目次
醤油の格付け「特級」「上級」「標準」って何だ?
下記の記事に関して、日東醸造の蜷川社長から「細かく見ると実にわかりにくい。」というご指摘があった。
https://corezoprize.com/administrative-order
まず、監督官庁と思しき農林水産省が定める醤油の定義と規格
http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/c_propanol/soysauce.html
https://www.soysauce.or.jp/gijutsu/pdf/kikaku_33.pdf
実際、監督官庁のWebサイトの内容をいくら読んでも、とてもわかりにくいのである。
お役所の文章には、消費者に理解してもらおうという意志は全く感じられない。消費者に向けての情報発信ではなくて、「責任の明確化=責任逃れ」と山田脩二さんのおっしゃるのもよく分かる気がする。
実際、JAS規格のしょうゆ格付に疑問を感じ、辞退した伝統的な製法を守る醤油メーカーもあるようだ。
醤油業界団体のWebサイト
「ゆーてることとやってることが違うやん?」と突っ込みどころ満載なのである。
大前提として、古来、伝統的なしょうゆづくりの原材料は、大豆(使わない、あるいはほとんど使わないしろしょうゆもある)、小麦、塩、麹、水だけだということ。そして、伝統的なしろしょうゆづくりをしているのに、大豆を一切使わない日東醸造の「しろたまり」は、現在のJAS(日本農林)規格では、「しょうゆ」と表示できないことに疑問を感じている。
しょうゆの表示等に関する醤油業界申し合わせでも、大豆を使わないしろたまりにダメを押すように、
しょうゆの日本農林規格第2条の文中『大豆(脱脂加工大豆を含む。以下同じ)若しくは大豆及び麦、米等の穀類(これ に小麦グルテンを加えたものを含む)を蒸煮その他の方法で処理して、こうじ菌を培養したもの (以下「しょうゆこうじ」という。)』とある。このことから大豆はしょうゆの必須原料となる。よって、大豆を全く使用しないものにあっては、一括表示の名称欄に「名称 こいくちしょう ゆ(本醸造)」等と、しょうゆ品質表示基準に定める記載はできない。
となっている。
「しろたまり」のような大豆を一切使わないしろしょうゆをつくっているメーカーは1社しかなく、少数派や例外は、監督官庁にとっても業界団体にとっても邪魔者扱いなのであろう。
以前のコラムにも書いたので、重複するところもあるが、巷に出回っている「しょうゆ」が一体どういうものなのか、一消費者、一生活者の立場から、再度、確認し、整理しておきたい。
https://corezoprize.com/soy-sauce
しょうゆの種類
こいくちしょうゆ(全出荷量中約84%)
最も一般的なしょうゆ。塩味のほかに、深いうま味、まろやかな甘味、さわやかな酸味、味をひきしめる苦味を合わせ持っています。調理用、卓上用のどちらにも幅広く使える万能調味料。
うすくちしょうゆ(全出荷量中約12%)
関西で生まれた色の淡いしょうゆで、国内生産量のうち1割強を占める。発酵と熟成をゆるやかにさせるため、食塩をこいくちより約1割多く使用。素材の持ち味を生かすために、色や香りを抑えたしょうゆ。炊きあわせやふくめ煮など、素材の色や風味を生かして仕上げる調理に使われる。
たまりしょうゆ(全出荷量中約2%)
主に中部地方で作られるしょうゆ。とろみと濃厚な旨味、独特な香りが特徴。古くから「刺身たまり」と呼ばれるように、寿司、刺身などの卓上用に使われるほか、加熱するときれいな赤身が出るため、照り焼きなどの調理用や、佃煮、せんべいなどの加工用にも使われる。
さいしこみしょうゆ(全出荷量中約1%)
山口県を中心に山陰から九州地方にかけての特産しょうゆ。他のしょうゆは麹を食塩水で仕込むのに対ししょうゆで仕込むため、「さいしこみ」と呼ばれる。色、味、香りともに濃厚で、別名「甘露しょうゆ」とも言われ、刺身、寿司、冷奴など、おもに卓上でのつけ・かけ用に使われる。
しろしょうゆ(全出荷量中約1%)
愛知県碧南市で生まれ、うすくちよりもさらに淡い琥珀色のしょうゆ。味は淡泊ながら甘味が強く、独特の香りがあります。色の薄さと香りを生かした吸い物や、茶わん蒸しなどの料理のほか、せんべい、漬物などにも使用される。
https://www.soysauce.or.jp/syurui/index.html
しょうゆの製法
ややこしい定義が並べられているが、一消費者として読んだ通り勝手に解釈した。
本醸造方式(全生産量の約80%)
原料にアミノ酸液(酵素分解調味液や発酵分解調味を含む)は使えないが、タンパク質の分解を促進させるセルラーゼという酵素は使用可
混合醸造方式(同約4%)
もろみの段階でアミノ酸液(酵素分解調味液や発酵分解調味を含む)を加えて醸造する。セルラーゼ使用可
混合方式(同約16%)
本醸造しょうゆまたは混合醸造しょうゆにアミノ酸液(酵素分解調味液や発酵分解調味を含む)を加えてつくる
各方式の違い
原料にアミノ酸液(酵素分解調味液や発酵分解調味を含む)を使えるか否かと使用する段階の違いだと云っていいだろう。
こいくちしょうゆに使用できる原材料
しょうゆの種類毎に若干異なるが、他もほぼ同様。
食品添加物以外
- 大豆(脱脂加工大豆を含む)
- 小麦、大麦及びはだか麦
- 米
- はとむぎ
- 小麦グルテン
- 食塩
- アミノ酸液、酵素分解調味液及び発酵分解調味液(本醸造方式以外)
- 砂糖類
- アルコール、焼酎及び清酒
- 米発酵調味料、醸造酢、みりん及びみりん風調味料
食品添加物
甘味料 カンゾウ抽出物、サッカリンナトリウム、ステビア抽出物及びD-ソル ビトール
着色料 カラメルI、カラメルIII及びカラメルIVのうち1種
保存料 安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル及びパラオキシ安息香酸ブチルのうち3種以下
増粘安定剤 キサンタンガム、グァーガム及びデキストランのうち2種以下
酸味料 クエン酸、クエン酸三ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、酢酸ナトリ ウム、L-酒石酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム、氷酢酸及びDL- リンゴ酸ナトリウムのうち3種以下
調味料 アミノ酸 DL-アラニン、グリシン及びL-グルタミン酸ナトリウム
調味料 核酸 5’-イノシン酸二ナトリウム、5’-グアニル酸二ナトリウム及び 5’-リボヌクレオチド二ナトリウムのうち2種以下
調味料 有機酸 クエン酸三ナトリウム、コハク酸、コハク酸二ナトリウム、酢酸ナトリウム、L-酒石酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、フマル酸一ナトリウム及びDL-リンゴ酸ナトリウムのうち2種以下
調味料 無機塩 塩化カリウム
製造用剤 D-ソルビトール
日持向上剤 アルコール及びチアミンラウリル硫酸塩
pH調整剤 乳酸
JAS(日本農林規格)のしょうゆ格付規定
しょうゆの種類毎に、特級、上級、標準に区分され、それぞれに含有する全窒素分(うまみ成分)、無塩可溶性固形分(エキス分)、直接還元糖(しろしょうゆのみ)の容重割合の規格値と「しょうゆの標準色」に照らした色度が規定されている。
その中でもっとも重要とされるのが、「うまみ」の指標となる全窒素分で下記のように規定されている。原料として「うまみ」を小麦より多く生成する大豆を少量しか使わないしろしょうゆは、「エキス分」、「ブドウ糖分」が重視されるようだ。
JAS(日本農林規格)のしょうゆ格付規定
- 「特級」(濃口:1.5%以上、淡口:1.15%)
- 「上級」(濃口:1.35%以上、淡口:1.05%)
- 「標準」(濃口:1.2%以上、淡口:0.95%)
JASの他に日本醤油協会が定めている基準
- 「超特選」:特級の20%増し(濃口:1.8%、淡口:1.38%)
- 「特選」:特級の10%増し(濃口:1.65%、淡口:1.265%)
これ以外の「濃厚」「特吟」「特製」「上選」等の呼び方は、メーカー毎の自主的な格付であり、明確な基準は定義されていないとのこと。
そもそも、添加物の使用可能上限割合(量?)が規定されていないのは何故?アミノ酸系のうまみ調味料を添加すれば、全窒素?の指標は上がるのではないか?日東醸造さんもそうしていれば問題はなかったのでは?
全窒素分(うまみ成分)とは?
大豆(タンパク質分約35%)や小麦(タンパク質分約13%)に含まれるたんぱく質が、麹菌の酵素で分解され、うまみ成分である約20種類のグルタミン酸などのアミノ酸が生成される。アミノ酸を形成するアミノ基には窒素が含まれるため、全窒素分=うまみ成分とされている。
無塩可溶性固形分(エキス分)とは?
糖分、酸分、アミノ酸などの成分が溶け込んでいる固形分を「可溶性固形分」と呼び、この「可溶性固形分」から塩分を除いたものが「無塩可溶性固形分」である。
直接還元糖(しろしょうゆのみ)とは?
直接還元糖とは還元糖を示し、ブドウ糖は還元力(酸化され易い性質があり、相手の物質から酸素を奪って還元する力)があるが、砂糖やソルビットは還元力が無い。この還元力を利用して純ブドウ糖分を測定できる。糖液中に存在するぶどう糖(還元糖)の割合を示すものを直接還元糖という。つまり、ブドウ糖の含有量を示しているものと思われる。
ならば、消費者にもわかりやすくブドウ糖含有量とするべきだろう。
しょうゆの甘味は、小麦に多く含まれる炭水化物(67~75%)が醸造中にブドウ糖に変化して生まれる。しろしょうゆの甘みが強いのは、大豆は少量で小麦が主原料であるためと考えられ、その特徴である直接還元糖の規格が設けられていると思われる。
格付け等級別アミノ酸液等使用の可否
さいしこみしょうゆ以外のしょうゆ
特級には、製造方法に「本醸造方式によるものであること」という規定があり使用できないが、その他には規定がなく、使用可。
さいしこみしょうゆ
特級には、製造方法に「本醸造方式によるもの 又は混合醸造方式によ るものであること」、アミノ酸液等の使用割合(混合醸造方式によるものに限る。)に「20%以下であること(製品の全窒素に対する割合)」という規定があり、その範囲で使用可、その他には規定がなく、使用可。
本醸造方式とアミノ酸液を使用する混合醸造方式の識別法
混合醸造に使用するアミノ酸液には、大豆などの分解時にレブリン酸(比較的毒性が小さいとされている)が生成され、本醸造方式のしょうゆにも発酵生成物として微量に含まれるが、アミノ酸液を混合したしょうゆに含まれる量とは、明らかに含有量が異なることから、レブリン酸の含有量を検出することで製品の製造方式を確認することができるそうだ。。
http://www.famic.go.jp/public_relations_magazine/panel/pdf/hyouji1-8.pdf
日東醸造株式会社が農林水産省からの改善命令を受けた件
JAS格付け特級の表示をしていたのにもかかわらず、前項の原材料にアミノ酸液等(酵素分解調味液及び発酵分解調味液を含む)を使用していたことによる。
しょうゆのJAS(日本農林規格)に関する疑問点
原材料の使用割合についての規定がない
原料に大豆を使用しないとしょうゆと表示できないなら、小麦他の原料1万トンに対して大豆1粒でもしょうゆと表記できるのではないか?
使用を認めている添加物の上限使用割合(量?)の規定がない
いくら使ってもいいってことか?それとも、これは厚労省の管轄になるのだろうか?
特級さいしこみしょうゆのアミノ酸液等の使用割合
アミノ酸液等の使用割合に関して、「原料として使用したアミノ酸液、酵素分解調味液及び発酵分解調味液の全窒 素の製品の全窒素に対する割合をいう。」という規定がある。主に、さいしこみしょうゆの特級の製造方法に「本醸造方式によるもの 又は混合醸造方式によ るものであること」、アミノ酸液等の使用割合(混合醸造方式によるものに限る。)に「20%以下であること」という規定にかかる規定だと考えられるが、
さいしこみしょうゆの規格中にアミノ酸液等の使用割合を規定しており、特級規格については窒素比20%以下であることが要件となっているものの、実際のしょうゆ製造においては、必要な際にもろみを搾っていることから、窒素比の算出が困難となっている。これについての算出方法又は分析方法を定めるか、あるいは窒素比ではなく重量比の規格にするほうが運用しやすい。
という業界からの意見に対して、当省(農水省)の考え方として、次のように回答している。
定義において、アミノ酸液等の使用割合は、「原料として使用したアミノ酸液、酵素分解調味液及び発酵分解調味液の全窒素の製品の全窒素に対する割合をいう。」としていることから、特級さいしこ みしょうゆにアミノ酸液等を使用する場合には、アミノ酸液等の占める窒素比が20%以下になるよう配合することになります。なお、当該規定は、うまみ成分としての全窒素に占めるアミノ酸液等の全窒素の比率ですが、御提案にあるアミノ酸液等由来の全窒素を分析により算出することは不可能であり、また、「重量比の規格」については、何に対する比率であるかが不明であることから、現行のとおりとします。
ということは、アミノ酸液等由来の全窒素を分析により算出することは不可能であることを認めていることになる。現行通りって、どのようにして算出するのであろう?レブリン酸の含有量でアミノ酸液等の使用割合を検査できるのか?
混合醸造方式と混合方式のアミノ酸液等の使用割合の規定がない
業界での申し合わせでは、
https://www.soysauce.or.jp/hyouji/pdf/mousiawase.pdf
「混合方式では、生揚に、アミノ酸液等を製品の全窒素に対する割合で80%以下添加でき、混合醸造方式では、諸味に、アミノ酸液等を同じく80%以下添加し、概ね1ヶ月以上発酵・熟成させる」となっているが、あくまでも業界の申し合わせであって、ほとんど全量アミノ酸液等を使っても何の法的規制はない。
原料にアミノ酸液等を業界申し合わせ上限の80%使っても、それってしょうゆと呼べるのか?でも、JAS規定では、99.999…%アミノ酸液等を原料に使ってもしょうゆはしょうゆっていうことになるのだから、それもしょうゆなのだろう。釈然としないが…。
日本製ワインの業界自主規定と同じような匂いがする。
アミノ酸液とアミノ酸の違い
JAS規格では、アミノ酸液は、しょうゆの原料、アミノ酸は、食品添加物扱いである。
アミノ酸液等
アミノ酸液
脱脂加工大豆や小麦グルテン等の植物性蛋白質を塩酸で加水分解してグルタミン酸、アスパラギン酸、アラニンなど多くのアミノ酸を作り炭酸ナトリウムで中和した、旨味の強い液体調味料で、醤油の原材料として扱われる。第二次世界大戦後に生まれた技術で、九州地方ではこのアミノ酸液を使った甘口の味が好まれるそうだ。
味の素(株)製「味液」など
酵素分解調味液
脱脂加工大豆や小麦グルテンなどの植物たん白を濃塩酸のかわりにタンパク質分解酵素で分解し得られた液体調味料
大日本明治製糖(株)製「エンザップ」など
発酵分解調味液
主に小麦グルテンや脱脂加工大豆などの植物たん白を麹により発酵させ分解して得られた液体調味料
キッコーマン(株)製「発酵うまみ調味料」、味の素(株)製「コウジ・ ベース」、日清製粉(株)製「醸造調味料NS-2、NS-3」など
アミノ酸液等に含まれるクロロプロパノール類の人への健康影響が懸念されるという農水省Webサイト
http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/c_propanol/about.html#acidHVP
人への健康影響が懸念されるのに使用を認めていいの?という素朴な疑問が湧く。
安全性を主張する業界Webサイト
http://www.aminosaneki.gr.jp/safety.html
調味料(アミノ酸等)
食品添加物で、JAS法において、アミノ酸系、核酸系、有機酸系の3種類があり、その中のアミノ酸系はグルタミン酸ナトリウムが主で、他にもアラニンやグリシンがある。JASマークのついた醤油に添加される添加物は全てJAS法で使用が認められている添加物だとのこと。
アミノ酸系
アミノ酸はたんぱく質を構成する最小単位の物質。たんぱく質自体は無味だが、それを構成するアミノ酸には甘味、苦味、うま味などを中心としたさまざまな呈味がある。うま味を呈するアミノ酸の代表的なものは、昆布に多く含まれるグルタミン酸やアスパラギン酸など。
核酸系
核酸はヌクレオチドとも呼ばれるリン酸を含んだ物質。生物の代謝や運動エネルギー源となるアデノシン三リン酸(ATP)が有名。うま味物質として知られるのは、煮干し、かつお節に多く含まれるイノシン酸、しいたけに多く含まれるグアニル酸など。
有機酸系
有機酸とは一般に窒素を含まない炭素化合物のことを言い、酢酸、クエン酸、乳酸、コハク酸が有名。この中でうま味を呈するものは貝類に多く含まれるコハク酸が知られる。
まとめ
本醸造特級しょうゆは、最高級、最高級品質のしょうゆ???
本来、本醸造特級しょうゆは、JAS規格上、最高級、最高品質のしょうゆであるはずだ。
速醸法
しかし、本醸造方式といっても、仕込み時に塩水を強制的に冷却し、1ヶ月後くらいから徐々にもろみを温めて、醗酵促進し、醗酵後は温度を低くして熟成させるというように、人為的に温度をコントロールして、醸造期間を3ヶ月~6ヶ月に短縮することができる速醸法と呼ばれる醸造法が開発され、工業的に大量生産する醤油が主流になっている。乳酸菌や酵母も効率的に作用するように人為的に加えるとのこと。
脱脂加工大豆
生産「効率」がいい脱脂加工大豆の使用も認められているが、丸大豆に含まれる脂分は約20%で、脱脂加工大豆ほぼ0である。丸大豆で醤油を仕込むと醸造中に脂分が脂肪酸や甘みを持ったグリセリン等に分解され、長い熟成期間中に醤油の中に溶け込んでまろやかな風味と深みが生まれる。また、脂分はアルコールと反応して香りの元であるエステルを生成するので、醤油の香りもよくなると云われている。
さらに、タンパクの分解を促進させるセルラーゼという酵素を使うことも認められていて、これを使うと、業界基準により、製品表示に「天然」「生」等の用語を利用することはできないそうだが、そんなことはどうでもいい話だ。
遺伝子組み換え原料に関しては
https://corezoprize.com/defatted-soybean
どうしてさまざまな添加物を添加する必要があるのか?
そうして、効率よく工業的につくられた本醸造醤油が出来上がったそのままでJAS規格を満たし、おいしいのであれば、その使用が認められれているとはいえ、アミノ酸などのうまみ調味料、サッカリンナトリウムなどの甘味料、クエン酸などの酸味添加物、増粘多糖類、カラメル色素、アルコール、保存料、その他諸々の添加物を加える必要はないはずだ。
そして、さらに「経済」と「効率」を極めるために、アミノ酸液を原料として使用できる混合醸造方式と混合醸造方式の規格が作られたのであろう。
アミノ酸液は日本農林規格(JAS)しょうゆの原料として認められていると誇らしげな日本アミノ酸液工業会
http://www.aminosaneki.gr.jp/example_detail.html
自己矛盾を抱えるしょうゆ業界
しょうゆのおいしさは、醸造過程における3種類の微生物のはたらきによって造られています。まず、「麹菌」は、いろいろな酵素を造りだし、原料である大豆のたんぱく質をベプチドやアミノ酸に分解、小麦に由来するでんぷんをブドウ糖に分解します。こうしてつくられた基本的な成分を乳酸や酢酸などの別の成分に変えるのが「乳酸菌」。しょうゆの味に深みを与えます。最後に登場する「酵母」は、糖分やアミノ酸からアルコールやいろいろな芳香成分をつくるもの。しょうゆらしい香りはこれによって醸し出されます。こうして、しょうゆの特徴である「色」「味」「香り」が完成。しょうゆが多くの人に愛される秘密は、ココにあります。
https://www.soysauce.or.jp/himitsu/index.html
より
上記は、醤油業界のWebサイトからの抜粋だが、完全に自己矛盾があると感じるのは筆者だけだろうか?
同じ「本醸造醤油」でも別物のしょうゆがある
同じ「本醸造醤油」でも、本来の国産丸大豆(使わない、あるいはほとんど使わないしろしょうゆもあるが)、小麦、塩、麹、水だけを原材料に使って、伝統的な製法で、最低でも1年以上かけて手づくり醸造されたしょうゆは、全くの別物と考えていいだろう。
風味も値段も違うのは当然で、その理由は、長い時間をかけて麹菌と仕込み木桶や蔵に棲みつく何10種類もの微生物が醸し出す味と香りのハーモニーをご自身の五感で確かめてお考え頂きたい。
JAS本醸造特級しょうゆでも、混合醸造方式や混合醸造方式のしょうゆでも、どんなしょうゆでもお選びになるのはご自由だが、COREZO(コレゾ)賞受賞の皆さんがつくっておられるしょうゆと今お使いになっているしょうゆと味比べをしてみては如何だろう?
人工的な強いうまみに慣れ親しんだ舌には、天然のおいしさを感じられないかもしれないが…。
今後、COREZO(コレゾ)賞受賞の皆さんがつくるしょうゆを順次ご紹介する予定だ。
COREZO(コレゾ)賞 事務局
初稿;2015.04.08.
最終更新;2015.04.08.
文責;平野 龍平
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