喜山光子(きやま みつこ)さん

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Evernoteに保存Evernoteに保存
  • 3

COREZO「サービス介助士資格取得を通じて、ジェロントロジーを学び、より良い共生社会をつくる啓蒙活動」賞

img_8578

喜山光子(きやま みつこ)さん

プロフィール

公益財団法人 日本ケアフィット共育機構 理事 大阪事務所所長

経歴・実績

旅行会社勤務後、旅行専門学校に勤務

2007年、NPO法人 日本ケアフィットサービス協会

2013年、公益財団法人 日本ケアフィット共育機構

受賞者のご紹介

―旅行会社にお勤めだったのですね?

はい。旅行専門学校を卒業して旅行会社に就職しました。7年間勤めて、旅行業をこの先も続けるのかと考え、結婚を機に退職しました。

―その後は?

卒業した旅行専門学校から誘ってもらって、転職しました。

―日本ケアフィット共育機構とのご縁は?

その旅行専門学校がサービス介助士の資格を導入し、私がその担当になったことからです。

サービス介助士

―サービス介助士とは?

街中で、車いすを使用する人が段差を越えられずに困っていらっしゃったり、視覚に障がいがある人が道に迷っていらっしゃっても、なかなか声を掛け難いですよね?そんな時、手伝いの方法や心構えを知っていたら、安心して声かけができるのではないでしょうか?

サービス介助士とは、高齢の人や障がいがある人を手伝うときの「おもてなしの心」と「介助技術」を学び、相手に安心していただきながら手伝いができる人のことです。

―どういう資格?

年齢や、障がいのあるなしなどの違いを越え、互いに手を差し伸べ、協力し合えば、暮らしやすい社会になります。一人ひとりの「気づき」と「学び」が互いにつながり、社会の力になっていく、そういったネットワークづくりも、私たちの大切な活動のひとつだと思います。

その実践として生まれたのが、サービス介助士資格認定制度です。

現在までに、鉄道、航空などの交通機関、宿泊施設、デパート、小売りなど流通、金融機関など、実に約 1000社の企業様で、サービス介助士の学びを導入して下さっています。

職場だけなく、ボランティアや普段のさまざまな生活シーンの中でも、2016年4月現在で、サービス介助士取得者約13万人、准サービス介助士取得者約2万5千人以上が、さまざまな人々のお手伝いをして、活躍しています。

たとえ要支援者であっても、介助の心得を修得した人材がいることで、より快適な社会生活を送ることができるでしょう。

私どもの日本ケアフィット共育機構が認定する民間資格で、実技教習のあるサービス介助士、在宅学習と試験で取得できる准サービス介助士、中学生・高校生向けのサービス介助士ジュニアという3種類があります。

サービス介助士資取得方法

―サービス介助士資取得方法は?

サービス介助士講習を受講していただきます。通信課程(自宅学習)を経て、実技試験課程(スクーリング)に進み、検定試験に合格すれば認定されます。

通信課程では、お渡しするテキストで自宅学習をした上で、課題を提出して頂き、提出課題100問(1問1点の100点満点)中、60点以上で合格し、60点未満でも再提出制度があります。

通信課程合格者は、2日間連続の実技教習に進み、実技教習終了後、筆記検定試験があり、50問中、70点で合格しますが、不合格の場合は、こちらも再試験制度があります。

―実技教習ではどのようなことを?

オリエンテーションを経て、運動機能や感覚機能を制限するゴーグル、耳栓、おもり等を装着して、街の中へ出て、階段の昇降、エレベーターの使用、買い物、食事などの課題を実施し、高齢者疑似体験をして頂きます。

緑内障や白内障によって視野が狭くなったり、見えにくくなった状況を実際に体験すると、切符を買うのも不自由になりますし、財布からお金を出すのも一苦労です。

まずは知ることが大切で、お年寄りに限らず、障がいがある人、子ども…、それぞれの立場を実体験すれば、それらの方々の不自由さや気持ちも理解できるようになります。

この疑似体験は、そんな高齢者の不便さや心理的な負担に気付いたり、解決方法を考えるきっかけにもなっています。

疑似体験をした上で、介助を必要とする方とのコミュニケーションの取り方や実際の介助方法を学んでいただきます。

准サービス介助士

―准サービス介助士とは?

准サービス介助士資格取得講座は、自己啓発のために、また、お仕事や社会貢献活動に役立てたいという方に、高齢者、お身体の不自由な方など、何らかの配慮が必要な人に対する「おもてなしの心」と「介助知識」を手軽に在宅で学ぶことのできる講座です。

サービス介助士講習の通信課程(自宅学習)と同じ内容ですが、介助技術のポイントを収録したDVD教材付きなので、忙しい方でも短時間で効果的に介助の心構えと知識を学んでいただくことが可能です

また、「准サービス介助士」の資格を取得すると、実技試験課程(スクーリング)を受講し、検定試験に合格すれば、「サービス介助士」へのステップアップの道もあります。

障害者差別解消法

―サービス介助士という民間資格があることすら知りませんでしたが、主な導入法人、団体のリストを拝見するとそうそうたる企業が導入しているのですね?

有難うございます。2016年4月に「障害者差別解消法」が施行されて、障がいを理由に、「不当な差別的取扱い」してはならない、「必要かつ合理的配慮」をするように努力しなければならない等が定められました。

「不当な差別的取扱い」とは、例えば、障がいを理由として、正当な理由なく、サービスの提供を拒否したり、制限したり、条件を付けたりするような行為を禁止しています。障がい者の方の受付を無条件に後回しにしたりする行為ですね。

「合理的配慮」とは、障害のある方が日常生活や社会生活で受けるさまざまな制限をもたらす原因となる社会的障壁を取り除くために、障害のある方に対し、個別の状況に応じて行われる配慮をいいます。

典型的な例としては、車いすを利用する方が乗り物に乗る時に手助けをすることや、窓口で障害のある方の障害の特性に応じたコミュニケーション手段(筆談、読み上げなど)で対応することなどが挙げられます。

この法律では、民間事業者などによる違反があった場合に、直ちに罰則を課すこととはしていませんが、同一の民間事業者によって繰り返し障害のある方の権利利益の侵害に当たるような差別が行われ、自主的な改善が期待できない場合などには、その民間事業者が行う事業を担当している大臣が、民間事業者に対して報告を求めることができることになっていて、この求めに対して、虚偽の報告をしたり、報告を怠ったりしたような場合には、罰則(20万円以下の過料)の対象になります。

行政処分だけでなく、「不当な差別的取扱い」を受けた、「必要かつ合理的配慮」を受けられなかった、と民事訴訟に発展する可能性もあります。

障害のある方からの相談や紛争解決に関しては、既に、その内容に応じて、例えば、行政相談委員による行政相談やあっせん、法務局、地方法務局、人権擁護委員による人権相談や人権侵犯事件としての調査救済といった、さまざまな制度により対応することになっています。

企業でもこの法律の遵守を担保した顧客対応マニュアルの見直しや新規作成のニーズが高まっており、私どもでも支援業務をさせて頂いております。

ジェロントロジー

―全く存じませんでしたが、特に、サービス業では、しっかり知識を身に付け、対応しなければなりませんね。ところで、「サービス介助士」は、民間資格と伺いましたが、同業他社はあるのですか?

ネット検索して頂ければ、類似資格を認定している企業・団体が数社あります。

―それらと日本ケアフィット共育機構の違いは?

サービス介助士資格を目指す皆さんにジェロントロジーを学んでもらっていることですね。

ジェロントロジー(Gerontology)とは、ギリシア語のGeron(老人)とlogia(学)という言葉からの造語で、『老いる』ということ、『加齢』ということについて探求する学問です。

似た成り立ちの言葉にGeriatrics(老人病学/老年医学)がありますが、これが医学の一分野であるのに対し、ジェロントロジーは『加齢』に関するすべて含む包括的な学問である点が大きく違います。

人間は、「加齢」にともない、内臓・器官の衰え、体力の減退が見られ、これまでできたことができなくなっていく「身体の老い」、心身のバランスが取れないことが多くなる「精神の老い」、私たちの社会が、むかいつつある超高齢社会について、どんな準備ができ、どんな準備が足りないか「社会と老い」という問題が生じます。

ジェロントロジーは、これらの問題とどう向き合っていくか?ということであり、若い人たちにも、自分が歳をとった時のことを考えてもらい、私たち一人ひとりが人間にとって不可避な『歳を重ねる』ということをしっかりと受け入れ、社会と共生してもらいたいと願っています。

それから、これだけの法人や団体が「サービス介助士」を導入して下さったのは、「サービス介助士」という言葉を生み、資格認定でも先行してきたからこそだと思っています。

より良い共生社会の実現

―今後は?

一生の仕事としてこの仕事を選びましたが、実技教習や各種講習の講師をしていて、驚くのは、受講者の皆さんがおじいさんやおばあさん、高齢者との同居経験がないことです。それだけ、核家族化が進んでいて、高齢者と接する機会もないのが現代社会です。

より良い共生社会を実現するためにも、次の10年は、「サービス介助士」だけでなく、当機構の「認知症介助士」や東日本大震災をきっかけに生まれた「防災介助士」もより多くの人に知って頂き、普及に取り組んでいきたいと思います。

でも、特定の誰かが頑張るのではなく、できる人ができることをすればいいと思っていて、私は、私のできることを精一杯やるだけです。

―高齢者や障がいのある方々に思いやりやおもてなしの心を持ってスマートに手助けをするには、子供の頃からの教育が一番では?

その通りです。次世代を担う子供たちにも目を向け、小学4年生以上を対象に「おも活」と題し、小学校を廻りながら、核家族化が進み、高齢者や障がい者とのかかわりが希薄になっている子供たちへの「おもいやり活動」を展開しています。

ただ、公立の学校教育は自治体が管轄していて、教育委員会にはなかなか入り込めず、教育への展開はこれからですが、先ほどお話した「障害者差別解消法」では、行政には、「必要かつ合理的配慮」をする義務が課せられているので、私どもの活動にも理解が高まるのではないかと期待しています。

失礼ながら、全く知らなかった「サービス介助士」だが、民間資格として普及しておられるのは、一つの手段で、活動資金を税金に頼らず、自立して続けられる素晴らしい啓蒙活動だと思った。

自分が高齢者になった時のことを考えれば、今、自分たちより高齢の方々への思いやりも自然と生まれるだろう。

COREZO「サービス介助士資格取得を通じて、ジェロントロジーを学び、より良い共生社会をつくる啓蒙活動」である。

文責;平野 龍平

最終取材;2016年11月

初稿;2016年11月

最終編集;2016年11月

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Evernoteに保存Evernoteに保存

フォローする

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です