COREZOコレゾ「丁寧な焙煎こそ命、フェアトレードで仕入れたオーガニック豆を品種毎に焙煎後、ブレンドする至高の珈琲づくり」賞
森口 鍛(もりぐち きたえ)さん
プロフィール
京都府京都市
有限会社グリーンアイズ 代表
ジャンル
ものづくり
珈琲豆の選定、買い付け、焙煎、販売
経歴・実績
受賞者のご紹介
山岡さんのけんこう舎で取り扱っておられるグリーンアイズのコーヒーを何度か飲ませてもらっていた。「平野さんと合うかどうかわかれへんけど、おもしろいおっちゃんやから、連れてこか?」ということで、お連れ頂いた。
コーヒーを扱うようになったきっかけ
―元々、コーヒーがお好きだったのですか?
「学生の頃、よく通った有名なジャズ喫茶でコーヒーの味に興味を持ち、コーヒーの卸会社で15年働き、そこでコーヒー豆の目利きや焙煎の技術も覚えました。会社に提案して、僕が販売したいコーヒーを仕入れから、焙煎、販売もさせてもらっていたのですが、それができなくなってしまったので、1992年に独立しました。豆の選定、買い付け、焙煎まで、全ての工程を私自身でやっています。」
本当においしいコーヒー
「コーヒーの味は焙煎でほぼ決まりますが、一般に販売されているコーヒーはヒドイものです。じっくり、丁寧な焙煎をしているところはほとんどありません。」
酸化し易いコーヒー
「コーヒーは、通常行われている一般的な焙煎方法だと非常に酸化しやすく、豆で1週間、粉に挽くと3日、淹れると30分で酸化して、身体にはむしろ有害なものになってしまいます。酸化しやすい浅煎りの方が歩溜りもよく、コストが下げられまから、大手業者は、一度に大量に高温焙煎して、4~5分で仕上げてしまいます。豆の個性や特徴、味の犠牲なんかはおかまいなしで、生豆でブレンドし、一斉に焙煎するという荒っぽいやり方をしているところが多いように思います。」
「豆を均一に焼き上げるためには、しっかり乾燥させることが大事で、乾燥が不十分だと豆の中心部への火の通りが悪く、生焼けの部分が残ります。すると、タンニンなどの成分が残り、味が悪くなるばかりか、胃もたれの原因になったりして、身体にも良くありません。」
生豆を十分乾燥させ、低温でじっくり焙煎
「仕入れた豆を十分に乾燥させてから、低温でじっくりと焼き上げることで、豆の中心部までしっかり火を通すことができます。ウチの場合、豆の状態を目と五感で感じながら、焙煎の温度や時間を細かく調節し、豆の種類毎に20~25分かけて焙煎します。」
品種毎に焙煎してからブレンド
「コーヒー豆は、産地や種類、その時々の状態で、乾燥度合い等々が異なりますから、それらを生豆の状態でブレンドして一度に焙煎してしまうと、ある豆は焼き過ぎだったり、ある豆は生焼けだったり、満足な焼き上がりにはなりません。ウチでは、生豆1種類毎にベストな状態に焙煎した後、焼き上がったものをブレンドします。手間も時間もかかりますが、そうしないと、美味しいコーヒーはできません。」
長い煙突を使用する理由
「後で、外からご覧いただければと思いますが、焙煎機から出る煙を排出する煙突をビルの側面に建物以上の高さまで伸ばして設置しています。これにも理由があって、長い煙突を使用すれば、空気の出口が遠くなり、それだけ焙煎時に出る煙を効率良く吸い上げてくれます。煙をしっかり抜いてやる事で、スモークの臭さが抜けたスッキリとしたコーヒーになります。」
ブレンドの割合もその都度調整
「有機認証のあるコーヒー豆だけを使用していて、輸入時の燻蒸もしていないものです。味を大切にするため、ウチのブレンドコーヒーには、メキシコ、グァテマラ、ペルー、ブラジルの高地で生産されるアラビカ種を3~4種類、使っていますが、コーヒー豆は農作物ですから、収穫年度によっても作柄が変化するので、ブレンドの割合もその都度調整しています。」
アラビカ種とロブスター種
「主に、アジア、アフリカの低地で生産されるロブスター種は、色はよく出ますが、味が落ちるので使いません。安いコーヒー用の増量剤やインスタントコーヒーの原料としてよく使われています。」
「リキッドタイプのアイスコーヒーも作っているのですが、ウチは、1L当たり60gのコーヒー豆を使用して、ほんのり甘く、サラッとした喉ごし、きっちりとした後味で、セラミック濾過をして、口当たりのよいコーヒーに仕上げています。通常、市販されているアイスコーヒーは、1L当たり35~40gのコーヒー豆でつくられ、着色に1~2割のチコリを使っているところもあります。」
「最近、驚いたのは、あるコンビニチェーンの100円コーヒーです。あれはよくできていると思います。缶コーヒーなんかは売れなくなるでしょうね。」
コーヒーは嗜好品
―オーガニックコーヒーもフェアトレードで取引されたものだけを使っておられるとか?
「コーヒーは嗜好品ですから、美味しくなければ広がっていきません。それに毎日飲んで頂くのなら、安全なのは当たり前のことです。」
虫が付きやすいコーヒーに農薬は当たり前
「この写真をご覧になって下さい。大体、コーヒーは、このような広大な農園で栽培されているのですが、虫がつきやすいので、専用の散布車で大量に殺虫剤をまくんです。それがどのくらい凄まじいかということは、容易に想像がつくでしょう?」
「そんな農薬が大量に使用される生産現場で、労働者は低賃金で危険な労働させられているのです。その上、輸送時にカビや害虫が発生しないようポストハーベスト農薬が使用されます。」
コーヒーは石油に次ぐ大きな国際金融商品
「コーヒーは、世界で毎日約20億杯も飲まれていますが、一大生産国のブラジル等では、ごく近年までは、コーヒーを飲む習慣がありませんでした。労働者の賃金が低くて飲めなかったのもその理由のひとつですが、実は、コーヒーは石油に次ぐ大きな国際金融商品で、大きな利権が絡んでいるのです。」
「実際、生産者が価格決定に参加できるなんてことはほとんどなく、欧米の市場で価格が決まってしまいます。コーヒーの原材料価格が上ったなんて報道されていますが、豊不作に関係なく、近年、コーヒー相場の低迷が続いていて、多少、価格が上ったところで、生産者原価は極端に抑えられ、1杯のコーヒーの中での生産者の手取り分は、販売価格の1~3%以下だとも云われています。」
「産地の違いや生豆の選別、焙煎の仕方によって、コーヒーの味は大きく変わりますから、焙煎された豆の販売価格は量販店向けと高級な喫茶店向けとは何倍もの差が生まれ、食のグローバル化を象徴する商品なのです。」
フェアトレードのコーヒーは品質が良かった
「フェアトレードのコーヒーは生産者を支援するためにやってきただけではなく、そのコーヒーの品質が良かったから続けてこれたのです。コーヒーは亜熱帯~熱帯地方で採れる産物で、収穫時期は産地によって違います。そんな豆を一定の品質にして味を保っていくのは焙煎の技術ですが、私の仕事は、丹精込めて生産されたコーヒーをより美味しく飲んで頂けるようにしているだけで、消費者の皆さんには、もっと、生産者の方に目を向けて欲しいのです。」
消費者には生産者の方に目を向けて欲しい
「品揃えのひとつとして、フェアトレードのコーヒーを扱っている流通もありますが、生産者がオーガニックで丁寧に作っているから品質が高く、美味しくて、消費者の皆さんが続けて飲める価格だから拡がって行くのです。私は、フェアトレードをしている業者さんともお付き合いをして、現地の農場も視察した上で、フェアトレードで、いいコーヒーの生産を続けられるように取り組んでいる信頼できるところを選んで取引をしています。」
作る人、運ぶ人、食べる人がしっかり見える関係
「JAS有機認証マークを信奉する消費者が増えているようですが、安全な食べものを食すには、作る人、運ぶ人、食べる人がしっかり見える関係を大切にしなければなりません。」
毎朝、自分で生豆を焙煎して、コーヒーを飲んでいたが、グリーンアイズのブレンドコーヒーを購入して以来、自家焙煎は止めた。
COREZOコレゾ「丁寧な焙煎こそ命、フェアトレードで仕入れたオーガニック豆を品種毎に焙煎後、ブレンドする至高の珈琲づくり」賞
※本サイトに掲載している以外の受賞者の連絡先、住所他、個人情報や個人的なお問い合わせには、一切、返答致しません。
COREZO(コレゾ)賞 事務局
初稿;2015.11.25.
最終取材;2015.4.
最終更新;2015.11.25.
文責;平野 龍平
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