が最後にやりたいのは、「おばちゃん、今日の○○美味しかったよ。」って、いわれるような、学生寮とかの食堂のおばちゃんなんですよ。

堀田さんに食べ盛り、育ち盛りの「食」を支えてもらったら、これからの日本を支えてくれる若者が育つかもしれない。

COREZO「こめみそしょうゆ、とじゅもんをとなえ、日本の食文化を大切にするつくり手と食べる人のご縁を結ぶ、つなぎ人」である。

文責;平野 龍平

最終取材;2016.08.

初稿;2016.11.

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