和食の調味料、日本の調味料といえば、何だろう?
和食の基本調味料
一般に、和食の基本調味料「さしすせそ」とは、「砂糖」、「塩」、「酢」、「醤油(せいゆ)」、「味噌」のことを指すようだ。
昔から、煮物を作るときには、この順番で調味料を使うとよいと云われてきた。
- 砂糖(甘味)は、分子が大きく素材に味がしみ込み難いため、また素材を柔らかくする働きもあるのでを最初に入れる。塩や塩分を含む醤油を先に入れると、分子構造の小さな塩が先に入り込んで、食材に甘味が付きにくくなる。
- 塩は、浸透圧で材料の水分を外に出す作用があり、あまり早く入れると、素材がかたくなるなるので、煮汁の味を決める段階で入れる。
- 酢は、塩以上に食材に味が染みにくくする作用があるため、塩より後、酸味がとんでしまわないように、調理の進行を見計らって入れる。
- 醤油、味噌は、風味は、楽しむためにも、仕上げに入れる。
- 酒・みりんなどの酒類を入れる場合は、アルコールには、臭み消しと食材の味付けを促進させる作用があり、砂糖よりも先に入れる。なお、マガイモノみりんはこの限りではない。
- 魚の煮付けは、最初にすべての調味料を煮立たせてから魚を入れることで、味がしっかり染みるだけでなく煮くずれも防げる。
消費者の和食の調味料に対する意識
ある消費者に対する意識調査によると、「和食に欠かせない調味料」という質問に対して、
1位は「しょうゆ」(98.4%)で、2位以下は、「だし」、「みりん」、「みそ」、「砂糖」、「酒」、「塩」、「酢」、「めんつゆ」、「ポン酢」の順
調味料売り上げ金額の順位
売り上げ金額の順位では
「マヨネーズ」、「ポン酢」、「ドレッシング」、「ケチャップ」、「粉末だしの素」、「砂糖」、「だしつゆ」、「だし入り味噌醤油」、「焼き肉のたれ」、「液体だし」の順
個別の商品の順位であるが、傾向はつかめると思う。
まとめ
売り上げ金額の順位では、11位以下も合わせ加工調味料が続き、「砂糖」以外の和食の基本調味料である「塩」、「酢」、「醤油」、だし入りでない「味噌」は、20位以内にもランキングされていない。
消費者の意識にも、「だし」はともかく、「めんつゆ」、「ポン酢」等の加工品が和食の調味料として認識されていて、今後、この傾向がさらに進むと考えられる。
「和食」とは、「日本人の伝統的な食文化」であり、調味料にも味噌、醤油、酢、みりん、酒など、日本の気候風土と自然界に棲む微生物の力を借りて原料のうまみを引き出した醸造醗酵調味料が多く、保存が利き、素材の味をさらに引き立ててくれる。さらに乾燥や燻製で保存性を高めた昆布やかつお節、煮干しや干し椎茸などからとる日本独特の出汁の文化も発達した。
と書いたが、家庭で調理しても、出汁はとらない、基本調味料を使って調味をしない人がどんどん増えているということである。
「経済」と「効率」を最優先する社会の流れに飲み込まれて、生活者も消費者も無意識のうちに「利便性」と「快適性」を優先して、見失ってしまったこと、犠牲にしていることが多いはずだ。
和食の基本調味料から見直すことで、忘れかけていた、さまざまな「大切なもの・こと」が見えてくると思う。
COREZO(コレゾ)賞 事務局
初稿;2015.04.12.
最終更新;2015.04.12.
文責;平野 龍平
コメント