種タネの話4、F1種や遺伝子組み換え種の話の前に、遺伝とは?

F1種や遺伝子組み換え種の話の前に、遺伝について

遺伝と云えば、中学か高校の時に学んだ「メンデルの法則」であるが、そもそも遺伝とは何ぞや?から始めた方がよさそうだ。

そもそも遺伝とは?

遺伝とは、ある生物の姿形や、性質を(両方合わせて「形質」と呼ぶ)親から子に受け継ぐことでであり、生物は遺伝子を親から子に受け渡すことで、その形質を子孫に伝えている。

細胞

細胞とは、全ての生物体を構成する基本単位で、さまざまな形を持つが、基本的な形は球状で、生物は単細胞生物と多細胞生物に分類される。全ての細胞は細胞膜で覆われており、その中には核があり、核の周りは細胞質で満たされ、小胞体、ミトコンドリア、リボソームなどの細胞小器官が点在する。

核内には1~2個の核小体と小粒子状の染色質が散在しており、細胞分裂期には染色質は染色体となるが、染色体の中には遺伝に関係するDNAが含まれることから、核は遺伝情報の格納場所となっている。

核が膜に包まれているかいないかによって、真核細胞と原核細胞に大別され、原核細胞をもつのは細菌や藍藻類の原核生物だけで、それ以外のすべての生物は真核細胞をもち、真核生物と呼ばれる。

真核細胞のうち、植物細胞には、動物細胞に無い細胞壁、葉緑体、液胞があるが、動物細胞にも、葉緑素を持つ植物細胞を取り込んで共生しているものがあるそうだ。

参考

http://www.hi-ho.ne.jp/tomiyo-de/new/origin_of_life.htm

DNA、染色体、遺伝子、ゲノムとは?

DNA:遺伝情報が書き込まれた物質

染色体:DNAがコンパクトに折りたたまれた物質

遺伝子:DNA上のその生物の遺伝形質を決定する部分(情報)

ゲノム:ある特定の生物が持っている全ての遺伝情報の1セット分(情報)

DNA(デオキシリボ核酸)

DNA(Deoxyribo Nucleic Acid・デオキシリボ核酸)とは、デオキシリボースという糖を含む核酸(酸性の化学物質)のことで、遺伝情報を記録している物質で、その形状に特徴があり、2本の長い鎖が平行にねじれあって、二重らせんの形状をしている。

「塩基」、「糖(デオキシリボース)」、「リン酸」と呼ばれる化合物が一つずつ結合している状態がDNAの最小単位で、ヌクレオチドと呼ばれていて、このヌクレオチドがリン酸を媒介につながって1本の鎖のようになり、この1本の鎖の「塩基」ともう1本の鎖の「塩基」同士がさらに結びついて、二重のらせん状の形状をつくっている。

「塩基」には「アデニン(A)」、「グアニン(G)」、「シトシン(C)」、「チミン(T)」の4種類があり、各最小単位にはこの内のどれかが結合していて、AはTとのみ、GはCとのみ結合するので、2本の鎖の結合部は必ず常に「T・A」、「G・C」の2種類の塩基がペアになり、2本の鎖の間にサンドイッチされた形で延々と並んでいるのである。

このペアで並んでいる「塩基対」の並び順こそが生物を形づくるのに必要な遺伝情報の暗号のようなもので、DNAの長さは塩基対の数で表し、並び順は「塩基配列」と呼ばれる。

これによって、全ての生物種の違い、同じ生物種の中の個体の違いが決まるので、「生物の設計図」とも云われている。

染色体

通常、DNAは細胞核の中で糸状にほどけて存在しているが、細胞分裂時には、DNAがヒストンと呼ばれるタンパク質に巻き付き、さらに折り畳まれて生成された棒状のDNAとヒストンからなる物質が染色体であり、1本の染色体は1本のDNAに対応している。

ヒトの場合、一つの細胞の中に22対の常染色体と1対の性染色体があり、性染色体は女性では2本のX染色体なのに対し、男性ではX染色体とY染色体の異なる染色体になっていて、Y染色体が性別を決めるカギを握っていると考えられている。

また、染色体という名称は、ギムザ液というアルカリ性の色素でよく染まるところから付けられたそうだ。

遺伝子

DNA上のその生物の遺伝形質を決定する設計図のような情報=遺伝情報であるタンパク質の作り方を記録された部分のこと。

ヒトの場合、「背が高い、低い」、「顔が小さい、大きい」、「一重、二重まぶた」等の個別の形質を決める部分のこと。

ゲノム

ある生物のDNAに記録されている全ての遺伝情報、その生物の設計図全体のこと。

細胞内の染色体の数は、生物の種類によって異なり、高等動物、高等植物の場合、同じ染色体が対で存在するので、一つの細胞に染色体のセットが2セット入っている。

ヒトの場合、22対の常染色体(全部で44本)と、1対の性染色体(全部で2本。女性はX染色体2本、男性はX染色体とY染色体)が核の中に入っていて、このうちの1セット(22本の常染色体とXかYの性染色体)の中に入っているすべてのDNAをヒトのゲノム、ヒトゲノムと呼ぶ。

ヒトをはじめ主な生物は、有機物であるタンパク質でできているため、新陳代謝しないと腐ってしまうので、細胞分裂によって、一つの細胞が分裂して2個以上の新しい細胞をつくり、古い細胞を破棄することで個体を維持していている。

ヒトの細胞分裂時には、新しい細胞は、2セット、計46本の染色体のコピーを受け取るが、ヒトなど多くの生物の場合、オスとメスが減数分裂によってそれぞれの半分である1セット分の染色体を生殖細胞(卵子と精子)に渡し、その互いの遺伝子を半分ずつ受け継いだ子孫が生まれるので、子は、父親由来のゲノムを1セット、母親由来のゲノムを1セット、合計2セット持つことになる。

ヒトのDNAには、約2万2千個の遺伝子があるが、それは、DNAの全情報の僅か数%に過ぎないという。しかし、それ以外の大部分の「遺伝子でない部分」には、「遺伝子」が働くときの制御に必要な情報や未だ解明されていない情報が記録されていて、複雑に相互依存しあっている遺伝子の働きの調節をするなど、生物が正常な生命活動を維持するための重要な役割を担っているそうだ。

有性生殖では、受精で精子と卵子が合体して、新しい染色体2セット46本をつくる時に長大な染色体は裂けやすいため、遺伝子情報は機能単位に短くして分納し、遺伝子部分が裂けるリスクヘッジをしているとも考えられられている。

こうして、子は両親の遺伝子を受け継いでいる。

参考

http://www.mls.sci.hiroshima-u.ac.jp/smg/education/DNA.html

https://www.nhk.or.jp/kokokoza/tv/seibutsukiso/archive/resume008.html

まとめ

ヒトの場合、DNAは、眼球や赤血球を除く、身体を構成している全ての核を持つ細胞の中にあるそうで、人間の細胞は60兆個あると云われているから、DNAも60兆個あることになる。

人間の身体はタンパク質でできていて、その元であるアミノ酸は身体の各部位の細胞でつくられるので、タンパク質の作り方を記録された遺伝子とそれを制御する情報が記録されたDNAが全ての細胞に必要なのだそうだ。

なんとなく学んだ記憶があるだけでほとんどか忘却の彼方に…。

根本的なことがわかっていないと、F1種や遺伝子組み換え種のことも理解できていなかったことも多く、学生時代もっとベンキョーしておいたらよかった、と反省しきり。

ここまで、間違った理解をしていたら、ご教授願います。

関連記事

https://corezoprize.com/seed-3-hybrid

https://corezoprize.com/seed-2-tomato

https://corezoprize.com/seed-1-komatsuna

 

初稿;2015.05.23.

編集更新;2015.05.23.

文責;平野龍平

 

コメント