GMO遺伝子組み換え種とは?
美しいブルーのバラ、育種家にとっては長年の夢だったそうだが、バラには花を青色にする遺伝子はなく、遺伝子組み換え技術を使って日本の企業が作出したそうだ。
GMO遺伝子組み換え作物が世の中に登場して僅か20年足らずで、今や大豆に至っては、全世界の全世界の作付面積の79%がGMO遺伝子組み換え種になってしまったという。
GMO遺伝子組み換え作物という言葉は知っていても、それが具体的にどういう農作物なのかご存知の方は少ないのではないだろうか?
遺伝と遺伝子の基礎知識
遺伝子組み換え作物を理解するためには、最低限の基礎知識は必要。
https://corezoprize.com/seed-4-inheritance
https://corezoprize.com/seed-5-mendels-laws
GMO遺伝子組み換え種
で、そもそも、遺伝子組み換え作物って何?ってことだが、
遺伝子を人工的に組み換えた、自然界では生まれることのない農作物やそのタネのこと。
「遺伝子組換え」を指すGMは、「Genetic Modification」の略で、遺伝子組み換え種は、「genetically modified seed」、遺伝子組み換え食品は、「genetically modified food」、遺伝子組み換え作物は、GMO「Genetically Modified Organisms」で、遺伝子組み換え生物全体のことも指すそうだ。
遺伝子組み換え技術の歴史
まずは、その歴史から。
17世紀末〜
17世紀末から人工授粉による品種改良が始まり、19世紀にかけて、交配技術の研究が進む
1865年
メンデルが遺伝の法則を発見
20世紀以降
メンデルの法則に基づいて遺伝の視点から人工交配が行なわれるようになり、 科学的な品種改良が可能になる
1952 年
DNA が遺伝物質であることが証明される
1953 年
DNA の構造が二重らせんであることが解明される
1965 年
DNA の配列とタンパク質の関連性が判明し、遺伝暗号が解明される
1970年代
大腸菌を使った世界初の遺伝子組み換えに成功(米国)
人間の体内で作られるのと同じインシュリンを遺伝子組換え細菌に作らせることに成功し、糖尿病治療に使われるようになった。
植物の遺伝子組み換え技術の研究開発が始まる
1982 年
アグロバクテリウム法が確立し、植物で遺伝子組換えによる品種改良が可能になる
1984年
初の遺伝子組み換え作物としてタバコが開発される(米国)
1987 年
パーティクルガン法の確立
1992 年
ウィルス抵抗性タバコの登場/遺伝子組換え植物が初めて商品化される(中国)
1994 年
世界初の遺伝子組み換え農作物、フレーバー・セーバー(トマト)が商品化される(米国)
1996年
除草剤耐性、害虫抵抗性がある遺伝子組み換え作物が商品化(米国)
日本で初めて遺伝子組み換え作物が食品として認可される
1997 年
日本で初めての遺伝子組換え植物 、ムーンダスト(青色カーネーション)の商品化(サントリー)
2001年
日本で遺伝子組み換え食品表示制度スタート、厚労省が遺伝子組み換え食品の安全審査を法的に義務化
2002年
農水省が遺伝子組み換え飼料・飼料添加物の安全審査を法的に義務化
2003年
ブラジルで遺伝子組み換え大豆栽培認可、フィリピンでアジア初の遺伝子組み換えトウモロコシ作付け開始
遺伝子組み換え大豆の作付けが米国で8割に達する
遺伝子組み換え大豆を使った食品の販売が日本で始まる
2004年
カルタヘナ法施行
2005年
イランで世界で初めて遺伝子組み換えイネの商業栽培が開始
カルタヘナ法
カルタヘナ法とは、遺伝子組換え生物の使用形態を二種類に分け、それぞれのアプローチで生物多様性への影響を防止する目的で制定された、遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律。
その他、未承認の遺伝子組換え生物の輸入の有無を検査する仕組みや輸出の際の相手国への情報提供の方法等について定められているらしい。
165ヶ国及びEU(2013年5月現在)。しかし、遺伝子組換え作物の主要生産国である 米国、アルゼンチン、カナダ、オーストラリア等は非締約国。
第一種使用
生物多様性への影響がないと承認された遺伝子組換え生物だけが、食料や飼料などの運搬、農地での栽培など、開放系で使用できる。
第二種使用
環境中への拡散を防止するために定められた方法で、実験室や工場内などの閉鎖系(拡散防止措置の下)で使用できる。
参考
http://www.bch.biodic.go.jp/cartagena/index.html
まとめ
遺伝子組み換えの研究開発は、遺伝子構造の簡単な細菌類から始まり、次に、より高度な植物が対象になった。細胞の遺伝子を組み換える技術そのものより、遺伝子を組み換えた「細胞」を元の生物に戻す次術の方がはるかに難しいらしい。
また、遺伝子組み換えなどのバイオテクノロジーを用いた作出は、タバコ・ジャガイモ・トマト・ペチュニアなどのナス科のような成果を得られやすい作物がある一方で、小麦などの穀類では難しいそうだ。
日本では比較的拒否反応が低そうな花から開発が始まり、自然界では生まれてこなかった青いバラを開発したのも日本の企業である。当初は、厳しく拡散防止策が取られていたが、カルタヘナ法で第一種使用が認められ、現在は開放系で栽培されているそうだ。
遺伝子組換え作物の主要生産国である 米国、アルゼンチン、カナダ、オーストラリア等はカルタヘナ法の非締約国であり、いくら厳しく規制したところで、扱う人の良心に委ねた規則のようで、なんだか、ザル法のような気がしてならない。
そういえば、花卉類は食品ではないので、農薬がかけ放題だという話も聞いたことがある。
もちろん日本でも農作物での遺伝子組み換えの研究開発は行われているようであるが、遺伝子組み換え農作物の商用栽培は未だ行われていないとのこと。
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COREZO (コレゾ)賞 事務局
初稿;2015.06.02.
編集更新;2015.06.02.
文責;平野龍平
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