平 泰明(たいら やすあき)さん/一刀入魂至高の切れ味・包丁の盛弘

COREZOコレゾ「斬鉄包丁!? 鉄パイプをも切断する究極の切れ味の包丁を鍛造する鍛冶職人」賞

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平 泰明(たいら やすあき)さん

プロフィール

福岡県八女市

盛弘鍛冶工場

ジャンル

モノづくり

鍛造業

包丁づくり

経歴・実績

受賞者のご紹介

福岡県八女市立花町にある田中真木さんの旧大内邸に行く途中の道沿いに、店先に農機具が並ぶ鍛冶屋さんがあり、以前から気になっていた。

鉄パイプを刃物で切断する対決で大手工業刃物メーカーに勝利

あるTV番組で、その鍛冶職人さんが鉄パイプを刃物で切断する対決をして、大手工業刃物メーカーに勝利したという話を聞き、是非、お目に掛かりたいと思っていたら、北島力さんにご紹介して頂くことができた。

盛弘鍛冶工場にお伺いすると、包丁を削る作業の最中だったが、キリのいいところで手を止めて下さってお話を伺うことができた。

使いやすく、丈夫で長持ちするようにいろんな工夫をするのが職人の仕事

平泰明さんは、包丁関係、お父様は、農機具関係を主に担当しておられて、お父様がつくられる農機具は丈夫で長持ちすると評判だそうだ。

「リピーターは多いけど、同じ道具を買い替えるお客様が少ないのは商売としてはどうなのかなぁ。でも、使いやすく、丈夫で長持ちするようにいろんな工夫をするのが職人の仕事だし、商売をさせてもらっている地域の皆さんに喜んでもらうのが一番だ、という父の背中を見て育ちました。」と、おっしゃる。

そんな職人気質のお父様から、これからの鍛冶屋は農機具だけでは食べていけなくなるかもしれない、と言われ、高校卒業後、泰明さんは、刃物の本場である大阪府堺市で、和包丁の研磨の修行を3年間された。

その後、八女市立花町の実家に戻って、伝統的な鍛造法を習得し、プロ用和包丁を中心に、家庭用包丁も製造されている。

そのテレビ番組では、刃物を垂直に鉄パイプに落とし、切断面が真円に近い方が勝者というルールで、相手は、相手は日本銀行券紙幣の裁断用にも採用されているという大手刃物メーカーだったそうだ。

斬鉄剣という日本刀がアニメに登場するが、実際、鉄製の甲冑や鉄砲まで切ってしまうという刀が存在していたという。

自分の技術がどこまで通用するか試めせるチャンス

「僕のところに来られた時には、もう何人もの鍛冶職人から断られておられたようでした。自信はありましたが、万が一でも負ければ名前に傷が付きます。でも、それ以上に、これはおもしろい、自分の技術がどこまで通用するか試めせる絶好のチャンスだ、とワクワクしながら引き受けました。」

普段つくっている包丁は、鉄パイプを切断するためにつくっていないから、そのままでは、鉄パイブは曲がってもスパッと切断することはできない。そこで、鋼の材質から、形状、火入れ、鋼をたたいて強くする「鍛造(たんぞう)」、切れ味を決める「研磨」に至るまで、実験と工夫、改良を繰り返した。

そして、本番。どちらも見事に鉄パイプを切断したが、平さんの方がより真円に近いということで勝者に輝いた。

日本の伝統技術の凄さ

チームを組み、科学的なデータ、工作機器等々を駆使できる刃物メーカーを相手に、伝統的な技と経験を駆使した町の鍛冶職人が勝利を収めたというのだから、痛快というか、日本の伝統技術の素晴らしさ、凄さを世間に知らしめたと思う。

番組出演後、それまでも納期は、2〜3カ月待ちだったのが、年単位に延びたそうだ。

究極のプロ用『斬鉄包丁』

「職人は、満足したらそこまで。日々、もっといいものを目指して、努力を重ね、一流のプロの皆さんから、『いつかは盛弘の包丁』と言われる包丁を作っていきたいですね。今、加工が難しい最高の鋼を使って、究極のプロ用『斬鉄包丁』の製作に取り組んでいます。」

刃は鋼で、胴は錆びにくいステンレスを使用した家庭用の包丁を試させてもらったのだが、トマトも刃先を当てるだけでスッと切れてしまう。普段、使っている堺でも有名なオール鋼の包丁と比べてもそれ以上の見事な切れ味だった。

当たり前のことだが、切れない包丁の方がアブナイ。柄にも縞黒檀が使われていて、これは、何年待っても手に入れたいと思い、すぐに注文した。

プロ用の包丁は桁が違うのだが、いつかは、「斬鉄包丁」を手に入れたいものだ。

COREZOコレゾ「斬鉄包丁!? 鉄パイプをも切断する究極の切れ味の包丁を鍛造する鍛冶職人」である。

※本サイトに掲載している以外の受賞者の連絡先、住所他、個人情報や個人的なお問い合わせには、一切、返答致しません。

COREZO(コレゾ)賞 事務局

初稿;2015.11.25.

最終取材;2015.11.

最終更新;2015.11.25.

文責;平野 龍平

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