種タネの話21、種を支配するものは世界を支配する⁉︎どエライことになっている種苗業界

どエライことになっている種苗業界

世界の種苗会社ランキング

1997年度

1位パイオニア(米)、2位ノバルティス(スイス)、3位リマグレイングループ(仏)、7位タキイ種苗、10位サカタのタネ

世界の大手10社は全て純粋な種苗会社だった。

2007年度

1位モンサント(米・世界シェア23%)、2位デュポン(米15%)、3位シンジェンタ(スイス9%)、サカタ(日2%未満)、10位タキイ(日2%未満)となり、

1997年からたった10年で、上位は化学薬品工業企業に様変わりしてしまった。

2011年度

1位モンサント(米・世界シェア26%)、2位デュポン・パイオニア(米18.2%)、3位シンジェンタ(スイス9.2%)、サカタ(日1.6%未満)、10位タキイ(日1.6%未満)

大手は、世界各国の種苗会社を買収し、さらに寡占化が進んだ。

現在、世界最大のバイオメジャー企業はベトナム戦争時に枯れ葉剤を製造していたことでも有名である。

世界の農薬大手ランキング

2011年度

1位シンジェンタ(スイス・世界シェア23.1%)、2位バイエル(独・17.1%)、3位BASF(独12.3%)、4位ダウ(米9.6%未満)、5位モンサント(米7.4%)、6位 デュポン(米6.6%)

モンサントがシンジェンタの買収に失敗

2015年5月、ブルームバーグの報道によると、モンサントが昨年に続いて、種苗世界3位、農薬世界最大手のシンジェンタの買収に動いたが、417億スイス・フラン(約5兆4200億円)の買収提案を拒否されたそうだ。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NO0T926JIJV401.html

もし、買収が成功していた場合、2011年のデータでは種苗で約35%、農薬で約30%となり、当然ながら、2つの分野で世界最大となっていた。

寡占化の進む種苗、農薬市場

2011年における上位3社のシェアは、種苗では約53%、農薬では約48%と、それぞれのほぼ半分を占めて、上位10社のシェアは、種苗で約75%、農薬では94%を占める。

種苗では、1985年に6.8%であった上位3社のシェアは、2009年には47%、2011年には53%にまで急増した。

ターミネーター・テクノロジーとは?

ターミネーター・テクノロジーとは、遺伝子操作により、次世代の種を付けても発芽ができない技術で、種苗会社の権利と利益を守るために開発されたという。この遺伝子を組み込まれた種は、花が咲き、飛び散った花粉がついてできた種は、次に地面に蒔かれて発芽しようとした途端、組み込まれた遺伝子から毒素が出て自殺させられてしまう。第2世代は発芽しようとしても枯れてしまうので、GM遺伝子汚染がなくなるというが、この花粉と交雑したこれ以外の植物も同様に、発芽の際に自殺させてしまうという何とも恐ろしい技術だ。

このターミネーターという特許技術は巨大な富を生むが、農家の自家採種を不可能にして、バイオメジャ-1社による世界の種苗支配に通じ、さらに、こんなものが環境中にどんどん広まれば、遺伝子汚染が進み、生態系への致命的な悪影響が引き起こされると世界中で猛反対されて、商品化を見合わせるという声明を出しているが、他のバイオメジャーでも同様の研究開発を進めていて、既に別の特許も取得しているという。

1社による農業支配ではなければいいだろう、どういう条件だったら地球上で栽培してもいいのか決めてくれ、と国際会議に出しているそうだが、今のところはまだ許可はされていないようだ。やがてはこれもバイオメジャー各社の圧力で使われるようになるのではないかと懸念されている。

種を支配するものは世界を支配する

「種を支配するものは世界を支配する」といわれてきたが、世界にあった純粋な種屋はGMO産業、バイオメジャ-に買収され、飲み込まれてしまって、上位5社の世界シェアは60%を超える。規模が違う(今回も5兆円超えの買収を仕掛けている)ので、株式を公開しているタネ屋は狙われて、買収を仕掛けられたら、なす術がないという。

韓国では、種苗大手5社がバイオメジャーに株を握られて資本傘下におかれた結果、欧米では食べない大根等の根菜類、ハクサイ他、キムチ用野菜の開発、育種ができなくなった。それは困るということになり、韓国財閥が韓国キムチ用野菜の事業権を買い戻すことになったらしい。

売上規模では1/10以下の日本の種苗会社も戦々恐々としているそうだ。

遺伝子組み換え農作物は、遺伝子が単一で、多様性がないため、耐性がない病虫害に弱いという側面が有り、全滅する危険性も大いにはらんでいる。

こうした種苗業界の寡占化の進展は、企業による農業=食料への支配力を強めることは言うまでもなく、この100年間で野菜の品種の93%が失なわれたとされる米国のように、農作物品種の多様性を減少させ、病害虫や気候変動への対応性を減らすことにつながりかねない。

まとめ

食の選択の自由や権利なんてただの幻想になりつつある

今後、F1種から、さらに遺伝子組み換え種子に取って代われば、遺伝子組み換え作物を望むか望まないかという私たちの意志とは全く関係なく、種子会社の販売する遺伝子組み換え種子の作物しか口にできなくなるかもしれない。

現実に、種苗メジャーと呼ばれる上位3社だけで、世界の商業種子売上の80%以上を占め、種子の特許取得件数の半分以上を握り、さらに、世界各国の種苗メーカーを買い漁って独占を進め、すでに韓国の種苗会社は全てメジャーに買収された。

そして、F1種に過度に依存するリスクを認識し、何とか在来種を残したいと考えたとしても、消費者ができることはほとんど何もないという。そもそも今では、市場で売られている野菜は、有機栽培を含め、F1種がほぼ100%で、無農薬や非遺伝子組み換え作物は選択できても、食べたい在来種を自由に市場で買い求めることなど、ほぼ不可能に近く、食の選択の自由や権利なんてただの幻想で、チャンチャラおかしい状況だということを知っている人はどれほどいるのだろう?

日本国内の種子の自給率

日本の食料自給率がカロリーベースで39%しかないとかで騒いでいるが、日本国内の種子の自給率は10%もないという現実をどれだけの人が知っているのだろう?

考えない、考えたくない消費者は何かしらコントロールしたい側の思うツボ

メンデルの法則?優性遺伝?雑種強勢?ミトコンドリア?、???、生物を受験科目に選択しなかったツケは大きい。そういえば、医学部受験でも生物が選択科目になっていることが問題になっていた。

知らん、知らんかった、と言い訳をし、難しい、わからん、考えない、考えたくない、と思考停止して、スルーしてしまう消費者は、何かしらのコントロールをしたい側の思うツボなのではないだろうか?

ま、どう考えるか、何も考えないのも自由だが、手遅れになる前に、気づいた人から、考えて、行動した方がいいのでは?

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COREZO (コレゾ)賞 事務局

初稿;2015.06.10.

編集更新;2015.06.10.

文責;平野龍平

 

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