意外に知らない塩のことその5、旧専売塩はイオン交換膜塩だけではない⁉︎

塩の専売制を管轄していた財務省のいう塩とは?

財務省が公表する塩需給実績

https://www.mof.go.jp/tab_salt/reference/index.html

上記では、塩事業法に基づく登録を受けた業者(製造、輸入、卸売)及び塩事業センターの販売数量等の報告に基づき集計しているとされるが、この場合の「塩」とは、真空式釜でせんごうした塩を指す。

つまり、公益財団法人塩事業センターが販売する塩こそが塩で、それ以外の製法でつくられた塩は、主に「特殊製法塩」と呼ばれるようだ。

特殊用塩

「特殊用塩」とは、用途又は性状が特殊な塩であって、以下のいずれかに該当する塩をいう。

  1. 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第2条に規定する医薬品、医薬部外品又は化粧品に該当する塩
  2. 試薬塩化ナトリウム
  3. 細菌等の試験研究用の培地として使用される塩その他の専ら学術研究又は教育の用に供される塩
  4. 銅のメッキ処理過程等において専ら触媒の用に供される塩
  5. 亜鉛、鉄その他の金属成分を含有する塩で、直方体又は球形等の塊状に成形されたもの
  6. 塩化ナトリウムの含有量が100分の60以下の塩で、塩化ナトリウムとそれ以外の成分が容易に分離し難いもの
  7. 販売先を限定して試験的に販売される塩であって1年間の販売数量が100トン以内のもの

特殊製法塩

「特殊製法塩」とは、製造の方法が特殊な塩であって、以下のいずれかに該当する塩(「特殊用塩」に該当するものを除く)をいう。

  1. 塩以外の物を製造する過程又は廃棄物を処理する過程において副産物として得られた塩(食用に供されるものを除く。)
  2. 平釜式、蒸気利用式、温泉熱利用式その他の真空式以外の方法により製造(加工を除く。)した塩(1に掲げるものを除く。)
  3. 他の者から譲り受けた塩又は引渡しを受けた塩を原料として製造した塩であって、香辛料、にがり、 添加物(食品衛生法施行規則(昭和23年厚生省令第23号)別表第1に掲げるもの 、食品衛生法及び栄養改善法の一部を改正する法律(平成7年法律第101号)附則第2条第1項に規定する既存添加物名簿に記載されているもの及び食品衛生法(昭和22年法律第233号) 第4条第3項に規定する天然香料をいう。)又はごま、こんぶその他の食品が混和されたもの
  4. 他の者から譲り受けた塩又は引渡しを受けた塩を原料として製造した塩であって、乾燥剤、固結防止剤又は還元剤が混和されたもの(食用に供されるものを除く。)

参考

https://www.mof.go.jp/tab_salt/salt/si140213b.htm

公益財団法人塩事業センター

専売制の廃止に伴い、JTの塩事業を公益財団法人塩事業センターに移管した。

制度名:生活用塩の供給等業務

国民生活に不可欠な物資である良質な塩が、全国津々浦々まで安定的に供給されることを確保するため、財務大臣が全国に一を限って指定する「塩事業センター」が下記の事業を行う。

  1. 生活用塩の供給
  2. 緊急時に備えた塩の備蓄
  3. 塩の製造、輸入及び流通に関する調査研究
  4. 塩の品質検査等

参考

https://www.mof.go.jp/tab_salt/salt/sitei.htm

塩事業センターの生活用塩供給等事業

生活用塩供給等事業を通して、日々の暮らしに密着した塩を安定的にお届けすることも、当センターの大切な使命です。

1.当センターと契約した塩販売店を通じて、全国各地のお客様に塩をお届けします。

低廉で安全性に配慮した安心してお使いいただける塩を、当センターと契約した販売店を通じて、全国津々浦々どこでも、お客様が購入できるよう努めます。

2.緊急時に備え、必要な量の塩を備蓄します。

日本国内で塩が不足することのないよう、各地に所要の備蓄量を常時確保しています。そして、緊急時においては、財務大臣の命令により適切に塩を供給します。

国内の海水を原料とする塩製造会社が製造した塩、ならびに輸入した天日塩を塩製造会社が再製加工した塩を、当センターと契約している塩卸売会社、塩販売店を通じて皆様のもとにお届けします。

参考

http://www.shiojigyo.com/a010outline/outline3/post_192.html

塩事業センターが販売する塩

国産塩(イオン交換膜さいかん+立釜「真空式」せんごう塩)

食塩

国内の海水(赤穂、鳴門、玉野、坂出、西海)をイオン交換膜でさいかんし、立釜(真空式)せんごうした塩。

品質基準

塩化ナトリウム99%以上、カルシウム基準0.02%、マグネシウム基準0.02%、カリウム 0.25%以下

国内製造(輸入天日塩溶解+立釜「真空式」せんごう塩)

食卓塩、クッキングソルト

原材料であるメキシコ産の天日塩を水に溶解し、立釜(真空式)せんごうして、塩基性炭酸マグネシウム(固結防止剤)を混合した塩。

品質基準

塩化ナトリウム99%以上、カルシウム30mg/kg以下、マグネシウム0.13%以下、カリウム35mg/kg以下、硫酸イオン70mg/kg以下

塩基性炭酸マグネシウム(固結防止剤) 基準0.4%

精製塩

品質基準

塩化ナトリウム99.5%以上、カルシウム27mg/kg以下、マグネシウム0.11%以下、カリウム35mg/kg以下、硫酸イオン70mg/kg以下

国内加工

つけもの塩

品質基準

塩化ナトリウム 95%以上塩化マグネシウム(添加)基準0.1%、塩化カルシウム(添加)基準0.1%、リンゴ酸(添加)基準0.05%、クエン酸(添加)基準0.05%

参考

http://www.shiojigyo.com/a020products/

塩事業センターのイオン透過膜式塩をつくるメーカー

イオン透過膜・真空釜式製塩工場は大規模、大量生産でコストを比較的に低く抑えることができるが、設備投資が大きく、専売制が廃止された当時も8社しかなかったが、整理統合が進んで、2015年現在、4社(㈱日本海水、ナイカイ塩業㈱、鳴門塩業㈱、ダイヤソルト㈱)5工場(赤穂、鳴門、玉野、坂出、西海)で生産され、国内の海水からの製塩の大部分を占めているとのこと。

福島にも工場があったようで、震災の被害で稼働していないそうだが、もっと大きな理由があるのは容易に推察できる。

その他、各メーカーで精選特級塩、特級塩、食塩、並塩、白塩他の塩が生産され、微粒から大粒まで、低純度から高純度まであるそうだ。

食用塩の年間消費量(2013年)

食用塩における特殊製法塩のシェア

生活用(家庭、料飲店用等)22.4%、食品工業用6.5%、食用塩全体10.1%

年間消費量7,956千トン、内、生活用189千トン、食品工業用783千トン

特殊用塩

年間消費量103千トン、内、生活用1千トン、食品工業用1千トン

特殊製法塩

年間消費量211千トン、内、生活用55千トン、食品工業用55千トン

参考

http://www.shiojigyo.com/a080data/

まとめ

食塩、食卓塩、クッキングソルト、精製塩は、専売時代からの商品名だった。

食塩(税込115円/1kg)は、イオン透過膜さいかん+立釜せんごう塩である。

食卓塩(税込516円/1kg当)、クッキングソルト(税込182円/1kg当)、精製塩(税込136円/1kg当)は、輸入天日塩溶解+平釜せんごう塩である。

塩事業センターが販売するイオン透過膜さいかん+立釜せんごう塩を生産しているのは、2015年現在、4社のみ。

イオン透過膜さいかん+立釜せんごう塩の生産は、2007年当時より、減少傾向にあったそうだ。

塩事業センターが扱う真空式釜せんごう以外の製法でつくられた塩は「特殊製法塩」と呼ばれ、食用塩の消費量の10%程度である。

塩に関しては、適切で的確な情報が少なく、推論しているところもあるので、正しい情報をお持ちの方には是非ご教授願いたい。

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https://corezoprize.com/salt-definition

 

COREZO (コレゾ)賞 事務局

初稿;2015.04.21.

編集更新;2015.04.21.

文責;平野龍平

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