目次
COREZOコレゾ「当たり前のことを当たり前に続けること、次の世代に責任を持てるものづくりを受け継ぐ、若き7代目」賞
河原 泰彦(こうばら やすひこ)さん
プロフィール
福井県大野市出身、在住
合名会社河原酢造 7代目
ジャンル
食づくり
酢造メーカー
経歴・実績
会社沿革
1823年 初代、河原屋庄三郎醸造開始
1930年 法人化 合名会社 河原酢店となる
1986年 大蔵省もろみ製造免許を取得
1993年 純米酢 老梅 低農薬米仕込を醸造開始
1996年 純米酢 老梅 無農薬米仕込醸造開始
1999年 本社を現住所に移転。合名会社 河原酢造と改称
2001年 有機JAS認証取得
老梅 有機純米酢製造開始
2006年 本社工場を増築
2008年 老梅 特別栽培米仕込み純米酢製造開始
受賞者のご紹介
越前大野の志の高い酢造メーカー
2013年6月、大津の「山岡けんこう舎」に伺った際、山岡さんに「前に福井にいいお酢があると言うてはりましたよね?」と尋ねると、「そうそう、河原酢造さん、ウチの息子のヨメさんの親戚のおばさんが、働きに行ってはるねん。ボクも酢造所見たいから、一緒に行こか?」ということだったのだが、7月某日、結局、山岡さんは急用ができて、ご一緒できなくなり、福井インターで降りて、トボトボと越前大野に向かった。
越前大野には初めて訪れたのだが、福井県の東部、九頭竜川の上流に位置する県下最大の面積を持つ行政区分で、市街地はかつての城下町の面影が強く残っていて、越前の小京都として知られているらしい。確かに小高い山にお城が見え、古そうな造り酒屋や商家が並び、人口3万数千とは思えん規模の商店街が続いている。
市の東部から南部にかけて両白山がそびえ、特別豪雪地帯に指定される程の豪雪地帯で、良質な湧き水が数多くあることから、「名水と朝市のまち越前おおの」として、水の郷百選(みずのさとひゃくせん)に選ばれているらしい。古くから、その名水を利用した日本酒、味噌、醤油他の醸造業が盛んだったそうだ。
大野市やその観光協会のサイトを調べたのだが、ひと言で大野市の特徴を説明しているような項目が見当らない。ま、大体、地方行政、観光協会のサイトはこんなもんだ。一体、誰のために開設してるのやら・・・?えっ、住民?ん、観光客は来るなちゅーこと?どっちにしても、ユーザーフレンドリーなんて全く考えていない。ま、どーでもええけど・・・。
ナビ頼みで、市街地から少し外れた田んぼのまんなか?にある河原酢造にたどり着いた。
「こんにちは」と、ドアを開くと、見るからにめっちゃ好青年が、見るからにめっちゃ笑顔で応対して下さった。ここに来る前に、訪問した名酒で有名とかの酒蔵で、「何しに来やがってん!」ぐらいの勢いで、愛想笑いのひとかけらもない、めっちゃ気分のええ対応をして頂いたばかりだったので、さらにググッと好感度がアップしたのは言うまでもない。
頂いた名刺を拝見すると、「合名会社河原(こうばら)酢造」の河原 泰彦(こうばら やすひこ)さん、「ん?若大将?」と尋ねると、「いえ、7代目です。」とのこと。創業文政6年、ぶんせい・・・?1823年?ちゅーことは、200年近い歴史をお持ちということだ。
古くから行なわれている本来そうあるべき酢造り続けているだけ…
ー 山岡さんからええお酢をつくってはると聞いて来たんですが・・・?
「いいお酢かどうかは、お客様にご判断頂くことですから何とも言えませんが、近年では、酢の醸造も工業化が進んで、ウチのような造り方をしているところは少なくなりました。それも理由のひとつだと思いますが、『こだわりのお酢』とか言って頂いたり、よく取り上げて頂くようになりました。」
「ただ、ウチは、何か特別なことをしているという意識はなくて、代々伝わって来た、古くから行なわれている本来そうあるべき酢造りを続けているだけです。」
古くから行なわれている本来そうあるべき酢造りとは?
「酢は、いろいろな穀物や、果実から造ることができますが、ウチは、米酢だけを造っています。原料は100%国産米です。それも、どちらも化学合成肥料は全く使用せず、『無農薬』で栽培された『有機米』と『減農薬』で栽培した『特別栽培米』のみを使っていて、それぞれを原料にした、『老梅 有機純米酢』、『老梅 特別栽培米仕込み純米酢』という2つの製品のみを製造、販売しています。」
「米酢も穀物酢のひとつなんですが、米酢は米の使用量が40g/l以上のもので、穀物酢は、小麦、トウモロコシなどの穀類の使用量が40g/l以上のものとJASの品質表示基準で規定されています。リンゴ等、果実から造るのは果実酢ですね。」
実際にスーパー等の店頭で売られているごく一般的な穀物酢の原材料には、「小麦、米、コーン、アルコール、米こうじ」、米酢の原材料には、「米、アルコール」と表示されているが、河原酢造の「老梅 有機純米酢」は、「有機栽培米」のみである。
で、何でアルコール?となる訳だが、ご存知の方はご存知と思うが、酢はアルコールからできる。
醗酵と腐敗の違いとは?
ー 栓を抜いた日本酒を放っておくと酢になるのは、空気中の酢酸菌が作用するのですか?
「もちろん空気中には酢酸菌もいるのですが、酢になるというより雑多な菌が繁殖するんですね。酸っぱくなるのは酢酸菌だけでなく、乳酸菌の影響もあります。醗酵の概念は説明が難しいのですが、有用な菌を純粋に管理・培養したものが醗酵、不要な雑菌が繁殖してしまうと腐敗でしょうか。酒が腐ると酢になるというような言い方をされることも多いのですが、醗酵と腐敗の差を解って頂きたいですね。」
原材料として使われるアルコールとは?
原材料として表示されているアルコールは、日本酒等に添加される醸造用アルコールと同じもので、蒸留精製されたエタノールのようだ。これは、サトウキビから作られているというが、実際には、サトウキビを搾り、「糖蜜」から「砂糖」を生成した後に残る「廃糖蜜」というのを醗酵させてつくられるそうだ。
ちなみに、サトウキビからつくっていると謳ってる巷の「うまみ調味料??」も、この「廃糖蜜」からつくられているという。この「廃糖蜜」でネット検索すると、今の化学技術はスゴイというか、ん?そりゃ知らなんだ、えっ?なんじゃそれ?というような、オモロイ情報がワンサカ、ヒットするので、興味のある方は、各自でお調べ頂きたい。
米の使用量が40g/l以上の意味とは?
で、米の使用量が40g/l以上というのはどーゆー感じなのか、ちゅーのも調べてみた。米だけで酢1リットル作るためには最低でも120グラム必要だとのことで、とゆーことは、あとの2/3は何やねん?何で、一番よーさん使ってる原材料をトップに書けへんの?となる。原材料割合もその割合順の表記もなんも義務づけられてへんのでせうなぁ。どっかの都合と利権のにほいがプンプンしまんなぁ。
老梅の原料比率は150g/lも使っているとのこと。酢造と酒造を単純には比較できないが、ちなみに、純米酒の原料比率は、白米換算で、500g/lだそうだ。
7代目の話に戻る。
米酢づくりは酒づくりから
「米から酢を造るには、まず、『酒』を造ります。酒蔵は、ここではなく、実家にあるのですが、『酒』は、三段仕込みと呼ばれるわが国古来の製法で、手作業で行なっています。その『酒』をもう一度醗酵させると、酢になります。」
以前、ある酒蔵の社長さんから伺った説明によると、米のデンプンを麹の酵素が糖に分解し、その糖を酵母でアルコール発酵させて、酒になるそうな。
酒造りの過程で、乳酸菌を利用して乳酸をつくり(乳酸そのものを加える製法もある)、その強い酸性により、有害な雑菌を死滅させ、酵母を純粋に培養して大量に増殖させたものを酒母(しゅぼ)といい、文字通り、酒の元となる。酉ヘンに元という漢字で、「もと」とも呼ばれるらしい。
三段仕込みとは?
次のもろみづくりでは、酒母(しゅぼ)に大量の麹・蒸米・仕込み水を加えて、酵母を増殖させながら、発酵を進めるのだが、一度に加えると、酵母密度と酸濃度が一気に薄められて、雑菌の繁殖に都合がよい環境になるため、酒母に対して倍々に増量して、3回に分けて入れることで、酵母密度と酸性度をコントロールし、雑菌の増殖を抑えながら、酵母は増殖させて、活発な発酵を促す仕込み方法を三段仕込みというそうだ。
酢造に使う酒は飲んでもおいしくない⁉︎
「私たちの蔵で造っている『酒』は、酢の原料に適した品質を追求しているので、飲んでもおいしくありません。飲んでおいしい『酒』は、酒造りの酒蔵さんのお仕事ですし、飲むお酒の米の精米歩合は70〜65%、大吟醸になると50%以下まで磨きますよね。それに対して私たちが仕込む米の精米歩合は90%程度なんです。」
私たちが普段食べている白米の精米歩合も90%前後だそうだ。
「その理由は、お米の表面部や胚芽の部分には、タンパク質、ミネラル、脂肪などが多く含まれていて、酢の原料になる酒造りの過程でアミノ酸が生成され、調味料としての酢のウマ味となります。しかし、飲むための酒造りでは、それらが、嗜好品としての香味や色合い、風味に影響する原因にもなるので、高いお酒ほど、精米して、お米の中心部分のデンプン質のみを使うのです。」
100%米からつくった米酢には、人間の体内では生成できない天然のアミノ酸が多く含まれる
ー ということは、原料に醸造用アルコール(エタノール)の割合が多い酢はうまみ成分が少ないってことですよね。で、なんか入れたりして・・・。
「ハハハハ、それは知りませんが、ウチでつくっているような100%米からつくった米酢には、人間の体内では生成できない天然のアミノ酸が多く含まれています。」
数少ない原料酒から醸造している酢造メーカー
ー 原料酒から醸造している酢造メーカーってたくさんあるんですか?
「現在、酢を生産しているメーカーは、弊社も含め、江戸末期の創業が多いのですが、当時、酒粕からアルコールを得て、そこから酢を造るという製法をある酢造メーカーが開発し、それに倣ったところが多いのです。」
「粕から造る技術が確立されたおかげで、食べる米をやっとのことで確保していた時代に、酢が一般庶民にも使われる調味料となったのですが、厳密にいうと酒造の経験がある酢造メーカーは少ないと思います。それもどんどん減っていて、今では数える程しか残っていないのではないでしょうか。せっかくいらしゃったのですから、醸造工場もご覧下さい。」と、工場を案内して下さった。
工場であの「酢」の匂いがほとんどしないワケ
もっと、あの「酢」!の臭いがするのかと思いきや、ほとんどしない。
「もちろん、工場内の衛生管理を徹底していることもありますが、米酢の香りは、化学合成された酢酸なんかと比べると、ずっとマイルドで、ツーンとした酸味や鼻を刺す匂いはありません。しかし、米酢には、『ムレ臭』と呼ばれる特有の匂いがあります。これを嫌う方もいらっしゃって、ウチでは、どうすればおいしく召し上がっていただけるか、工夫を重ねて来ましたが、答えは、吟醸の技にありました。原材料の吟味から、発酵行程の管理まで、お米の状態、仕込む季節、温度、湿度によって、全て手作業で行うことで、香りのいいお酢に仕上げています。」
確かに、スーパー等の店頭で売られているごく一般的な穀物酢と米酢を比べると、穀物酢にはツンと来る理科室の酢酸の匂いを最初に感じ、米酢の方は、あのにほい、ほら、あれですよ。中学時代、学校行事で、梅雨時、靴を脱いで上がらなアカン、あの体育館の・・・、ウヘッ、オモイダシタクナイ、オモイダシタクナイ。
ところが、「老梅 有機純米酢」の栓を開けると、食欲をソソル爽やかなかほりが・・・。
昔ながらの静置醗酵とは?
「ウチは、昔ながらの静置醗酵でつくっています。酒蔵で仕込んだ酒をこちらの工場に運んで、タンクに入れ、酒のアルコール分を酢に変える酢酸菌を植えて、酒が酢に変わるのをひたすら待ちます。」
「表面醗酵ともいわれていますが、酢酸菌は、空気に接している部分でしか働かないので、このタンクでは表面のみ、空気に触れているところでしか醗酵をしていません。最初だけ醗酵し易い温度にヒーターで温めるのですが、醗酵が始まると発熱しますので、醗酵槽の中では、自然と対流が起きます。表面が入れ替わって、発酵し、また、循環して、お酢がゆっくりと出来上がっていきます。」
「このタンク1本分、5,000lが全て酢に変わるのに約3ヵ月掛かりますが、そうして時間をかけることによって、お酢にまろやかさや味わいが醸し出され、上品な風味の製品に仕上ります。」
「このタンクは仕込んで間がないのですが、表面には、酢酸菌膜がはっているのがご覧頂けるでしょ?それから、徐々にアルコールを酸に変え、醗酵が進み、その過程で形質が変化します。仕込みタンクで新たに醗酵をはじめる際には膜の一部をすくい取って、移植します。だから、酢酸菌は新しく仕入れたり、作ったりしなくていいんですよ。」
今や主流になった速醸法とは?
「今では、速醸法が開発され、大規模な生産工場では、ほとんどがその製法で作られています。先程もご説明したように、酢酸菌は、空気に接している部分でしか働かないので、タンクの中に大量の空気を送り込み、プロペラ等で撹拌して細かい泡をつくり、空気と接する面積を大きくすると、瞬時に醗酵が進むので、あえて1週間ぐらいかけるメーカーもあるようですが、数時間から1日程度で大量に酢をつくることも可能です。深部醗酵とも呼ばれますが、安いお酢はだいたいこの製法で作られていると思います。」
「ウチで作っているお酢と比べると、味が淡泊でコクや旨みに欠けるように感じますが、どちらを好まれるか、それは、消費者、お客様次第ですね。」
「で、醗酵の終了した酢は、米のたんぱく質や醗酵菌の影響で濁っているので、何重ものフィルターと自然由来の珪藻土の濾過剤を使って不純物を取除いて、瓶詰めし、検査を経て、出荷します。」
『老』は長期熟成、『梅』は伝統の酸味料を表す
ー 老梅というのは梅のお酢ですか?
「いえ、先程も申し上げたように、ウチでは、米酢だけしかつくっていません。『老』は長期熟成、『梅』は伝統の酸味料を表していて、梅を使っている訳ではありません。」
安全性、秀逸な風味、そして、お求め易い価格
「父は、若い頃からヘソまがりで、何か他人とは違ったやり方をしなければ気がすまないところがあったようですが、今は、当たり前のことを当たり前にやり続けられる事こそが尊いのではないかと考えるようになりました。食品の製造に求められる第一の要件は安全性で、次に、風味が秀逸であること。最後に、お求め易い価格。この三つの条件をクリアすることを私たちの目標にしています。」
「まず、安全性ということでは、今は、毎日の生活に必要な品物が、どこで、誰によってつくられたかを知るのは困難な時代になりました。有名ブランドの商品なら、常に安全で、名の通ったお店で買えば絶対間違いないと言えるかというと、残念ながらそうではない現実に消費者の皆さんも気づき始めています。では、一体、何をもってその商品が信頼に値するかを判断したらよいのかということです。」
製品に責任と誇りを持ち、説明義務を果たすこと
ー COREZO(コレゾ)賞・財団を始めたのもそういうことからで、公的認証や公的基準が必ずしも消費者の立場に立った規格ではないことを生産者の皆さんから教えて頂きました。最終的には、生産している人が信頼できるかどうかではないでしょうか?
「確かにそうですね、私たちは、誰が原料米を栽培したのか、誰が醸造責任者なのか、全て個人名まで明らかにすることにしました。当社の製品がお客様に使って頂いている限り、製品に責任と誇りを持ち、説明義務を果たさなければならないと考えています。当社のWebサイトをご覧頂ければ、出来る限りの情報を公開しているのをご確認頂けると思います。」
「また、私どもでは、公的認証制度も否定するのではなく、有機JAS認証等も積極的に取得して、もっと上のレベルを目指したいと考えています。」
自社で原料米の有機無農薬栽培を始めた
「私は、醸造とは全く関係のない大学に行って、卒業後、新潟の農業法人で2年間お世話になり、有機農法を学び、冬の農閑期には、造り酒屋で酒造りを学び、福井に戻りました。」
「せっかく、米づくりを学んだのだから、原料の米から作ってみたいという思いもありまして、有難いことに、この大野で田んぼを借りることができ、昨年から米づくりを始めています。もちろん、無農薬、有機栽培です。」
良質な水が醸造業には欠かせない大事な要素
「次に風味が秀逸であることに関しては、原材料を厳しく吟味していることと、手間を惜しまない醸造工程に関しては、先程、ご覧頂いた通りですが、さらに、海抜1,500m級の山々に囲まれた大野盆地の地下は巨大な水ガメのようになっていて、いつでも良質な地下水を利用できるこの大野の環境も、私たち醸造業には欠かせない大事な要素なんです。」
原材料を厳しく吟味して、手間を惜しまないのに、良心的な価格設定
ー 京都に似ていますね?越前の小京都と呼ばれるのはその辺のこともあるかも知れませんね。で、最後のお求め易い価格ということなんですが、そこら辺のスーパーで水より安く売られている大量生産、大量販売のお酢と比べて、確実に高価であろう原材料を何倍も使って、90倍以上の時間と手間ひまをかけて作っていたら、100倍以上の値段で売らないと採算が取れないでしょ?
「ハハハハ、いくらいいお酢だと評価して頂いても、1本1万円もするようなお酢は誰も買って下さいませんよ。ナントカやって行けるギリギリの価格設定で販売させて頂いていますが、それでも4倍ぐらいしますよ。」
ー 有難うございます。100倍以上のモノが4倍なら、全量買い取らせて頂いて、10倍ぐらいで販売させて下さい。
「ハハハハ、せっかくなんですが、ご案内した通り、ウチでは、原料を有機米及び、特別栽培米に限定していることと、醸造に時間を要するため、残念ながら、年間140klほどしか生産できません。おかげさまで、生産が追いつかない状態でして…。」
ー そりゃそーでしょ、生産者側でやれることはやれるだけやっておられて、その上で、とっても良心的な価格設定なんですからね。
COREZO(コレゾ)賞・財団の趣旨をご説明して、受賞のお願いをしたところ、快く承諾して下さった。当日、ご紹介頂けなかったが、工場で先頭に立って作業をされていたのは代表者のお父さまだとお見受けした。また、買い求めた「老梅 有機純米酢」の領収書を書いて下さったのはお母さま?と拝察したのだが・・・、(正解!だとのこと)。
おいとまする時には、すっかりお昼休みになり、せっかくだから越前そばを食べて帰りたいので、美味しいお店を紹介して欲しいと、お願いしたところ、親子3人で親身に考えて、教えて下さった。そんなご家族がつくっておられるお酢が美味しくないはずがない。
「オイッ!コラッ!見習わんかい!、なんぼのもんかしらんけど、たかだか造り酒屋のしょーもないオッサンが、らそーな態度しやがって、むかつくんじゃ、おかげで印象の悪くなった越前大野が一気に逆転したんじゃ、河原さん親子に礼をゆーとけ、礼を、オラッ!」と、その造り酒屋の方角に向かって、ココロの中でチョビットだけつぶやいたったゾ、ガハハハ。
「ウチの工場は鰻の寝床のようでしょ?実家の方にある工場が手狭になって、最初に瓶詰め工場と出荷作業場ができて、その後に、酢の醸造所を作りました。次は、酒造所を移します。」
ー 築百年以上の酒蔵を潰すのはモッタイナイですね。
「ええ、そうなんですが、老朽化が進んでいるのと、衛生管理の問題もあり、仕方ないかなとも思っています。」
ー 今年、古民家再生でも有名な富山の大工棟梁の島崎英雄さんにも受賞していただきますので、一度、話をしてみて下さい。
「そうですね。有難うございます。」
COREZO コレゾ「当たり前のことを当たり前に続けること、次の世代に責任を持てるものづくりを受け継ぐ、若き7代目」賞である。
COREZO (コレゾ)賞 事務局
初稿;2013.08.01.
最終取材;2013.07.
編集更新;2015.03.15.
文責;平野 龍平
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