溝口 康(みぞぐち やすし)さん/ネイビープランニング・農食連携コンサルタント

溝口康

COREZOコレゾ「食と産地とマーケットを繋ぐ橋渡しをしたいと 産地とお客様の通訳を目指す 農食連携コンサルタント」賞

溝口 康(みぞぐち やすし)さん

溝口康

プロフィール

農食連携コンサルタント

合同会社 ネイビープランニング 代表

とくしまブランド推進機構(愛称:地域商社阿波ふうど)統括マネージャー

大手小売業で33年間勤務の内、ファッションと食品で22年のバイヤー業務を経験。

徳島県の組織「とくしまブランド推進機構(阿波ふうど)」で3年間徳島に住みながら、県産食品の販路拡大をおこなう。

2019年3月 ネイビープランニング設立。

産地とお客さまの間を繋ぐコーディネーターとして現在に至る。

受賞者のご紹介

2016年、蜷川社長が小豆島のヤマロク醤油さん製作の仕込木桶を購入し、引き取りに行くとおっしゃるので、ついて行った際に、お目に掛かった。

ダンディーなヘンなおっちゃん

蜷川社長からは、「溝口さんとは、大手百貨店の食品バイヤーだった頃に知り合ったんだけど、辞めて、徳島県のなんちゃら云うトコに行ったヘンなオッチャンですわ。」と、しか聞いていなかったのだが、さすが、以前、衣料品のバイヤーもやっておられたらしく、とってもダンディーなヘンなおっちゃんだった。

「全く、徳島に縁もゆかりもなかったのに、徳島の農産物の売り込みではなく、ブランド化したい、と云う構想を聞いて、おもしろそうだ、と思い、のこのこ、単身赴任で徳島に来た、ヘンなオッチャンです〜。」と、ピースサインを出して、ヘンな関西弁で応えてくださった。

機構の現場トップに民間出身者を登用

通常、県産品のPRは、それぞれの自治体で行われているが、とくしまブランド推進機構は、県と農業開発公社、JA徳島中央会、JA全農とくしまの4団体で設立された組織。県と農協、中央会などが垣根を超えて一つの組織が作られたのは、全国でも初めての試みで、この様な組織の現場のトップに民間出身者を起用するのも珍しいらしい。

役所とか、役所に準ずる農協や外郭団体は、縦割りのイメージが強く、呉越同舟の組織で上手くいくのだろうか?と云う素朴な疑問が湧く。例えば、農家にとって魅力的な直販は、市場を通さないため、農協との利害関係が生じる。

「生産者と東京の飲食店とを直接つないでいるベンチャーの流通業者があって、その食材供給システムの説明会を開催したのですが、県庁だけの組織であれば、農協関係から反対されたと思いますが、どう棲み分けるかの模索が始まっています。この組織の目的は、生産者の『所得向上』と『生産拡大』なので、その目的を共有し、利害関係をはじめ、調整を続けていくことが、事業を進めるための第一歩だと考えています。」

「これまで、各団体の手続きや立場上、難しかったところが、それぞれのいいところを持ち寄って、力を発揮できれば、これまでにない販売方法やPR方法を創り出せる可能性も生まれ、生産者にとって有益ですし、それに各々が資金も出せるカタチができれば、さらに良い方向に進むと思います。」

価格より価値を共有

溝口さんは、徹底した現場主義を貫く。その後、東京で開催された食のイベントでお会いしたことがあるが、阿波ふうどの店頭に立って、来る人、来る人と会話しておられた。

「前職でお客様と接する部門に長く携わっていましたが、お客様の意見をただ聞くのではなく、要望を探ることが大事です。」

「徳島は、森林が八割を占める狭い県なので、大規模な農業生産ができず、県産品を使った加工品も大量生産ができないため、価格面でも、首都圏から遠いため、運賃面でも不利という、ハンディキャップは永遠に埋まらないので、価格より価値を共有できる方々とコミュニケーションをとっていく必要があります。」

共感を得ること、好きになってもらうこと

「これまでの行政主導でやってきたのは、“できたものを売る”と云う、販売方法でしたが、市場のニーズがない商品が売れるはずがありません。商品を開発し、どの商品をどこに販売するかは、消費者や市場のニーズを知る必要があります。」

「今は、モノが溢れている時代なので、お客様に手に取っていただくためには、同じような商品に見えても、それが生まれた風土や手がけた人、その背景もそれぞれ異なるので、それらを通訳ガイドのように説明し、共感を得ることです。さらに、その商品だけでなく、それをつくっている地域を含めて『好きになってもらう』こと、が大事だと思っています。」

「どうやって、地域を理解して、好きになってもらうかですが、実際に徳島に住んでみると、東京から見ていた印象がすっかり変わって、収入面では、少ないかもしれませんが、食費は安いし、家族みんなで暮らし、何より時間的にゆとりがあって、生活の『豊かさ』を感じています。」

「そうした暮らしとそこから生まれる商品に共感していただける方は実は多いんじゃないでしょうか?好きになるきっかけは、人それぞれ、いろいろあって、僕は、阿波踊りをはじめて生で見た時に、普段、真面目そうにしている人たちが弾けていて、徳島の見方がすっかり変わり、さらに好きになりました。このような地方の持つ面白さや特長を一緒に伝えることができれば、商品も手に取ってもらえると思います。」

人と人のご縁

溝口さんが徳島に来られたのも人とのご縁だったそうだ。溝口さんのFBを拝見すると、年がら年中、公私関わらず、全国を飛び回り、お仲間と飲み、美味しそうな食べ物や料理をアップしておられるが、めっちゃ楽しそうなのが伝わってきて、ムカッ腹が立つこともしばしばだ。

そうしてさらに旧交を温め、交流を深め、新たな人と人のご縁をつないでおられるのであろう。

COREZOコレゾ「食と産地とマーケットを繋ぐ橋渡しをしたいと、産地とお客様の通訳を目指す、農食連携コンサルタント」である。

最終取材;2018.03.

初稿;2018.08.

最終更新;2018.08.

文責;平野龍平

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