開発中、実用化過程の遺伝子組換え農作物とは?
従来のGM作物は生産効率の向上を目指したものがほとんどだったが、これからは、栽培条件に耐性を持たせたもの、品質や付加価値、機能性を向上させたもの、それも消費者の意識を逸らすために加工品や飼料として使用する目的での開発が主流になるという見方が強いそうだ。
悪条件耐性作物
遺伝子組換えによって、砂漠のような乾燥した土地、塩分や有害金属などが含まれる土地、酷暑や酷寒の土地など、生育条件の悪い環境でも栽培できる農作物をつくり出すために、凍てつく海でも凍らない魚や塩田でも生き続ける好塩菌などの遺伝子の研究が進んでいるという。
このような悪環境耐性作物が実用化されれば、これまで農地化されていなかった土地が農地として使えるようになるメリットが生まれる一方で、自然を破壊し続けてきた農業の歴史を振り返るまでもなく、農地として使われていなかった土地まで利用されることにより、生態系が壊されることが懸念されている。
栄養強化農作物
高オレイン酸大豆
オリーブオイルなどに多く含まれ、健康に良いとされるオレイン酸の含有量を従来の大豆の3〜4倍に高めた大豆
ゴールデンライス
世界中でビタミンA欠乏症で苦しんでいる人が4億人もいて、毎年200万人の子供が亡くなっているそうで、体内でビタミンAに変わるベータカロチンの含有量を高めたお米
機能性農作物
多機能性イネ
糖尿病に効果、花粉症緩和に効果、低アレルギー性、高栄養素、コレステロール抑制など、さまざまな性質を持たせ、体質や体調に合わせて選択できるイネ
カフェインレスコーヒー
心筋梗塞、妊娠中、睡眠障害など、カフェインがもたらす影響でコーヒーが飲めなかった人も多いようだ。従来のカフェインレスコーヒーは、カフェインをとり除く課程で、うま味成分にも影響を及ぼしていたが、味、香り、コクなどコーヒー本来のおいしさをそのままに、カフェインの含有量のみを減らす「コーヒーの木」
医薬品用農作物
化学薬品を生み出す農作物
合成が困難で高価な化学薬品が含まれるような農作物を遺伝子組み換えで新たにつくり出すなど、医薬品の分野で利用するための研究、栄養強化作物や薬効成分を強化した生薬やハーブの開発が進められているそうだ。
病気予防ワクチン入りバナナ
「遺伝子組換え」により、感染症を引き起こすウィルスを構成するタンパク質のごく一部分の遺伝子を組み込んだ「B型肝炎ワクチンバナナ」、「コレラワクチンバナナ」などの食べるワクチン。
参考
http://www.monsanto.co.jp/index.html
まとめ
遺伝子組み換え農作物が商品化されて、市場に出回り始めてからまだ20年ほどしかたっておらず、それ自体の安全性が確立されているとは云えないはずだが、あっという間に世界中に拡がり、既に、2013年度に最も多く栽培された遺伝子組み換え作物は引き続き大豆で、8,450万ヘクタール(世界の遺伝子組み換え作物栽培面積の48%)で栽培され、2012年度に比べて380万ヘクタール増加し、大豆に引き続き多かったのが、トウモロコシの5,740万ヘクタール(同33%、前年比4%増)で、ワタ2,390万ヘクタール(同14%、前年比-2%減)、ナタネ820万ヘクタール(同5%、前年比11%減)となっているらしい。
さらにさまざまな機能性を高めた品種が開発されているようだが、それ自体の安全性が確立されているとは云えないはずなのに、そんなもので健康な食生活を送れるのだろうか?
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COREZO (コレゾ)賞 事務局
初稿;2015.06.05.
編集更新;2015.06.05.
文責;平野龍平
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