隈本 知伸(くまもと とものぶ)さん/八女独楽工房「隈本木工所」

COREZOコレゾ「伝統のろくろ技術で製品に新たな命を吹き込み、受け継いでくれる人を育て、地域文化を後世につなぐ八女独楽工房」賞

kumamoto

隈本 知伸(くまもと とものぶ)さん

プロフィール

福岡県八女市

独楽工房 隈本木工所 代表

ジャンル

ものづくり

独楽(こま)製造販売

木のおもちゃ製造販売

その他 ろくろを使用した製品制作

学校用・教育用玩具としての木地こま・その他木地玩具の販売

経歴・実績

動画 COREZOコレゾチャンネル

隈本 知伸(くまもと とものぶ)さん/八女独楽工房・隈本木工所(その1)「努力と工夫を重ね、つくり続ける独楽」

隈本 知伸(くまもと とものぶ)さん/八女独楽工房・隈本木工所(その2)「TVゲームにはない独楽遊びの効果」

受賞者のご紹介

独楽工房隈本木工所は100年以上続いてきた老舗で、北島力さんにご紹介頂き、代表で6代目の隈本 知伸(くまもと とものぶ)さんにお目に掛かることができた。

工房は、以前、訪れたことのある、筑紫の豪族、磐井の岩田山古墳のすぐそばにあった。

八女和独楽

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八女は自然豊かで、伝統工芸が盛んだった土地柄で、かつては、独楽の工房もたくさんあったそうだ。

「若い頃に一度八女を出て、別の仕事をしていたのですが、八女で暮らして、ものづくりをしたい、という思いから、父の後を継ぎました。」

「木芯で、独楽の上に突き出した芯に紐をかけて廻すのが、全国的に昔から親しまれている、見慣れた独楽だと思いますが、九州の独楽は、鉄芯が特徴で、独楽の上に芯が突き出てないでしょ?博多独楽は、上部の中心部分が凹んでおり、八女和独楽は「ヘソ」と呼ばれる部分が突き出しています。」

材料

「100年前には、八女地方のカシ材を使用していましたが、だんだん、材が手に入らなくなり、現在では、佐賀県玄海町周辺のマテ樫(マテガシ)を中心に国産材を約1年間乾燥させて使用しています。」

つくり方

「乾燥した材を裁断し、荒削り、仕上げ削りをした後、下地塗り、絵付けをして完成します。」

「小さな『チビこま』から大きな『祝い独楽』まで、1本の木から手作業で裁断し、削り込み、絵付けをして作るため、どの独楽も微妙な違いがあります。それは、裏を返すと、どれをとっても世界にひとつの独楽(こま)ということなんですよ。」

独楽を取り巻く現状

「子供たちの遊びが少なかった時代には、つくればつくるほど売れたこともあったようですが、玩具が増え、子供たちの遊びが多様化するにつれ、売れ行きは鈍って行きました。そして、子供たちがテレビゲームやネットのゲームに夢中になる一方で、伝統的な玩具は忘れ去られようとしていました。そんな時代の流れの中、経営的にも厳しい時期があり、伝統を受け継ぐ大変さ、辛さを身を持って経験しました。」

「以前は、玩具卸との取引がほとんどでしたが、売れ行きが悪くなると、卸には相手にされなくなり、直販するしか道がなくなったので、イベントでの販売やネット販売にも力を入れるようになりました。

「近年、独楽が昔遊びとして教育の現場で取り上げられるようになって、恒例行事化する学校も増えつつあり、復活、復権の兆しが見えてきました。」

「今では、独楽だけでなく、伝統のろくろ技術を活かして、学校教材としても使われているけん玉や火おこし器の他、お子さんにも安心、安全な自然塗料を使った木のおもちゃや八女地方の漆塗りを取り入れた創作器の製作にも取り組んでいます。」

独楽は、昔から子供と一緒にあった遊び

「独楽(こま)は、昔から子供と一緒にあった遊びです。子供さんたちの笑顔と健やかな成長を見せてもらうことこそが、独楽づくりの喜びです。独り遊びが流行っている昨今、独楽をはじめとする昔遊びは、大人も子供も同等に競い合うことができ、自分達のルールを作れば、遊びの幅も広がります。親世代の皆さんに懐かしく思い出しもらい、その良さを改めて見直してもらいながら、お子さんたちと一緒に遊んで頂く事で、殺伐としてしまった今の世の中にも光がさすのではないでしょうか?私どもでは、イベント等での活動を通して、そのおもしろさ、楽しさを一人でも多くの皆さんに伝えていきたい、と思っています。」

八女独楽の伝統の技を学びたいと弟子入りした方やネット販売を手掛けてくれるスタッフも増えられたそうで、次の世代に引き継ぐ道が整いつつあるのは嬉しい限りだ。

COREZOコレゾ「伝統のろくろ技術で製品に新たな命を吹き込み、受け継いでくれる人を育て、地域文化を後世につなぐ八女独楽工房」である。

※本サイトに掲載している以外の受賞者の連絡先、住所他、個人情報や個人的なお問い合わせには、一切、返答致しません。

COREZO(コレゾ)賞 事務局

初稿;2015.11.25.

最終取材;2015.11.

最終更新;2015.11.25.

文責;平野 龍平

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