目次
COREZOコレゾ「たかが、たこ焼き、されど、たこ焼に愛情と情熱を注ぎ、美味しいというひと言を聞くために、魂と真心を込める、たこ焼元帥」賞
松本 将典(まつもと まさのり)さん
プロフィール
和歌山県田辺市下万呂
焼き処「まろ蛸」オーナー
たこ焼元帥
動画 COREZOコレゾチャンネル
松本 将典(まつもと まさのり)さん/「まろ蛸」たこ焼元帥(その1)「たこ焼元帥の由来」
松本 将典(まつもと まさのり)さん/「まろ蛸」たこ焼元帥(その2)「陽気で愉快でおいしい‼まろ蛸」
受賞者のご紹介
たこ焼元帥
龍神温泉季楽里で、2018年度COREZOコレゾ賞表彰式の打合せをしながら、夕食を食べていたら、「たこ焼元帥」がニタニタしながら、レストランに入って来た。
ガタイでかい、ニタニタ笑ろてる、短パン、雪駄、日本手拭をネクタイみたいに首からぶら下げてる、ヤバい、絶対、ヤバい。ヤバいに決まってる。目線を合わせず、身構えていると、どんどん、こっちに向かってやってくる。ヤバい、めっちゃ、ヤバい…。
なんと、龍神温泉季楽里専務理事の小川さださんと知り合いらしく、
「ごまさんスカイタワーに店出してやっとたら、直(なお・小川さださんのご子息で、ごまさんスカイタワーの店長)くんから、ごまさんに寄ってくれたこの人らの話を聞いて、おもしろそうやから、来ましてん。」って、来んで、ええっちゅ~ねん!
で、名刺を差し出され、見ると、「たこ焼元帥」って、なんぢゃそりゃ~?、ますます、ヤバい、おっちゃん感炸裂状態で、そういえば、ごまさんスカイタワーに立ち寄った時、たこ焼の移動販売車が駐車場で営業していたのを思い出した。
「そうそう、それ、僕ですわ、『まろ蛸』云いますねん。もうええか、さださん、今夜、部屋空いてる?ほな、飲むわ。」
と、筆者の向かい側に座り、生ビを1杯、プハァーッ、とやると、
「たこ焼元帥って、ね、名古屋の厨房卸問屋で、名調さん、ってあるんやけど、そこの社長の小田さんと親しくなり、僕のたこ焼に対する想いや、たこ焼きの商売の素晴らしさをもっと多くの人に伝え、僕がやってきたやり方で成功して欲しい、という熱意を聞いてくれて、是非、やりましょう、伝えましょう、と云ってくれたんですよ。」
「そん時、小田さんから、大将は、優しいけど、見た目、怖いし、どうせなら、大将の中の大将、それも、元帥でいきましょ、って云われて、これから、たこ焼で夢を追いかけるヤツの手本になるゾ、たこ焼に恩返しをするゾ、って決めたんですわ。」
ちなみに、大将(たいしょう)は、軍隊の階級の一つ。将官に区分され、中将の上に位置する。元帥は、階級を示す場合には、大将よりも更に上位で軍隊における最上級の階級であり、称号を示す場合には、大将または上級大将の階級を持つ者の中から選ばれることが一般的である(以上、wikipediaより、引用、要約)。
「お山の大将」とか、一つの集団の中の頭(かしら)。「よう大将、元気か」とか、同輩・目下の男性を、親しみやからかいの気持ちを込めて呼ぶ語(コトバンクより)。
素材にこだわる
「たかが、たこ焼き、されど、たこ焼、ですねん。目指したのは、『冷めてもおいしいたこ焼』。まず、素材にこだわる。たこ焼きを作る上でかかせない5つの食材は、粉、出汁(だし)、ソース、蛸(タコ)、ふりかけ。粉は、小麦粉の粉くささを軽減するため、元帥と大手小麦粉メーカー様で開発。出汁(だし)は、鰹節と昆布をベースに、和歌山が誇る天然名水「富田の水」を使用した上質な出汁。ソース、元帥が本場関西のソース会社と提携し、和歌山ならではの「名産品」を隠し味に特別にブレンド。」
ん?で、蛸(タコ)とふりかけは…?
道具で味が激変
「道具で味は激変しますねん。一般的なたこ焼き器は、『鉄板』ですけど、ウチは、『鉄板』より高価な『銅板』を使ってます。『銅板』は、熱伝導率が高いので、早く返さないと焦げやすく、上手く焼くには、練習と経験が必要やけど、焼くスピードが速く、お客さんをお待たせする時間が短くなるんで、銅板で焼いてます。」
たこ焼き大元帥への道、五ケ条
「1.プロになれ、覚悟をきめろ!2.愛情と情熱を持て!3.魂とまごころを込めろ!4.道具一つで味は劇的に変化する!5.食材と味には徹底的にこだわれ!元帥のオレを超えて、初めて一人前、やるからには、大元帥を目指せ、って云うんですわ。」
プロになれ、覚悟をきめろ!
「当たり前やけど、オレ、飲食の仕事では全くの素人やった。今、プロと云われている人だって最初はみんな素人や。でも、『たこ焼きのプロ』になると決めた時点でプロなんや。」
「たこ焼きは、何日か練習したら普通に焼けるとは思うけど、大事なのはそこからや。自分が納得いくまで、おいしいたこ焼きを焼こうと、毎日、毎日、研究に研究を重ねても、自分がおいしいのとお客さんがおいしいのは違うねん。」
「できるだけたくさんのお客さんの意見を素直に聞いて、改良を繰り返し、一人でも多くのお客さんにおいしいと云うてもらえるよう、取り組むことや。たこ焼きだけで、生計を立てて、続けていく、と云うのはこう云うことやと思う。」
愛情と情熱を持て!魂とまごころを込めろ!
「たこ焼を焼いていて何より嬉しいのは、『おいしい!』っていうひと言。これで、毎日の仕込みや深夜までの労働も報われますわ。「日本人は、老若男女、皆んな、たこ焼好きやろ?日の丸は、『丸』やし、たこ焼きもまぁるい『丸』、日本人には、真心や魂っていうのを大事にするDNAがあって、そのシンボルみたいなのが「丸」やないかなと思うねん。だから、たこ焼きもちゃんと魂や真心を込めて焼かなあかんと思う。愛情と情熱を注ぐ、っちゅうことや。」
諦めず、やり続ける
「成功の秘訣が唯一あるとしたら、成功するまで、絶対に諦めん、っちゅうこっちゃ。成功は、継続してなんぼやから、ある程度、生計が立てられるようになっても、成功したと思わんと、自分を信じて笑顔と感謝でやり続けることや、これしかない。和歌山まで修行に来る本気のヤツ、待ってるぞ!」
以上、たこ焼き元帥からのたこ焼きで生計を立てたい人たちへのメッセージである。
たこ焼きピン8本使いの技
たこ焼き元帥は、食事をする時、右利きだが、左手で箸を使う。両手でたこ焼きピンを使えるようになったら、一度に2倍焼けるからだ。両手の全ての指の間にたこ焼きピンを挟んで焼けたら、8倍になるから、と、目下、トレーニング中とのことだ。
冷めてもおいしいたこ焼
夕食後、ロビーで話を聞いていて、ウチのは、冷めてもおいしいから、と、移動実演販売用の車から、たこ焼を持ってきて下さって、食べたら、確かにおいしい。
「どうですか?」と、尋ねられたので、「おいしいことは、おいしいけど、僕は、アツアツの方がええですね。」と、答えると、「そりゃ、チンチン(アツアツの意)の方が旨いに決まってるけど、これはこれでイケるやろ?」と、いかついガタイで云われると、「そうでんな~。」と云わざるを得ない。「お客さんの意見を素直に聞いて」ちょ。
まろ蛸
たこ焼き元帥の経営する「まろ蛸」は、移動実演販売用車両だけでなく、通りに面した「屋台」と奥にある「はなれ」に分かれた実店舗もあり、「屋台」のメニューは、たこ焼、焼きそばを中心に、曜日や季節により、串焼きや串カツ、鍋など特別メニューが登場し、「はなれ」の座敷は、予約のみの営業で、本まぐろや紀州鶏のコースメニューが基本だそうだ。
「わだ地鶏」と「ブロイラー」の違い
たこ焼き元帥が提供しているのは、和田さんと云う方が、140日以上、愛情を注ぎ、手塩にかけて平飼いで育てている「わだ地鶏」と云う、紀州地鶏だそうで、是非、食べてみたいものだ。
通常、スーパー等で販売されている若鳥は、ほとんどがブロイラーで、生産効率を上げるため、品種改良され、ケージに入れられ、増体促進効果を図るため、24時間、明るい環境で餌を食べさせ、急速な成長やストレスで3割ぐらいが途中で死んでしまうため、抗生剤等の投薬も行い、4~50日の飼育で出荷されるそうだ。
美味しいというひと言を聞くために
たこ焼き元帥は、いかついガタイと風体、お言葉遣いからは、想像もつかないが、細やかな気遣いのできる、繊細な心の持ち主で、「おいしい!」っていうひと言を聞くために、日々、愛情と情熱を注ぎ、魂とまごころを込めて、精進を重ねておられる。
筆者もあと40歳若ければ、大元帥を目指して、弟子入りしていたところだ、残念!!
COREZOコレゾ「たかが、たこ焼き、されど、たこ焼に愛情と情熱を注ぎ、美味しいというひと言を聞くために、魂と真心を込める、たこ焼元帥」である。
取材;2018.07.
初稿;2018.08.
最終更新;2018.08.
文責;平野龍平
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