意外に知らない塩のことその12、ホンモノのいい塩とは?

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Evernoteに保存Evernoteに保存
  • 2

salt-12

ホンモノのいい塩とは?

塩の種類のおさらい

意外に知らない塩のことその6、塩の種類、きれいなピンク色の岩塩の正体とは?
日本で流通している食用塩の種類 結晶の大きさや乾燥の具合による分類もあるようだが、ここでは原料、製法別に分類する。 海塩 さいかん...

海塩

イオン交換膜せんごう+立釜せんごう塩

(国産)食塩ほか

日本独自の技術、日本の海水からつくられるほとんどがこの塩で、メーカーは4社のみ(2015年時点)。

輸入天日塩溶解+立釜せんごう塩

(国産)精製塩、食卓塩、クッキングソルト等、サラサラで使いやすい。

工業用に生産されたメキシコ・オーストラリア産の天日塩を溶解する事で、不純物を除き、使いやすいように粒を細かくし、再せんごうした塩。炭酸マグネシウム(固結防止剤)を加えている。価格が安い(食塩より高い)以外に何か魅力はあるのだろうか?化学塩と揶揄されたイオン膜塩の対策品?

輸入天日塩溶解+平釜せんごう塩

溶け易い、柔らかい、くっつきやすい

輸入天日塩を平釜で再せんごうした塩。にがりを加えた製品もある。塩田の復活活動をしていたメーカーも含まれている。業界の食用塩公正競争規約で公正マーク塩には使えなくなるまでは、自然塩や天然塩と名乗っていたようだ。

おそらく、従来の流下式等を使った製塩方法ではコストが合わない?苦肉の策?イマイチ、腑に落ちない塩。メキシコ・オーストラリア産の天日塩をそのまま食用塩として生産できないのだろうか?

天日さいかん+平釜せんごう塩

流下式等を使った製塩方法は1948年に始まったので、そんなに古い歴史があるものではない。流水盤、枝条架、ネット式のいずれもポンプでの汲み上げが必要。平釜は加熱効率が悪いが、にがりをどのように残すか、職人の腕が活かされ、粒子の細かいしっとりした塩がつくれる。

揚げ浜式では、粘土質の地盤に砂を敷いて海水を撒き、さいかんするので、海水の成分の一部は地盤に吸収されるだろうし、その砂を海水で洗ってかん水を採るのだから、衛生面が気になる。醤油や味噌をつくる時に働く麹菌や酵母のように好塩性の微生物もいる。

どこのメーカーも原料の海水には、気を配っておられると思うが、海流で世界を巡っているし、生活排水、工業廃水、農薬、家畜の糞尿他による汚染だけでなく、大気に触れる場合は、PM2.5や黄砂が飛び交う中での天日濃縮は衛生面が気になる。

天日さいかん+天日せんごう塩

所謂、天日塩、原料の海水と衛生面を含めた安全性以外は、最も自然に近い塩だろう。

イオン透過膜+スプレー乾燥塩

塩の専売が廃止され、自由化後に開発された製塩法で、イオン透過膜(海水から真水をつくる)でつくった濃い塩水をスプレー状にして熱したドラムに吹き付け、瞬間的に水分を蒸発させるので、海の成分を最も多く残すと考えられる方法。最もミネラル分が多いとされる塩はこの方法で作られている。

岩塩・湖塩

溶解+立釜せんごう塩

岩塩・湖塩の大部分、ミネラル分はほとんど含まれない。

理由はこちら

採掘塩

岩塩・湖塩のごく一部、ミネラル分はほとんど含まれない、不純物が含まれる可能性が高い。

自然塩・天然塩とは?

今も自然塩、天然塩という人が多いが、その定義とは?

塩とは海の水が干上って残ったものだから、海岸で日光や風などで海水の水分がとんでいき、残ったものが本当の塩。「煮たてる」という工程をしないで、天日でつくった自然海塩は、水にとけたミネラルがエネルギーに変わったエネルギーの塊。今までの塩を使うと、腐れたり、変わった味になり、変色したりする現象は「異常発酵」で、自然海塩は、「正常発酵」をつくり、そして発酵を促進するから、早く仕上がる。塩が、間違っていると、あらゆるものが「異常」になっていく。だからまず、健康をつくるなら「塩」を正常なものにする事が、「絶対に必要な事」だ。

と主張する人もおられるようだが、どの塩がそんな塩なのか教えてもらいたい。非加熱の完全天日塩には好塩菌が入っている可能性が高いことも覚えておくべきだ。

今では、自然塩や天然塩という名称は、業界の食用塩公正競争規約で公正マークの付いた塩には使えなくなったが、以前は、輸入天日塩溶解再せんごう塩を自然塩や天然塩と称して販売しているメーカーもあった。その主張が正しかったのかどうかはそれぞれでお考え頂きたい。

天日塩

メキシコやオーストラリアでは、少雨、乾燥の気候を利用して、さいかんやせんごうすることなく、全く天日だけで、約2年かけて塩にし、乾燥も野積みで行う完全天日塩である。

主に工業用のため、海水濃縮の技術(といっても、塩田を移動するだけだが)と洗いの技術を使って、塩化ナトリウム純度を約97%にしているそうだ。この塩は鉱石や石炭と同じように取り扱われ、土砂や小石、鉄さびなどが入っているため、そのままでは食用に適さないので、この塩を一度真水に溶かしてごみや不純物を除き、真空蒸発缶で煮詰めてつくった塩が精製塩、食卓塩だとのこと。

完全天日塩は、加熱しないので省エネにもつながり理想的な製塩法だが、塩のことを少しでも勉強をすれば、天日で濃縮しても溶解度の違いから海の成分を全て塩に残すのは不可能なことは分ってくる。

まず、多雨多湿の日本では完全天日塩をつくるのは非常に困難だ。それができていれば、その方法が普及していただろう。

「土佐の山塩小僧」もそうだが、国内の海水で天日塩を作っているところは、流下式等でかん水をつくり、天日乾燥はビニールハウスで行い、塩化ナトリウムが析出し、ある濃度になると遠心力で脱水して乾燥させるのが一般的なようだ。

原料の海水の生活排水、工業廃水、農薬、家畜の糞尿他による汚染だけでなく、PM2.5や黄砂が飛び交う中で天日濃縮は衛生面を含めた安全性が気になるところだ。

海の成分組成

塩分 3.4%、この内、塩分は、塩化ナトリウム77.9%、塩化マグネシウム9.6%、硫酸マグネシウム6.1%、硫酸カルシウム4%、塩化カリウム2.1%、その他0.3%。このその他0.3%に貴重なミネラル分が含まれていると主張する人も多いが、塩だけで必要量を摂取するが難しいのはその気になって調べればわかるだろう。

食塩(所謂、イオン透過膜塩)100g中の成分

ナトリウム39g、カルシウム22mg、マグネシウム18mg、カリウム 100mg、その他のミネラル分の記載はないがほとんど含まれないと考えられる。水分もほぼ「0」。

海の成分を最も多く残すと考えられる方法でつくられた最もミネラル分が多いとされる塩100g中の成分。

ナトリウム30.3g、マグネシウム2810mg、カリウム859mg、カルシウム625mg、その他にも微量ミネラル分多数、水分を10%程度含む。この塩は、イオン透過膜さいかん+スプレー乾燥という方法でつくられているのだが、これは天日塩ではないし、瞬間乾燥するのに大きな熱エネルギーが必要だと考えられる。

食塩と比べると、明らかに「ミネラル分多い」=「身体に良さそう」、「おいしそう」というイメージが掻き立てられるが、価格差は50倍以上ある。

まとめ

ホンモノのいい塩って一体なんだろう?

塩の公正マークが付いていても、そのマークはなんら製法や製品の品質を保証するものではない。

生産助剤など、食品衛生法で表示を免除されている添加物も含めて、メーカーは消費者に情報開示するべきだ。

イオン交換膜式以外は自然塩、天然塩というわけでもないだろう。では、何をもって、自然塩、天然塩なのか?流下式、入浜式でつくった塩がそうなのだろうか?

醤油、味噌、酢、みりんは、原料と製法だけもである程度見分けがつくが、塩は、岩塩、湖塩も含めて原料の大元は海水でそれ以外がない。製法も、採掘岩塩以外は、濃縮して乾燥するのは全て同じで、その方法の違いだけだ。

そのさいかん方法、せんごう方法は、一長一短があり、どれが良くてどれが悪いと誰が判断できるのだろう?それに、原料と製法によって種類も特徴も異なるが、添加物がない限り、どれも塩で海水からの成分である。

海水は調味料になるのか?

海のエネルギー?をそのままいただく?なら海水をそのまま使えばいい話だが、海辺でキャンプをして塩代わりに海水を使った経験がある方なら、まずくて塩の代用にならないことはお分かりだと思う。だから、塩づくりが始まったのだろう。

「にがり(ミネラル)分多い」=「おいしい」とは限らない

江戸時代や明治時代のにがり分を20%も残した塩を食べたい人はいるのだろうか?

おいしいと感じるかどうかは、塩に含まれるにがり分の量と割合により、その人によって好みは分かれる。

多くの塩は、その製塩過程で生まれるにがり分をどの割合でどれだけ残すかというところに苦心しておられるのだと思う。成分表をご覧いただければ、塩事業センター関連の規格塩以外は全て異なっているのがわかると思う。

塩は海からの授かりものであるが、塩づくりの原理が理解できると、塩は、海水そのものを濃縮、乾燥したものではなく、海水の主な成分である塩化ナトリウムと塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、塩化カリウム等の水溶液の濃縮と析出の過程での配合の妙であることがわかる。それこそが、製塩職人さんや製塩業者さんの腕の見せ所であり、その塩の値打ちなのだろう。

個人的な感想だが、塩そのものを舐めると、味の違いはわかるが、出汁に入れたり、料理にするとほとんど分からなくなる。

選び方として、醤油やみりんと同じように口に入れておいしいと思う塩がいい塩なのではないかと思う。

ちなみに筆者は、つけ塩には、「土佐の山塩小僧」、料理には、武富勝彦さんの「伊都の塩」、漬物には、武富勝彦さんの「手塩」、パスタを茹でたりするのには、「海の精」などを使っている。

衛生面を含めた安全性が高い塩

製法上、イオン交換膜によって海水中の汚染物質や有害な重金属、細菌類、人体に不要なせっこうを除去できるイオン交換膜塩だと考えられる。

真っ当に、真面目に、丁寧につくられている塩

塩そのものを舐めておいしいと思うのは天日塩に多いように感じる。真っ当に、真面目に、つくられている塩はおいしいと感じてしまう。やはり、イメージが先行する部分が大きいのでブラインドテストするのがいいのかもしれないが、その塩の背景も含めて好きな塩を買って使ってももいいのではないかと思う。

ただし、ホンモノの醤油やみりんは、マガイモノの50倍もしないが、おいしい醤油より高い塩もある。

海塩は海水からつくられている

やはり原料になる海水が気になるところだ。いい塩を理解するには、一度、海水と天日だけで自分で塩づくりをしてみるのがいいのかもしれない。 最後に、再度、「土佐の山塩小僧」の森澤さんの言葉を引用して締め括りとする。

「ここで塩をつくり始めて、つくづく思うのは、海と山は川で繋がっているということです。山が荒れると海も荒れ、山が豊かだと海も豊かになります。山で作るお塩に、海と山を繋ぎたいという想いと、この豊かな緑に包まれたおいしさを少しでも添えることができたらいいな、なんて考えながらつくっています。」

「以前、講演を頼まれて、神戸のホテルで、塩の話をしたんです。最後に、海水を汲んできて、トレイなんかに入れ、ラップして、太陽に当てておけば、誰でも塩がつくれます。すぐ傍の海から海水を汲んできて、このホテルのブランドで塩をつくったら如何ですか?って、提案すると、皆さん、そのなの誰も買わない、と言うんです。では、塩づくりもできない海にしたのは誰の責任ですか?塩づくりができるぐらい海をきれいにすることから始めては如何ですか?その海から自分たちが食べる塩をつくろうと思えば、合成洗剤や廃油等を生活排水として川や海に流せませんよね?って、話しました。」

「塩は誰でもつくれるので、塩づくりをすることで、海につながる山や川から、海を守ろうという気持ちを育てたいですね。そして、海と川や山が密接につながっていることをわかってもらえればいいなぁ、と思います。」

森澤 宏夫(もりさわ ひろお)さん
COREZO(コレゾ)「海と山は川で繋がっていると、海で生まれ、山で育ち、笑顔をつなげる天日塩、土佐の山塩小僧」賞 森澤 宏夫(もりさ...

参考 塩の成分分析

関連記事

意外に知らない塩のことその11、加工助剤って何?イオン交換膜塩の安全性
イオン交換膜塩の安全性と問題点 化学塩?だとか、ミネラルバランス?が悪いとか、何かと批判されるイオン交換膜塩を調べていると、加工助剤?...
意外に知らない塩のことその10、溶解度を覚えていますか?塩づくりの原理と技
塩づくりの原理と技 海塩づくりには気候条件の悪い日本では、さいかんとせんごうを組み合わせてつくられてきた。 伝統的な製塩法でつく...
意外に知らない塩のことその9、塩田でも繁殖する菌とは?
塩田でも繁殖する菌とは? 塩の防腐作用 塩は、その防腐作用により物が腐って消えてしまうことを防いだために、神秘的な力があると信じられ...

COREZO (コレゾ)賞 事務局

初稿;2015.04.28.

編集更新;2015.04.28.

文責;平野龍平

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Evernoteに保存Evernoteに保存

フォローする

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です