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COREZOコレゾ 「『歌われてこそ童謡』、童謡詩人・故 坪井 安さんの想いを受け継ぎ、童謡『ありがとう』を歌い広め、感謝の心を伝え続ける『全国ありがとう広め隊』隊長」賞

橋本 洋子(はしもと ひろこ)さん/全国ありがとう広め隊 隊長

プロフィール
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受賞者のご紹介

プロフィール
橋本 洋子(はしもと ひろこ)さんは、磐田南高校、静岡大学を経て、小中学校の教員(音楽含む)を約12年務め、子育てで退職後は、地域で合唱活動を開始し、指導も行った。磐田南高校同窓会副会長・会報編集長としての活動を通じて、母校の初代校長の出身地(高知)などの取材活動を通じて、同校の建学精神に触れ、「ありがとう広め隊」活動の素地が形成された。
童謡「ありがとう」
童謡詩人・坪井 安(つぼい やすし)さんとの出会い
同窓会だよりの取材で、同窓の先輩である、童謡詩人・坪井 安(つぼい やすし)さんに出会い、「ありがとう」の詩を紹介される。
坪井さんは、佐藤八郎さんに師事して童謡の詩を創作し、コンテストにも多数応募されていた。
橋本さんは、平成7(1995)年に磐田南高校初代校長先生の出身地である高知を取材した経験から、「ありがとう」の詩には、母校の建学精神が凝縮されていると確信し、普遍的な感謝の心として、二宮尊徳の「公徳」精神、森信三の教育哲学とも通じるとその歌詞の内容に感銘を受けていた。
ところが、出会いは平成12(2000)年5月12日だったのだが、その9か月後(平成13年2月27日)に坪井さんは急逝された。
生前、「童謡は母さんが歌ってこそ童謡、子供たちに歌われてこそ童謡、子供たちの心に残ってこそ童謡である。」との言葉を残しておられ、「ありがとう」を遺された子供のように受け止め、普及に取り組む決意を固められた。
なお、橋本さんは、初代校長の取材の際にご対応くださった高知県職員の方とのご縁から、高知県観光特使に就任。高知の風土と人の心を愛し、童謡普及と地域文化の橋渡し役を果たしておられる。
森信三(もり しんぞう、1896年-1992年)は、「国民教育の師」と仰がれる哲学者・教育者。腰を立て姿勢を正す「立腰」や、挨拶・返事・履物を揃えるといった日々の微細な実践を重んじ、一人ひとりが今いる場所で命を燃やす生き方を説いた。
童謡「ありがとう」
作詞/坪井 安 作曲/前田六郎
ありがとうの言葉は 一つだけれど
ありがとうの心は かぞえきれない
花の色だけ あるんだよ
すみれコスモス バラの色
うれしい時の ありがとう
さみしい時の ありがとう
しあわせ感じて ありがとう
太陽にそよ風に 小つぶの雨に
地球のみんなに ありがとう
ありがとうの言葉は 一つだけれど
ありがとうの型(かたち)は かぞえきれない
花の数だけ あるんだよ
野ぎくあじさい ユリの花
手紙にのせて ありがとう
電話の声で ありがとう
目と目をあわせて ありがとう
太陽にそよ風に 小つぶの雨に
地球のみんなに ありがとう
ありがとう
「ありがとうの言葉は一つだが、心と型(かたち)は数えきれない」
「すみれ」、「コスモス」、「バラ」、「野ぎく」、「あじさい」、「ユリ」と、花をたとえに使って、「ありがとう」には人の数だけ、場面の数だけ、「心」があり、「手紙にのせて」、「電話の声で」、「目と目をあわせて」と、「ありがとう」を伝える具体的な型(かたち)として描かれ、「太陽に そよ風に 小つぶの雨に」、「地球のみんなに ありがとう」と、人だけでなく、自然や地球全体、万物への「ありがとう」で締め括られる。
日本童謡賞 新人賞
坪井安さんは、2000年(平成12年)に、この「ありがとう」も収録されている代表詩集『走れ紅梅よ』によって、日本童謡協会の「日本童謡賞 新人賞」を受賞されている。
「ありがとう広め隊」
歌われてこそ童謡という坪井さんの想いを叶えるため、「ありがとう」が誰もが自然に歌えるようになることを目指し、「この指とまれ」方式で、「ありがとう」を歌いたい人、都合がつく人が全国から参加する開かれた普及活動。
「ありがとう」普及の追い風
教育哲学者・森信三さんの一番弟子である寺田一誠さんや童謡歌手の大場照子さんが「平成に生まれた童謡の代表作」と評価。
寺田一誠さん(森信三門下・教育哲学者)による評価
森信三先生の「立腰(りつよう)」や「しつけの三原則」を継承する寺田一誠さんは、この詩を以下のように評価されている。
森信三先生が説いた「感謝の心」を、子どもにも分かりやすい言葉で表現している点が教育の根幹に通じること。
単なる礼儀としての言葉ではなく、自然や親、万物に対して「生かされている」ことへの深い感謝を促す力があること。
以上により、次世代に語り継ぐべき、平成という時代が生んだ精神的遺産であると絶賛された。
大場照子さん(童謡歌手)による評価
「小さな木の実」などで知られ、日本の童謡文化を守り続けている大場照子さんも、
歌い継がれるべき質:
現代の複雑な楽曲とは対照的に、坪井さんの詩は素朴で純粋であり、古き良き日本の童謡が持っていた「心の浄化」の力を持っている。
ご自身のコンサート等でもこの曲を披露し、多くの親子が涙を流して聴き入る様子から、現代において最も必要なメッセージである。
と、この曲を大切に歌い広めておられる。
「ありがとう広め隊」の普及活動のベース
毎週、同志が集まり歌い続ける継続的な活動をベースとして、講演会の締めに「講師へのお礼に代えて『ありがとう』を歌ってほしい」という依頼が増え、各地の大学祭・市の合唱祭・イベントで合唱しておられる。
国際シニア合唱祭でゴールデンウェーブ賞(最高位)受賞
年に1回、「全国ありがとう広め隊」として全国から隊員を募り、みなとみらいホール(横浜)で開催される「国際シニア合唱祭『ゴールデンウェーブ in 横浜』」に出演。2026年4月13日で4回目となり、累計延べ300人以上が参加した。
2024年に開催された第16回『ゴールデンウェーブ in 横浜』において、ゴールデンウェーブ賞(最高位)を受賞した。
坪井 安さんの母校である静岡県立磐田南高校の同窓生(高13回・14回生ら)を中心に、総勢104名という大編成で出場。中には90歳を超える方もいらっしゃったそうだ。「茶摘み」「みかんの花咲く丘」といった静岡ゆかりの曲とともに、メインとして坪井安さん作詞の「ありがとう」を合唱し、審査員からは「歌詞が心に染み入る」「100人を超えるエネルギーが素晴らしい」と絶賛され、た。
「ありがとう」という言葉が持つ普遍的な力と、坪井さんの母校の皆さんの絆で掴んだ賞であり、広く「平成の童謡の代表作」として知ってもらう好機となった。
国際シニア合唱祭「ゴールデンウェーブ in 横浜」
人生の経験を重ねた“ゴールデンエイジ”の人々が、合唱を通じてつながり、その響きを横浜から世界へ発信しようとして生まれた国際シニア合唱祭で、国内外のシニア合唱団が集い、歌い、語り合い、響き合うことで、世代や国境を越えた友情の輪が育まれてきた。
2008年4月、横浜開港150年記念事業の一環としてスタートしたイベントで、急速な高齢化が進む日本において、社会に貢献してきた高齢者が健康で生きがいを持ち、「生涯現役」として暮らしていくことを支える場とすることを目的として企画、「横浜みなとみらいホール」で開催されている。
人の縁が広げる普及活動の輪
高知での童謡運動の場で大庭 照子さんに出会い、「ありがとう」に感動した大庭さんが広める役割を担うと約束。その後、熱海・起雲閣のコンサートで中村 牧(ピアノ伴奏)さんと初対面ながら、ぶっつけ本番で「ありがとう」を共演。横浜グリークラブの方の縁から国際シニア合唱祭の実行委員につながり、国際シニア合唱祭「ゴールデンウェーブ in 横浜」出演の道が開けた。
橋本さんは、このような出会いと交流から、「ありがとう」普及の原動力が生まれていることから、坪井さんの「出会いと見えない扉を開く不思議な力」を感じるとおっしゃる。
今後の展望と継承
「赤とんぼ」「ふるさと」のように、作者や普及経緯を知らずとも誰もが自然に歌える状態を目指し、「この指とまれ」方式で、都合がつく人が全国から参加する開かれた普及活動を継続していきたい。特定の後継者を指名するのではなく、自然発生的に「ぽっと出てくる」次の担い手に期待しつつ、歌は歌い継がれてこそ価値があるという信念の下、活動を続ける、と橋本さん。
橋本さんは、童謡詩人・坪井安さんから託された「ありがとう」を、母校の建学精神・教育哲学・地域文化と結び付けながら全国に普及している。人の縁と出会いを原動力に、合唱祭や各種イベントで歌い続け、普遍的な感謝の心を社会に広げようとしておられる。
童謡が教科書から姿を消した時期もあったようだが、歌い続ける人々の存在が、その継承を支えているのだと実感した。
「ありがとう」は誰もが使う身近で普遍的な言葉だが、その言葉に込められた感謝の心を、私たちは日々の忙しい暮らしの中で忘れがちなのかもしれない。
「太陽に そよ風に 小つぶの雨に 地球のみんなに ありがとう」と歌われるように、橋本さんたちの活動は、人とのつながりだけでなく、自然や地球全体、万物への感謝、そして今生かされていることへの感謝を、改めて思い起こさせてくれる活動だと感じた。
今後も作者や背景を知らずとも誰もが自然に歌える「生活の歌」としての定着を目指して、「ありがとう広め隊」の活動を続けていただきたい。
COREZOコレゾ 「『歌われてこそ童謡』、童謡詩人・故 坪井 安さんの想いを受け継ぎ、童謡『ありがとう』を歌い広め、感謝の心を伝え続ける『全国ありがとう広め隊』隊長」である。
取材;2026年3月
初稿;2026年4月

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