山上 議貴(やまがみ のりたか)さん/天然醸造杉桶仕込み北伊醤油

COREZOコレゾ「福岡県糸島で、丸大豆・小麦・塩のみを原料に、昔ながらの杉桶仕込みで長期発酵熟成する天然醸造醤油づくり」賞

yamagami

山上 議貴(やまがみ のりたか)さん

プロフィール

福岡県糸島市

有限会社北伊醤油 製造部

ジャンル

食づくり

醤油製造販売

経歴・実績

受賞者のご紹介

ネットで醤油のことを調べていて、北井醤油さんを見つけた。電話で見学させてもらいたい旨を伝えると、気持ち良く受けて下さり、ご案内下さったのが、山上 議貴(やまがみ のりたか)さんだった。

北伊醤油のある糸島市は福岡県の西部の糸島半島に位置していて、博多から車で約3〜40分、佐賀県唐津市に向かう途中にある。

到着早々、杉桶が並ぶ仕込み蔵をご案内頂いた。

北伊醤油の名前の由来

ー創業は?

「明治30年(1897年)に、創業者の山上倉吉(やまがみ くらきち)が、現在の福岡県志摩町船越で、しょうゆの製造を始めました。当時、山上倉吉は村人から各家の敷居をまたぐ際に念仏を唱えることやその人柄の良さから、本名の倉吉ではなく、別名「仏の伊三郎(ほとけのいさぶろう)」と呼ばれていました。」

「当時の船越村は北組、中組、西組の三つの区割りがあり、倉吉は北組に属していました。 それから、「仏の伊三郎さん」から「北組の仏の伊三郎さん」に、そして、湧き水に恵まれたこの地で、しょうゆ醸造の製造を行うにあたり、屋号(やごう)を村人から呼び親しまれた「北組の仏の伊三郎」の「北と伊」を使い「北伊醤油」となりました。」

天然醸造

「当社の醤油は、蒸した大豆を手作業で丁寧にほぐして、晩秋から冬に仕込みます。もろみを木桶に仕込んで、二年半かけて、四季の移り変わりに任せて自然のままの環境で発酵・熟成させます。微生物の働きにより、乳酸発酵から酵母発酵への醤油の発酵熟成の過程をたどって、醤油の旨みや香りがつくり出されます。これがいわゆる天然醸造の工程です。」

「発酵状態にあわせて、四角い板がついている櫂棒(かいぼう)で、もろみに空気を送り込む攪拌作業を行いますが、これも伝統を守ってきた職人の技が継承されています。」

「こちらの桶は昨年仕込んだもので、そちらは3年目になります。色の違いがお分かりでしょうか?仕込んだ当初の色は、薄い黄土色で、味も塩のカドがあり、豆の味が目立っていますが、2~3年の熟成・醗酵が進行するにつれて、大豆の形がだんだんなくなり、色も濃い茶色になり、味も奥深いまろやかな味に変わります。」

「発酵を終えたもろみを絞るために槽(ふね)という木枠で囲んだ大きな箱の中で、圧搾濾布に包み、丁寧に積み重ねていきます。 これを一晩置いて自然の重みで搾り出し、最後は、圧搾機で搾り、生醤油と醤油粕と呼ばれる固体の部分に分けます。」

「生醤油の発酵を防ぎ、醤油の香りを引き立てるため、大釜で醤油を高温沸騰をしないように『炊く』火入れ作業で加熱殺菌を行い、風味や醤油独特の香りを保ち、約1週間冷却タンクに寝かして不純物のにごりを取り除いた後、ガラス瓶に詰めて商品になります。」

37本ある杉仕込桶

ー杉の仕込桶はいくつあるのですか?

「今ある桶は大正時代に作られたと聞いていますが、全部で37本あります。当社の看板商品である純もろみしょうゆ杉樽4年半熟成無添加『特醸』と純もろみしょうゆ杉樽4年半熟成無添加『特吟』は全てこの杉の仕込桶で仕込んでいます。試供品をご用意致しますので、是非、味見をなさって下さい。」

九州独特のあの甘い醤油ではなく、「特醸」はもちろん、「特吟」も素晴らしい醤油だ。しかも、とても良心的な価格設定なのである。

早速、「特醸」を買い求め、受賞のお願いをした。

山上 議貴(やまがみ のりたか)さんは現社長の息子さんで、主に製造を担当し、お兄様の弘司さんが主に営業を担当されているそうだ。

思いがけず、いい醤油屋さんと後継者兄弟に出会うことができて、嬉しい気分で帰路に着いた。

COREZOコレゾ「福岡県糸島で、丸大豆・小麦・塩のみを原料に、昔ながらの杉桶仕込みで長期発酵熟成する天然醸造醤油づくり」である。

※本サイトに掲載している以外の受賞者の連絡先、住所他、個人情報や個人的なお問い合わせには、一切、返答致しません。

COREZO(コレゾ)賞 事務局

初稿;2015.11.25.

最終取材;2015.11.

最終更新;2015.11.25.

文責;平野 龍平

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