早川 昌吾(はやかわ しょうご)さん/合資会社八丁味噌 副社長/カクキュー八丁味噌

COREZOコレゾ 「背負った正保2(1645)年創業の伝統は重いが 楽しみな人生をいただいたと、伝統製法を守るのはもちろん、時代に合わせた使い方を提案し 次代に繋ぐ覚悟の二十代(最有力候補)」 賞

早川 昌吾(はやかわ しょうご)さん/合資会社八丁味噌 副社長/カクキュー八丁味噌

プロフィール

合資会社八丁味噌 副社長

1984年、岡崎生まれ、岡崎育ち

名城大学 理工学部 電気電子学科 卒業

自動車部品メーカー 設計部 に就職

28歳の時、合資会社八丁味噌に入社、醸造部・製造部を経て、社長室長

2022年 副社長に就任

合資会社八丁味噌

正保2(1645)年 創業

昭和56(1981)年 合資会社八丁味噌に社名変更

平成3(1991)年12月 史料館を開設 

平成5(1993)年4月 売店を新設 

平成8(1996)年12月  本社屋と史料館が国の登録有形文化財に登録される

平成17(2005)年11月~  NHK朝の連続テレビ小説「純情きらり」のロケ地となる

平成29(2017)年フードコート「岡崎カクキュー八丁村」を新設

副社長就任の抱負

約380年の歴史があり、創業当時から伝統製法を守って八丁味噌をつくり続けており、その伝統製法はしっかり守りながら、時代、時代に合わせた使い方を提案して、今後、100年、200年と続くように、次の代に引き継いでいくことが大きな使命、とおっしゃる。

八丁味噌 GI問題

農林水産省のWebサイトによると

日本には、神戸ビーフや市田柿など、地域には長年培われた特別の生産方法や気候・風土・土壌などの生産地の特性により、高い品質や評価を獲得するに至った産品が多く存在するが、これらの産品のうち、品質や社会的評価など確立した特性が産地と結び付いている産品について、その名称を知的財産として保護する制度が「地理的表示(GI:Geographical Indication)保護制度」。

GI保護制度では、公表された明細書(産地、特性、生産の方法等を記載した書類)の基準を満たす産品のみにGIを使用することができ、GIの不正使用については、行政が取り締まりを行い、さらに平成31年2月からは、新たに広告やメニュー等におけるGIの使用やGI産品の名称と誤認させるような表示についても規制対象となった。

また、これらの産品の名称が海外においても保護されるためには、輸出先国においても日本の産品の名称がGIとして保護されることが有効であることから、日本のGI保護制度と同等の制度を持つ外国との間で国際協定を結ぶことで、相手国と相互にGIを保護することが可能となる。現在、EU・EPAに基づき、日本のGI48産品、EUのGI71産品が相互に保護されている。

八丁味噌のGI問題は、COREZOのWebページ十九代早川久右衛門さんのご紹介ページでも取り上げているので併せてお読みいただきたい。

GI制度は、その土地の伝統製法で作られた製品を守っていく制度と捉えていたが、八丁味噌の伝統製法を守り続けてきた、まるや八丁味噌さんとカクキューの組合は登録されずに愛知県の他の組合が登録されると云う現実があり、結果として、八丁味噌という名称を続けていくには、GI制度が重荷になってしまっている。

個人的には、今の八丁味噌の品質を評価した消費者、ファンの皆さんが求めてくださっているいるので、伝統製法をGIで謳える、謳えないは関係なく、製法を守り続けることが、根本的に大事なことであり、それをカクキューという企業が永続的に経営することで、文化、歴史とともに守って行くしかない。八丁味噌を取り巻くGI問題について、世間一般の方はご存知ないので、カクキューの施設内に現状を広報するコーナーを設けてお知らせしている。最終的な結論は出ていないので、今後、どうするか、まるや八丁味噌さんと詰めながら対応して行くつもりだ、とおっしゃる。

GI登録された組合の八丁味噌

カクキューとまるや八丁味噌さんが守ってきた伝統製法でつくっているから、八丁味噌独特の渋味、酸味を特徴としたコクの強い味噌ができるが、2社で決めた伝統製法でつくっていても、風味は異なり、製法が異なれば、風味が異なるのは当然のことなので、伝統製法の八丁味噌を求める消費者の皆さんが戸惑わないような表示も含めて差別化をしていく必要がある。

カクキューさんとまるや八丁味噌さん、及びその関連会社である、見学・販売の2社を合せた計4社で設立した「八丁味噌協同組合」のWebサイトによると、「八丁味噌協同組合の八丁味噌」と「農水省(GI)登録の八丁味噌」では、下記のような違いがある。

「愛知県味噌溜醤油工業協同組合(組合員39社)」には、COREZO賞を受賞してくださった豆味噌の醸造蔵さんも加盟されているが、1社も自社商品に「八丁味噌」の名称は使っておられない。

蔵見学(産業観光)

蔵見学の意義

19代現社長が自社の歴史ある建物と伝統製法を守りながら、八丁味噌という名称は知っていても、製法は知らない方がまだまだたくさんいらっしゃるので、消費者の皆さんにもご覧いただきたい、と云う思いから始めたが、フードコートも自社運営になったので、是非、足を運んでいただいて八丁味噌を五感で感じて欲しい。

新たな使い方の提案

八丁味噌パウダー

伝統を守って自己満足で終わってしまうと売れない商品になってしまうので、時代やニーズに合わせて、つくったものからもうひと手間工夫することが大事。フリーズドライ製法でつくった八丁味噌パウダーは、コク出し調味料として手軽に使っていただくだけでなく、スイーツや洋食にも用途が広がって、フードコートでは、そのパウダーを使った味噌ソフトクリームが人気とのこと。

今後のカクキューを背負って立つ覚悟

「副社長の任をいただいて、日々、その重みを実感しているが、入社時にカクキューの歴史を学び、創業以来、380年近く、何度もこのGI問題どころの話ではない大きな困難に直面してきたが、都度、先人たちが創意工夫して乗り越えてきたからこそ今があることを知って、重たいものは重たいなりに、やり方を考えれば、いろんな道があるし、ある意味(380年の歴史と伝統を背負うという人生は、そういう星の下に生まれ、機会を与えられないとできない、という意味)、楽しみな人生を頂いたのだから、このピンチをチャンスに変えられるよう、前向きに取り組みたい、とおっしゃる。

併せて、十九代早川久右衛門さんのご紹介ページもご一読いただきたい。

COREZOコレゾ 「背負った正保2(1645)年創業の伝統は重いが 楽しみな人生をいただいたと、伝統製法を守るのはもちろん、時代に合わせた使い方を提案し 次代に繋ぐ覚悟の二十代(最有力候補)」 である。

取材;2023年9月
初稿;2023年11月
文責;平野龍平

 

 

 

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