中村 健二(なかむら けんじ)さん

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COREZO「ゴミをダイヤモンドに!?規格外品や未利用品を酵素技術で高付加価値商品に換え、地域を活性化する知産智将(商)」賞

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中村 健二(なかむら けんじ)さん

プロフィール

フードランド・グループ 代表取締役社長 中村健二

株式会社日本果汁(京都、愛媛、東京、静岡)取締役

三ヶ日町観光協会 会長

奥浜名湖商工会 理事

JAみっかび 三ヶ日みかん協議会 副会長

ステキみっかび発信プロジェクト 事務局長

浜松市北区地域協議会 委員

三ヶ日町経営者同友会 副会長

経済産業省 地域資源産業活用事業 認定企業

JAPANブランド認定 三ヶ日ブランド国際化協議会 会長

334C 三ヶ日ライオンズクラブ 幹事

遠州Bぐる 代表

遠州コロッケ楽会 副会長

三遠南信ふるさとB級グルメ委員会(FBI) 会長

みっかび映画応援団 事務局長

NPO絆塾 理事

経歴・実績

1979年 関西大学

1983年 州立ハワイ大学

2006年 株式会社フードランド代表取締役に就任。

三ヶ日町観光協会理事に就任

2007年 経済産業省地域資源活用事業認定

2012年 経済産業省JAPANブランド認定

2013年 農林水産省中南米日系農業者支援交流事業委員

内閣府地域活性化伝道師

受賞者のご紹介

以前、日東醸造の蜷川社長から、「みかんの名産地の静岡県三ヶ日にみかんを酵素技術で皮ごと丸のまま液化する会社があって、そこの社長がおもろいおっちゃんで、そのペーストを使って、みかん酢をつくっただがみゃ~」という話を聞いて、興味を持っていたのだが、その中村社長にお目に掛かる機会を得た。

静岡三ヶ日はみかんの名産地

―関西生まれの関西育ちなので、みかんと云えば、和歌山、愛媛なのですが、来る途中、みかん畑だらけで、ここ三ヶ日もみかんの名産地なんですね?

そうです。三ヶ日町は、年平均気温約16度、温暖で日照量が多く、みかん栽培に適していて、中部や関東では知らない人はいないと思いますが、全国有数の高品質なブランドみかん産地です。年間出荷量は約3万5千tあり、市町村単位では、日本一の生産量を誇っている地域で、三ヶ日町の住人の多くがみかん生産に関わっています。

9割は、地域ブランドを守るために廃棄

実は、年間総生産量は35万tぐらいあると推察されますが、間引きのため摘果されるほか、台風や大風で皮に傷が付いたもの、日当たりの関係で色付きが悪いもの、形が不揃いなものなどの選外品、規格外品も捨てられ、最終的に出荷されるのは、A級に選別された全体の1割ほどのみかんだけが地域の農協に出荷され、残りの9割は、地域ブランドを守るために廃棄されているのです。

それは、生産者にとっては当たり前のことで、農協も何の問題意識も持っていませんでした。

出荷されず、消費されず、結果として廃棄されるB級品ですが、当然、販売されるA級品と同じ生産コストがかかっています。つまり、B級品ミカンの生産コストも、そのまま上乗せされて、消費者に購入してもらっているのが実状で、大量の廃棄みかんは、環境問題にもなっていました。

私の自宅の周りもみかん畑に囲まれており、ある日、家内が「廃棄するから持っていってもいい」と云われたと、抱えきれないぐらいのみかんを持って帰って来たのですが、食べてみると美味しく、十分食べられるのに廃棄されるのはもったいない、と思うようになりました。三ヶ日で生まれ育った私も、みかんは買うものではなく、いただくものだったので、感覚がマヒしていたのです。

ジュースづくりに使われる規格外のみかん

―選外品は、ジュース等に加工されるのでは?

ジュースづくりに使われる規格外のみかんは、年間4千tほどにすぎません。というのも、A級品の農協出荷価格に対して、ジュース用は、僅か1/30程度にしかならず、運搬賃も出ないのに、ジュースと同量の搾りかすが発生し、その処理費用を含めると全く採算に合わないため、生産量も増えませんでした。

酵素でみかんを丸ごとペースト化する技術

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―酵素でみかんを丸ごとペースト化する技術とは?

当社の本業は食肉卸業で、硬い肉を食べやすくするために、酵素を使用して食肉をやわらかくしていましたが、その技術の応用を思いつき、その技術を開発した方に相談して、何度も試行錯誤を繰り返し、使用する酵素とその使用時間や温度を工夫し、みかんを丸ごと酵素によってペースト状に溶かしてしまう技術を開発しました。

実はね、米国産牛肉の関税が下がって、日本で普及し始めた頃に、硬い肉を酵素技術で柔らかくできることを知っていた私は、その酵素技術で柔らかくした米国産牛肉を売り込むために、各所でイベントを仕掛けて、大評判になりました。食感の良さを出すには、酵素処理する時間が重要なのですが、ある日、酵素処理をしているのをうっかり忘れて、長時間放置していたら、肉が液化してしまったのです。それを思い出したのが、きっかけなんですよ。

低温加熱殺菌でみかんを殺菌し、皮のまま液状化させるので、100℃以上で消滅してしまうみかんに含まれる天然のビタミン類も、85℃の低温で瞬時に加熱殺菌することで、そのまま摂取することができます。

丸ごと液状化みかんの最大の特徴

近年、カロテノイドの一種で、温州みかんに特異的に、特に皮に多く含まれるベータクリプトキサンチンという成分には免疫力を高める効果があり、動脈硬化など生活習慣病の予防に役立つという研究結果も発表されていて、実際、三ヶ日町の住民に健康調査をしたところ、みかんをたくさん食べている人は動脈硬化などのリスクが低く、骨粗しょう症にもなりにくいというデータも出ていて、身体にも嬉しい成分を失うことなく、摂取できるのです。

さらに、この丸ごと液状化みかんの最大の特徴はその風味で、皮に多く含まれる天然の香気成分(精油分)がそのまま液化抽出されるため、果汁だけのものにはない、独特の風味が出ます。この風味は苦味に当たるのですが、糖度の高い三ヶ日みかんに皮の苦味が加わると、他の材料の味や香りに負けることがなく、加工品に幅広く使える調味液として利用でき、汎用性も格段に広がりました。

当初、地元の人たちは、興味を示さなかった

―「三ヶ日みかんピューレ」が世に出たのは?

2007年です。でもね、当初、農家、農協をはじめ、地元の人たちは、あまり興味を示してくれませんでした。みかんが余りにも身近すぎて、生果を売るものと云う固定観念もあって、2次利用で広がるマーケットを想像できなかったんでしょうね。

それでも、開発したピューレを手に、国内外の展示会やメーカーに何度も足を運んだり、営業を重ねるうちに、地元の菓子店が三ヶ日みかんピューレを原料にしたお菓子をつくってくれるようになり、少しずつ加工原料として使われる機会が増えていきました。

「三ヶ日みかん少年純情派オレンジソース」がヒット商品に

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もちろん、自社での商品開発も進めていて、2011年、みかんが丸ごと3個分入ったドレッシング、「三ヶ日みかん少年純情派オレンジソース」を完成させ、知り合いのホテルにこのドレッシングの試用を依頼したところ、評判を呼び、ヒット商品になりました。

加工品に幅広く使えるという意味では、このオイルサーディンには、風味付け、隠し味として、三ヶ日みかんピューレが使われています。

みかん生果は12~2月限定でしか売り上げが立ちませんが、このペースト化技術を開発したことにより、通年商品になり、今までのジュース用よりはるかに高値で仕入れているので、農家の収入増にも寄与していると思います。

皮ごと処理するため、いくら洗浄しても残留農薬が気になる方もいらっしゃるかと思いますが、地元の農家も無農薬栽培に取り組むようになりました。

事業開始当初は、何かと風当たりも強かったのですが、当時の経産大臣や銀行出身のコンサルの方々の後押しもあり、2008(平成20)年に経済産業省の中小企業支援ではトップランクの「地域資源活用事業」に認定されてからは、風向きが変わり、協力者も増えて、それ以来、急拡大を続けています。

―具体的には?

三ヶ日みかんだけでなく、静岡県袋井市で栽培されている高級メロンのクラウンメロンや静岡県産のイチゴ「紅ほっぺ」、南アルプス寸又峡川根の柚子、伊豆の無農薬黄金柑などもピューレ化し、大手メーカーの製品にも多く使われています。

抹茶アイスに使われている抹茶も酵素技術でピューレ化

当社が開発した商品ではありませんが、あの有名な高級アイスクリームの抹茶アイスに使われている抹茶も酵素技術でピューレ化したもので、全世界に輸出されています。

―酵素液化技術はあらゆる場面で応用できると思いますが、今後の展開は?

搾りカスを出さず、かつ省エネで液状化し、メーカーに販売するするビジネスを始めています。大手食品メーカーや飲料メーカーを初め、コンビニチェーンにも、その商材は広まっていて、最近では、果物だけでなく、玉ねぎやジャガイモなど、様々な野菜にも、応用されています。

「知産智商」〜規格外品や選外品、過剰生産品、未利用農畜水産物の再活用〜

みかんでも、摘果された青みかんなのですが、「早摘み青みかん」を使った、「早摘み青みかんポン酢」やみかんの花を液化して、リネンウォーターなども開発しました。

また、ふぐの腹身を液化した「腹身エキス(コラーゲン成分抽出後の液体・食品加工に使用)」や枝肉を液化し、フリーズドライした「牛肉パウダー(ポテトチップス等の調味に使用)」等、様々な分野に拡がっています。

傷がついたメロンや柿などの果物、出荷されない形が不揃いな野菜や果物、人参やブロッコリーの葉、鰹の内臓や鰻の頭…。これらの産業廃棄物を食品原料・工業原料、医薬品からエネルギー資源の分野まで、多岐に亘って様々な高付加価値商品に生まれ変わらせるという、夢のような話が、私たちの技術により、果実、野菜、水産、畜産等、あらゆる場面で採用され、動き始めています。

―規格外品や選外品、過剰生産品、未利用農畜水産物の再活用の道を切り開いておられるってことですね?

そうですね。私は知産智商と呼んでいますが、規格外品や未利用品に丸ごと分子を壊さず溶かす技術を用いて、高付加価値商品群を創造する、ということです。

企業は、地域の為にあり、企業はその利益を地域に再投資して、地域を盛り上げる責務を負っていると考えています。

弊社の利益は、地域の「農業」や「経済」に直接的に再投資することで、少子高齢化や限界集落、消滅の可能性が高い地域の増加で、疲弊している日本の地方活性化に貢献できると確信しています。

―内閣府の地域活性化伝道師や三ヶ日町観光協会の会長も務めておられますよね?

ハハハハ、肉屋のオヤジが三ヶ日町観光協会の会長もやっています。たまたま、亡くなった先代社長の父が、地域のいろんな役をしていったので、私にもお役が回ってきていまして、他にやってくれる人がいなかったので、諸先輩方から使い勝手のいい私がご使命を受けただけですよ、ハハハハ。

これからの三ヶ日町は自分たちでつくる

私は、1960年生まれで、同級生は約150人いたのが、現在、この町に残って仕事を継いだりしているのは11人だけですよ。出生数、人口も減少していて、20年、30年後、子どもたちがこの町に残って、農業や商売をしているか?と考えたら、三ヶ日は、この先、どうなっていくんだろうと思うんです。

そんな不安を抱いている地域の皆んなと「それならば、これからの三ヶ日町は自分たちでつくればいいじゃないか!」と立ち上げたのが、「ステキみっかび発信プロジェクト」(SM@Pe:スマッペ)です。

三ヶ日の未来を明るく元気にしたいという熱い気持ちを持った2~30代中心の若手メンバーと一緒に、イベントを企画したり、活性化の担い手である地元の人材と地域資源を紹介する三ヶ日のPR映画を作製したり、観光と結びつけたみかんのブランド発信などを行っています。

「幻の戦車」調査プロジェクト

―「幻の戦車」調査プロジェクトって?

ハハハハ、終戦間際、本土決戦に向け、陸軍の切り札として「四式中戦車『チト』」という戦車が造られたらしく、三ヶ日が面する猪鼻湖(いのはなこ)に沈んでいるという都市伝説と云うか、田舎伝説があるんですよ、ハハハハ。その調査活動を通じて、地域の子供たちに戦争の記憶と町の歴史を継承し、「国内に1台しか残っていない幻の戦車」ネタを情報発信することで、観光客誘致と地域活性化を目論んでいます。

ゴミをダイヤモンドに換える

―中村社長の取り組みはどこの地域でもマネできますよね?

その通りです。当社は、「ゴミをダイヤモンドに換える会社」だと自負していますが、どこの地域にも利用されずに放置されているもの、廃棄されているものが山のようにあるはずです。放置すればゴミの山ですが、アイデア次第で宝の山に変えることも可能なのです。

ヒントは、いつも何げなく見ている日常の風景の中に

ヒントは、いつも何げなく見ている日常の風景の中にあります。私の場合は、スーパーの棚に並んでいる商品や百貨店の売り場や名店街から、地域ブランド化を思い付きました。

三ヶ日みかんは、地元では珍しくも何もありませんが、世間では、既にブランドみかんとして知名度があります。その知名度を活かして、品質の良さを加工品にも付与し、付加価値をつければ、差別化が図れ、購買の後押しになるのではないか、それが売れれば、町も地域の人々も元気になると信じ、がむしゃらにやってきました。

当社は、まだまだ、無名でちっぽけな会社ですが、今、可能性は無限に拡がっています。しかし、この事業は、基本的には社長の私が1人で手がけており、やりたくてもできないことも多いのが実状です。今後、信頼のおけるビジネスパートナーや仲間になってくれる新しいメンバーと共に、さらなる可能性を探り、文字通り、「ゴミをダイヤモンドに換える会社」として、広く訴えかけていきたいと思います。

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中村社長は、一見して、エネルギッシュでパワフル、バイタリティーが溢れ返っていて、初対面から、2時間半、マシンガントークを聞かせて頂いた。こういう方がどんどん増えれば、日本は地方から元気になっていくだろう。

COREZO「ゴミをダイヤモンドに!?規格外品や未利用品を酵素技術で高付加価値商品に換え、地域を活性化する知産智将(商)」である。

文責;平野龍平

2016.08最終取材

2016.11初稿

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