種タネの話18、GMO遺伝子組み換え農作物とは?その種類と作付面積

GMO遺伝子組み換え農作物とは?その種類と作付面積

今回は、GMO遺伝子組み換え農作物の種類と作付面積について。

代表的な遺伝子組換え農作物

現在、実用化されている代表的な遺伝子組換え農作物は、害虫に強い性質(特定の虫を殺す毒素を出すバクテリアの遺伝子を組み込む)や除草剤耐性を導入したもので、商用栽培されているものには、ダイズ、トウモロコシ、ナタネ、ワタ、テンサイ、ジャガイモ、パパイヤ、ナスなどがある。

なお、トウモロコシでは、アフリカの乾燥地帯でも栽培できる乾燥耐性のあるGMO遺伝子組み換え種が開発され、すでに供給されているそうだ。

遺伝子組み換え農作物の世界の作付面積

遺伝子組換え農作物が本格的に販売されたのは1996年で、この時点での遺伝子組み換え農作物の世界の作付面積は170万haだったとされる。

全世界のGMO作付面積は20年足らずで100倍に

農業は、病気・害虫・雑草との戦いだといわれ、これら遺伝子組換え農作物なら、農家を悩ませてきた害虫退治や雑草取りによる手間やコストを削減することができると、特に、米国、カナダ、アルゼンチン、中国で大歓迎され、2001年には、5,260万ha(日本の総作付面積の約12倍)、2011年には、世界29カ国で、1億6,000万ha(内、途上国が8,000ha)と、急激に拡大しているそうだ。

さらに、2014年2月に発表された国際アグリバイオ事業団(ISAAA)の報告によると、2013年の世界の遺伝子組み換え作物の栽培面積は、2012年の栽培面積合計の3%に相当する500万ヘクタール増加して、1億7,520万ヘクタールとなり、日本の農地面積の約40倍に相当し、遺伝子組み換え作物の商業栽培が開始された1996年と比較すると、その栽培面積は100倍以上に増加したことになる。

また、2013年の途上国の栽培面積は、世界の遺伝子組み換え作物面積の54%を占め前年度の52%から更に拡大し、先進工業国と発展途上国の栽培面積の差は、2012年の700万ヘクタールから2013年には1,400万ヘクタールに倍増した。

世界の国別GMO作付面積(2013年度)

1位、米国7,010ha(トウモロコシ、大豆、ワタ、ナタネ、テンサイ、アルファルファ他)、2位、ブラジル4,030ha(大豆、トウモロコシ、ワタ、3位、アルゼンチン2,440ha(大豆、トウモロコシ、ワタ)、4位、インド1,100ha(ワタ)、5位、カナダ1,080ha(ナタネ、トウモロコシ、大豆、テンサイ)

全世界のGMO作付面積、1位大豆、2位トウモロコシ…

2013年度に最も多く栽培された遺伝子組み換え作物は引き続き大豆で、8,450万ヘクタール(世界の遺伝子組み換え作物栽培面積の48%)で栽培され、2012年度に比べて380万ヘクタールの増加。大豆に引き続き多かったのが、トウモロコシの5,740万ヘクタール(同33%、前年比4%増)で、ワタ2,390万ヘクタール(同14%、前年比-2%減)、ナタネ820万ヘクタール(同5%、前年比11%減)と続く。

遺伝子組み換えで導入した形質別で見ると、除草剤耐性、害虫抵抗性など複数の形質を併せ持つ、スタックと呼ばれる品種の普及が拡大し、遺伝子組み換え作物を栽培する27カ国のうち13カ国がスタック品種を栽培しており、うち10カ国が開発途上国。2013年には、遺伝子組み換え作物の総栽培面積1億7,520万ヘクタールの27%、面積にして4,700万ヘクタールでスタック品種が栽培され、今後も、スタック品種の普及は持続すると予測されるという。

世界で遺伝子組み換え作物を栽培する農業生産者は、2012年より70万人増加して1,800万人となり、このうち90%以上、1,650万人以上が、開発途上国の資源に乏しい小規模農業生産者だとのこと。

今や全世界で生産される大豆の79%がGMO

世界の全作付け面積に対する遺伝子組み換え種の割合(2013年)は、大豆79%、ワタ70%、トウモロコシ32.4%、ナタネ24%、すべてが日本のサラダ油の原料である。

参考

http://www.monsanto.co.jp/data/plantarea.html

http://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/carta/pdf/gm_sakumotu_kanri_201404.pdf

http://www.nias.affrc.go.jp/navi/index3.html

http://www.monsanto.co.jp/data/countries.html

まとめ

GMO遺伝子組み換え作物が商用栽培されているのは、北米、南米を中心に世界29カ国で、欧州では、スペインの他5カ国でトウモロコシが栽培されている。

2013年時点で、先進国の栽 培面積は横ばいであるのに対し、開発途上国では増加(対前年比 +6%)しており、中でも、中 国、インド、ブラジル、アルゼンチン及びパラグアイ等で高い伸びを示している。

日本がその多くを輸入に頼るトウモロコシ、ダイズ、 ワタ、ナタネでは、GMO遺伝子組み換え農作物の摂取は避けられないのが実情。

従来は、トウモロコシ、ダイズ、 ワタ、ナタネの4作物が中心だったが、今後、サトウキビ、イネ、コムギや機能性や特定の成分を高めた作物などの栽培が見込まれている。

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COREZO (コレゾ)賞 事務局

初稿;2015.06.06.

編集更新;2015.06.06.

文責;平野龍平

 

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