松本 鉄男(まつもと てつお)さん

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COREZO(コレゾ)「市民活動の鑑、お金をかけず、自立して継続でき、楽しみながら活動の輪が拡がる、流氷を活かすオホーツク流儀のおもてなし活動」賞

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松本 鉄男(まつもと てつお)さん

プロフィール

北海道斜里郡斜里町ウトロ

「しれとこ・ウトロフォーラム21」

会長 松本 鉄男(まつもと てつお)さん

梅澤 正雄(うめざわ まさお)さん

事務局 桜井 あけみ(さくらい あけみ)さん

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経歴・実績

2013年(平成25年度) ベストシーニックバイウェイズ「美しい景観づくり賞」受賞

2015年度(平成27年度) 国土交通大臣表彰「手づくり郷土賞(一般部門)」受賞

受賞者のご紹介

ウトロは、北海道斜里郡斜里町にあり、漢字表記は宇登呂。斜里市街から国道334号を知床岬方面に向かって約50キロ、知床半島の北側の丁度、真ん中あたりに位置し、それ以上先の知床半島の突端へは車では通行できない。

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オホーツク海と知床の自然豊かな観光資源に恵まれた地域で、知床峠を挟んだ羅臼町とは、知床横断道で結ばれ、共に知床観光の拠点となっていて、観光業は斜里町ウトロ地区の主要産業であり、2007年(平成19年)に道の駅「うとろ・シリエトク」、2009年には「知床世界遺産センター」が開設された。

2005年、知床が世界遺産に登録されたことよって、観光客が急増したものの(年間約120万人)、以後、微減傾向にある。厳冬期には流氷が押し寄せ、「流氷ウォーク」のツアー等の体験型ツアーも充実し、運がよければオジロワシなどの希少動物の観察もできる。

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ゴミゴミ(護美・塵)の会

「しれとこ・ウトロフォーラム21」の会長を務める松本 鉄男(まつもと てつお)さんは、かつて、ウトロ地区で酒屋を営み、自治会長も務めておられた。

1971年(昭和46年)、地域の川や沢、海に捨てられていたゴミが溜まりに溜まっている惨状を見かねて、「ゴミゴミ(護美・塵)の会」を立ち上げ、ホテル業ほかの観光関連企業、商店にも声を掛け、ボランティアを募って、ゴミを拾い始めたが、1日で大小トラック500台分が集まったと云う。

これを10年続けて、ようやくゴミが減り出した、と実感できたそうで、ゴミ処理場ができたこともあって、ゴミを捨てる人も減り、美しさが保たれるようになった。

しれとこ・ウトロフォーラム21

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その後、地域の再開発事業開始に伴い、「ゴミゴミの会」の主要メンバーの他にも漁師さんや新しく移住してきた人も加わって、「しれとこ・ウトロフォーラム21」が設立された。

地域の未来に向け、まちづくりの自由な意見や発想を出し合い、自分たちで考え行動する住民によるまちづくりを目的として活動を開始し、設立当初は、街の再開発事業に関しての様々な提案を行い、行政と協働することが主要な活動だったそうだ。

「しれとこ・ウトロフォーラム21」メンバーである、梅澤 正雄(うめざわ まさお)さんは移住組で、地域で温泉民宿と土産物店を営み、地域活動にも積極的に取り組んでこられた。

「しれとこ・ウトロフォーラム21」事務局を務める、桜井あけみさんは、弟子屈町川湯で生まれ。子供のころからの山好きが高じて、「地図を作りたい」と航空写真測量の仕事に従事し、結婚後、「自然環境豊かな町で暮らしたい」との思いから、1985年(昭和60年)、斜里町に移住し、地域活動にかかわるようになったそうだ。

冬の観光資源である流氷観光を楽しんでもらえない状況

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国道334号は、網走方面から知床へ通じる日常生活と観光業を支える唯一のアクセス道路であり、特に冬期間は道路管理者の除雪による交通確保が重要となっているが、除雪後にできる雪壁の影響で通行者に冬の観光資源である流氷観光を楽しんでもらえない状況にあった。

そのため、春~秋の動植物など、自然の豊かさを目当てに訪れる観光客は多いが、冬期は、道路沿いの海岸線に着氷する流氷、流氷の上の動植物など、当地域特有の観光資源があるのに、その魅力が広く観光客に伝わっていなかった。

流氷景観を活用するガードレールの雪かきボランティア

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知床の世界遺産登録を機に、冬期の訪問客が手軽に安心してその景観を楽しんでもらい、再訪してもらうためには、住民がどんな活動ができるかを考え、2007年(平成19年)、ウトロ地区をより良くすることを目標に、夏は、ウトロ市街地沿道の花植えボランティア、冬は、流氷景観を活用するガードレールの雪かきボランティアを地域住民数名でスタートした。

雪壁を取り除く→流氷が見えやすくなる→来訪者が立ち寄るようになる、と作業の成果が単純明快なことから、年々、ボランティアに参加する地域住民が増え(2007年;30名、2016年;86名)、この活動がマスコミにも大きく取り上げられるようになって、今では、会員数は20名に増え、地域住民だけでなく、道路管理者や道路の維持管理を請け負っている民間企業数社も加わり、車窓から流氷の景色を楽しんでもらおう、とスコップや除雪機を使って、ガードレールや路肩に堆積した雪を取り除いている。

地域住民自身が流氷のビューポイントを確保したことで、来訪者に積極的に案内するようになり、来訪者が写真撮影をしている姿が増えていると云う。

好循環の創出

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参加したボランティアには、感謝をこめて地場産品を使用した「豚汁」等の軽食が振る舞われるようになり、様々な立場の人々が一緒に作業をすることで、地域内のつながりが強くなり、知床の景観、自然環境の価値を再認識するようになった等の好循環を生み出している。

冬期の道路景観と観光資源の発掘と云う観点から、実施した除雪ボランティアであるが、これは冬道の安全対策と云う面からも高い評価を受けている。

オホーツク流儀のおもてなし活動

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「しれとこ・ウトロフォーラム21」では、こうした活動が知床観光の「おもてなし」にもつながるのではないかと考え、さらに多くの、地域の様々な職種、業種の人々を巻き込み、地域に根ざした活動を推進しておられて、現在、春には、国道の植栽スペースへの花植え、「観光見所・ヒヤリマップ(春~秋版)」の作成、夏には、地域の特産品をPRするマーケットの開催、来訪者のピークに応じた利用実態調査、来訪者に楽しんでもらう地域資源の情報発信、秋には、食品、物品販売とフリーマーケットを併催する「オホーツク・シーニックマルシェ」、「観光見所・ヒヤリマップ(秋~春版)」の作成、冬には、来訪者を歓迎する付帯活動と、年間を通じた活発な活動を行っておられる。

これら活動の素晴らしいところは、まず、「しれとこ・ウトロフォーラム21」のメンバーの皆さんが楽しんでやっておられること、スコップ1本で誰でも参加でき、作業成果が分かり易いことだ。

補助金頼みで金の切れ目が縁の切れ目の活動が多い中、お金が掛からず、自立して継続でき、メンバーも参加者も楽しみながら好循環が生まれ、「流氷を活かすオホーツク流儀のおもてなし活動」の輪が拡がっている。COREZO(コレゾ)、まさしく、市民活動の鑑である。

COREZO(コレゾ)「市民活動の鑑、お金をかけず、自立して継続でき、楽しみながら活動の輪が拡がる、流氷を活かすオホーツク流儀のおもてなし活動」である。

文責;平野龍平

2016.04.最終取材

2016.09.初稿

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