目次
醤油の地域性2
たまり醤油としろ醤油
愛知では、たまり醤油としろ醤油という性格が正反対の醤油が生産されている。
濃口醤油や薄口醤油は原材料として大豆と小麦をほぼ1対1の割合で使うそうだが、たまり醤油はほぼ大豆のみ(小麦は使ってもごく少量、全量大豆のメーカーもある)で、2年以上の熟成をするが、しろ醤油は小麦が中心で、全量小麦の「しろたまり」もあり、こちらの熟成期間は約3ヶ月と短い。
また、たまり醤油は大豆が大半なので、うま味成分が強く、色も濃いが、しろ醤油は小麦が大半なので、うま味成分が少ない代わりに小麦のでんぷんが糖質に変わるため、甘みが強く、色も薄い。
豆味噌をつくる過程で、味噌の上に溜まった液体が醤油の由来であるという説もあり、江戸時代中期までは、味噌を搾った液体をたまりと呼んで、醤油として使っていたそうだ。
愛知県は八丁味噌を始めとする豆味噌づくりが盛んな土地柄でもあり、豆味噌とたまり醤油は同じ蔵でつくられることも多いという。
全量大豆だけのたまり醤油
https://corezoprize.com/yaemon-aoki
全量小麦だけのしろたまり(大豆を使っていないのでJAS法上しろしょうゆと表示できない)
https://corezoprize.com/yoichi-ninagawa
両方つくっておられるメーカーもある
https://corezoprize.com/kinji-toriyama
愛知には醸造の文化と歴史がある
愛知は、その他にも、酒、みりん、酢という日本の伝統的な醗酵食品の産地であり、さらに、江戸時代、吉良家は所領地の三河で製塩を奨励していたそうで、塩の製法や利権を巡る確執が、赤穂浪士討入り事件の発端となったという説もある。
また、秋田にはハタハタという魚を原料にした「しょっつる」や能登にはイカの内臓やイワシなどを原料にした「いしる」という魚醤もあるのもご存知だと思う。
たまり醤油やしろ醤油も、関西のスーパーではお目に掛かることは少ないが、拙宅では、いい魚が手に入った時は、刺身をたまり醤油で、煮炊きものにはしろたまりを中心に、料理によって使い分けたり、双方を合わせて使うこともあるが、どちらも味わい深く、合わせ技がピタッと決まった時は嬉しくなる。愛知でも合わせて使うこともあるそうだ。
徳川家のお膝元だっただけに、江戸時代から食に関する文化度が非常に高かったことが伺え、醤油からそういう文化に触れることができることも楽しい。
今や、大手スーパーやコンビニでは売れ筋(流通が売りたい=儲かる)商品しか置いていないが、通販で買える時代である。地方の産品も試してみては如何だろうか?きっと新しいおいしさの発見があるはずである。
関連記事
https://corezoprize.com/defatted-soybean
https://corezoprize.com/soy-sauce
https://corezoprize.com/other-soy-sauces
https://corezoprize.com/rates-soy-sauce
COREZO (コレゾ)賞 事務局
初稿;2015.05.02.
編集更新;2015.05.02.
文責;平野龍平
コメント