曳家さんってご存知?曳家さんだから知っている建築業界の裏側とは?

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曳家さんだから知っている建築業界の裏側とは?

長野県須坂市、金田 勝良(かねた かつよし)さん、晃典(あきのり)さん親子

曳家さんは、建築業界のまさに縁の下の力持ち。家を建てる予定のある方は、建築業界の裏話が満載で、必読。

金田 勝良(かねた かつよし)さん
COREZO(コレゾ)「建物が発する音に耳を傾けて、よく相談し、徹底して基本に忠実だから失敗しない、曳家職人親子」賞 金田 勝良(かね...

曳家さんとは?

「簡単にいうと、建築物を解体せずにそのままの状態で別の場所に移動する仕事ですね。水平に移動するだけでなく、低い位置にあったのを高い位置に移動するのもやりますし、地盤が悪くて、基礎が下がったのを持ち上げて修復したり、地震等で傾いたのを直したりするのも曳家の仕事です。最近では、歴史的建造物の維持保存するための依頼も多いです。」

盛り土と切り土には注意すること

「2〜3年前にやったのは、新築だったのですが、切り土と盛り土にまたがって建てちゃったんでしょうね、建前が始まるとだんだん加重が掛かって、盛り土の方が下がり始めて、完成した頃には、一方だけ30cmも下がってしまったという現場がありました。」

「上げた後、どうするのか尋ねると、キャスターっていうプラスチックの支え棒のようなのを基礎と柱の間にかまして、それまでの基礎の外側に型枠を作り、コンクリートを流し込んで新しい基礎を打つ、とか言ってましたが、ウチは曳いただけなので、その先はどうしたのか知りません。」

盛り土;元の地盤に盛り土をした土地、切り土;元の地盤を削った土地

建築業界分業制のワナ

「ハウスメーカーさんって、営業と設計、現場監督も大工や職人も皆んな担当が違うじゃないですか?連絡の不行き届きだったんでしょうね、南と北を逆に建ててしまったらしく、社内でもめたものの、全部解体して組み立てたら、再利用できない材料ばかりなので、曳いてくれって依頼があったんですが、さっき言ったように、音の出ないプレハブ住宅は、開いちゃったら絶対に戻らないし、なるべくやらないようにしているので、お断りしました。」

「同じような話が年に1回ぐらいあるんですよ。分業でしょ?自分の分担の責任しか考えていないから、誰も北側に居間の窓がある図面を見ても疑問にも思わないし、完成まで任せっきりで一度も見に行かない施主さんもいるらしいですよ。」

業者任せにせず、施主も図面を確認すること

「前の家を建てた当時は車もなかったので、道路に面して、横に1台分しか駐車スペースを確保していなかった施主さんが、建て替えに際して、セットバックして道路に面して縦に2台分駐車できるように依頼したのに、業者が横にも駐車できないぐらい道路ギリギリに建ててしまったらしいんです。」

「当然、話が違うとなって、業者から30cm奥に曳いてくれって頼まれたので、全て準備して持ち上げました。そこに施主さんが見に来られたので、30cm動かすのも、1m動かすのもおなじだから、奥にスペースがあることだし、お好きなだけ曳きますよ、と親切心で伝えたら、その業者から、オタク、どこから仕事を頼まれたんだ?って電話があって、それでピンと来て、余計なこと言って申し訳ありませんでした、と謝りました。」

「要は、基礎の全面やり替えとか水廻りの配管移動とかしたくなかっただけなんですよ。結局、30cm移動しただけで、施主さんは車も置けず、そこの現場監督はクビになって、その会社も倒産しちゃいました。」

客の足元を見る業者

「新潟の地震の直後も、国交省だかに頼まれて、調査に行きましたし、また、東北の震災の時には、家が傾いて困っている人がいるんで助けて上げて下さい、って知り合いから頼まれて、行きたくても行けないので、電話で色々アドバイスをしました。その後、同じ方から電話があって、千葉の業者が来てやってくれたそうですが、高価な水平器を買ってきて、当ててみると、あと1cmぐらい上げると水平になるので頼んでも、これ以上上げると家が壊れるってやらないらしいんですよ。」

「それで、建てた時に平らだったら、あと1cmぐらい上げたって何の問題もないから、もし、壁が落ちたら工事代は全部支払うし、何かあったら親戚筋の建築関係の者が見に来てくれることになっているから、あなたたちも男なら、やってみてくれ、って言いなさいって、やらせたら、何の問題も無く持ち上って、水平になったそうです。何だかんだと言って、お金目当てだったんでしょうね。震災で困っておられるのにとんでもない業者ですよ。」

まとめ

古くてもいい建物を残していくには、曳家の仕事は欠かせない。

プレハブやハウスメーカーの家、現代工法の家は、曳家できないことが多い。

曳家を知らない工務店も多いので、曳家は曳家さんに。

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COREZO (コレゾ)賞 事務局

初稿;2015.05.11.

編集更新;2015.05.11.

文責;平野龍平

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