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固定種、在来種の野菜を食べる方法、その1
固定種、在来種の野菜は本当においしいのだろうか?
近所のスーパーに売ってないと云われると、食べてみたくなるのが人の常であり、「自分で育てて食べる」のも一つの方法である。
光郷城 畑懐(こうごうせい はふう)代表、中村 訓(なかむら さとる)さん
COREZO(コレゾ)「業務用に作られた野菜の売れ残りだけでなく、自分で育てた野菜を食べてみませんか?おいしい固定種、在来種の野菜を身近にするタネ屋さん」賞
https://corezoprize.com/satoru-nakamura
誰でも簡単に家庭でできる、固定種、在来種の野菜づくり
「ハハハハ、簡単ですよ。陽の当たるベランダでもあれば、このプランターバッグに、あっ、プランターがあればそれでもいいんですよ。『畑懐(はふう)の土』を8分目位入れて、前日に水をたっぷりやっておきます。翌日、野菜の種類によっては溝を作ってやった方がいいですが、水菜や小松菜なら、パラパラと種と種の間隔が1cmぐらいになるように蒔いて下さい。狭いところがあったり、重なったりしても構いません。で、『畑懐(はふう)の土』を種が見えなくなる程度に掛けて、水をやるだけです。」
「蒔く種はケチらないで下さいね。これも不思議なんですが、あまり種をケチって粗く蒔くと、芽の出が悪いです。競争して我勝ちにみんなで芽を出すのか、さらに、他よりも早く大きく育つ競争をして、勝ち残った元気なヤツに子孫を任せるのか、よく解りませんが、ある程度の量を蒔くことをおすすめします。」
『畑懐(はふう)の土』とは?
「昔からの固定種や在来種の野菜を育てるには、豊かな土壌が必要なので、種を販売するにあたっては、土もセットで用意しなければと思い、土作りも始めました。こちらにある『畑懐(はふう)の土』がその土です。いわゆる培養土なのですが、培養土とは、あらかじめ必要なものがブレンドされている花や野菜を育てるための土のことで、色々な種類がホームセンター等で売られています。」
「ウチの培養土の特徴は、①誰でも簡単に元気で健康な作物が栽培できる。②交換不要で、ぬか床のように年々、土が熟成する。③栄養価高く、美味しく安全な野菜が育つ。の3つです。」
「実は、プランターで園芸を楽しんでいる方の約80%が毎回新しい培養土を買っています。というのも、2回目以降の栽培は、必要な肥料を足しても1回目のようにうまく元気に育たないからなんです。そのため、古い培養土は庭や畑に捨てられ、都会では、少しづづ燃えるゴミとして処分しているのが実情で、年間約68,000トンもの残土が捨てられているのです。」
「2回目以降の栽培が上手くいかないのは、土がやせるからで、肥料分やミネラル分の消耗、微生物生育環境の悪化や土の粒子構造の悪化が原因だと言われています。再生剤というものも売っているのですが、それを入れて、条件を整えても、また生育不良がおこります。ところが、古くなったプランターの土を庭や畑、山に戻して、1〜2年休ませた培養土に肥料を混ぜると、1回目のように元気に植物が生育するのです。」
「土はやっぱり生きている!って、改めて気が付きました。自然には、元に戻ろうとする力、自然治癒能力や自己調整機能があります。それで、それらをもっと積極的に伸ばす良質な堆肥づくりを目指して開発しました。」
「ウチのうちのオリジナル培養土は、近郊から集まる枝や葉、幹を熟成し、堆肥を作ります。そこに天然ミネラルと山土を混ぜ数年の時間をかけてじっくり寝かせて作っています。この元土の畑懐の土(畑)をそのままプランターに入れて苗を植えたり、種を蒔きます。植物が枯れたら、古い根を取り除き、こちらの育てる素の畑懐の土(懐)を土に混ぜ、しばらく置いてから、新しい苗を植えたり、種を蒔きます。」
「2作目以降は、この(懐)のみを使います。土に混ぜるのは『土の再生剤』と同じですが、植物が成長すると色々なものが土から無くなります。そのすべてを補い、再生させるのではなく、ぬか床のように年々、土を熟成させて、土中のミネラル、微生物、腐植、地力の全てを熟成します。」
土の違いで野菜の味は違う?
「土の違いで野菜の味が違うのかという実証実験をして、実際にお客さんに食べ比べてもらうと、あまりにも美味しい!という意見が多いので、食品分析センターに分析を依頼しました。すると、二十日大根では、一般的な畑栽培よりも20〜100%アップのミネラル量があることがわかりました。カルシウムに至っては2.5倍も多く含まれていました。ごく一般的に売られている牡蠣殻を土に混ぜたところで、すぐに植物がカルシウムとして吸収できる訳ではなく、微生物が食べて、細かくしてもらわないと吸収できる状態にはならないのです。」
「また、味が良いのは、アミノ酸の量やバランスではないかとも考えています。これらは、未だ分析をしていませんが、アミノ酸は植物も作りますが、微生物も作ります。そんな有効微生物が土壌にいるというデータはあります。」
育てるという行為をすれば、きっと何かしらの発見がある
「1週間もすれば芽が出てきますので、適当な大きさになったら、元気そうなのを残して、混んでいるところを間引いて下さい。間引いたのも食べて下さい。おいしさの先取りです。」
「とにかく身近に植物と接してもらいたいのです。何でもいいから、育てるという行為をしてもらいたい。きっと何かしらの発見があると思うのです。育てるという行為は、判断能力を伸ばしたり、自立ということにもつながるでしょうし、それができる環境を皆さんと協力して作っていけたらいいですね。」
「どうやって育てるの?と心配される方も多いのですが、ご自分の子供さんはなんとか育てられている訳でしょ?ま、親が環境さえきちんと整えれば、子供たちは勝手に育っていく訳ですよ。野菜も同じです。土がよかったら、50%成功。蒔き時期や品種にこだわれば、さらに25%成功。残りの25%は自分で水をやったり、どれだけ愛情を注げるかですね。」
どんな野菜のどんな品種を作るかという目的が大事
「初めて家庭菜園を始める方はスーパーで売っている野菜を目指しちゃうんですが、家庭菜園で、家族が年間食べる食糧を作ることはほぼ不可能に近いです。それをわかった上で、どんな野菜のどんな品種を作るかという目的が大事なのです。家庭菜園なら、土にもお金を掛けられますから、おいしくて、1枚の葉っぱで料理の栄養価が跳ね上がるぐらい滋養分の多い薬草的なレベルの野菜を作ることも可能で、それが醍醐味だと思います。私たちの命を育む母なる大地なのだから、資産として考えましょうよ、という言い方をしています。」
「スーパーで買って来たのよりおいしいと言う発見だけでも、食に対する考え方が違ってきます。先程も申し上げたように、私たちは業務用に作られた野菜の売れ残りをスーパーで買って食べているような時代に生きていることをよく認識しなければなりません。確かに、今の食を取り巻く環境をみると、『自分が食べたいものは自分で作って食べる』時代になっているのかもしれません。」
まとめ
まんまと、中村さんの術中にハマってしまって、『畑懐(はふう)の土』とプランターバッグ、京水菜、丸葉小松菜、天王寺かぶの種を買って庭で育てたのが、秋蒔き野菜だと、種を蒔いて、芽吹いたら間引きして、あとは放ったらかしで収穫できた。
それでも初めて自分で育てた野菜は一味違うというか、美味しく感じる。収穫量からすれば、対費用効果が低過ぎて、スーパーで売ってる同じ種類の野菜と比較はできないが、やってみる価値は十分にあり、毎年、育てるようになった。
さらに、図に乗って、畑を貸してもらって自然農による春蒔き野菜栽培に挑戦したが、雑草が生い茂って大失敗をした。
人生、何事も経験が肝心。農家の皆さんのご苦労もわかって、一層、食べ物を大切にしようという思いも強くなった。
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COREZO (コレゾ)賞 事務局
初稿;2015.06.13.
編集更新;2015.06.13.
文責;平野龍平
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