GMO遺伝子組み換え作物問題
遺伝子組み換え農作物や雄性不稔を利用してつくられたお米、ハイブリッドライス(F1種であってGM種ではない)を作って、全世界を相手に商売をしているのが、バイエルン・プロップ・サイエンス、デュポン、モンサント、シンジェンタ等の遺伝子組み換えGMO(genetically modified organism)バイオメジャー産業だそうだ。
日本では三井化学という会社がミツヒカリ(F1種)というハイブリッドライスを作っていて、種籾の値段がコシヒカリの7倍するそうだが、食べた方のお話によるとおいしいらしい。
TPPに参加すると、こういうお米が安く日本に入ってくるのではないかと懸念されている。
世界の種苗会社ランキング
1997年度の種苗会社ランキングでは、1位パイオニア(米)、2位ノバルティス(スイス)、3位リマグレイングループ(仏)、7位タキイ種苗、10位サカタのタネと、世界の大手10社は全て純粋な種苗会社だった。
ところが、10年後の2007年になると、1位モンサント(米・世界シェア23%)、2位デュポン(米15%)、3位シンジェンタ(スイス9%)、サカタ(日2%未満)、10位タキイ(日2%未満)となり、化学薬品工業企業に様変わりしてしまった。
現在、世界最大のバイオメジャー企業はベトナム戦争時に枯れ葉剤を製造していたことでも有名である。
種を支配するものは世界を支配する
「種を支配するものは世界を支配する」といわれてきたが、世界にあった純粋な種屋はGMO産業、バイオメジャ-に買収され、飲み込まれてしまって、上位5社の世界シェアは60%を超える。規模が違うので、株式を公開しているタネ屋が狙われて、買収を仕掛けられたら、なす術がないそうだ。
韓国では、種苗大手5社がバイオメジャーに株を握られ、資本傘下におかれた結果、欧米では食べない大根等の根菜類、ハクサイ他、キムチ用野菜の開発、育種ができなくなった。それは困るということになって、韓国財閥が、韓国キムチ用野菜の事業権を買い戻すことになったという。売上規模では1/10倍以下の日本の種苗会社も戦々恐々としているそうだ。
遺伝子組み換え作物とは?
で、そもそも、遺伝子組み換え作物って何?ってことだが、
遺伝子組み換えの方法としては、アグロバクテリウム法とパーティクルガン法が使われているそうで、アグロバクテリウム法は、土壌細菌のアグロバクテリウムを利用した遺伝子導入方法。パーティクルガン法とは、導入したい遺伝子を金やタングステン等の重金属の微粒子に吸着させ、高圧ガス等の物理的な方法で打ち込む方法で、遺伝子が入る確率が低いらしく、現在はアグロバクテリウム法が主流だとのこと。
アグロバクテリウム(根頭癌腫病菌)は土壌中にいる細菌で、細胞の中にプラスミド(核外にある環状DNA)があり、その一部にT-DNAと呼ばれる遺伝子を持つ。植物に接触するとその細胞に自分の遺伝子の一部であるそのT-DNA遺伝子を送り込む性質が有り、感染した植物の根元に癌腫であるこぶ状の塊(クラウンゴール)や無数の根を形成し、アグロバクテリウムの生存に必要な栄養素(アミノ酸)を作り、植物には水分も養分もいかなくなって枯らしてしまう。
このようにアグロバクテリウムのT-DNA遺伝子には、植物の細胞に入り込み、遺伝情報に従い、感染した植物にアミノ酸と植物ホルモンを合成させる働きがあり、その性質を利用して、アグロバクテリウムのT-DNA遺伝子を除去し、組み込みたい遺伝子に置き換えて、植物細胞に導入する方法だそうだ。
代表的な遺伝子組換え農作物
現在、実用化されている代表的な遺伝子組換え農作物は、害虫に強い性質(特定の虫を殺す毒素を出すバクテリアの遺伝子を組み込む)や除草剤耐性(こちらは後述)を導入したもので、ダイズ、トウモロコシ、ナタネ、ワタ、ジャガイモなどがある。
遺伝子組み換え農作物の世界の作付面積
遺伝子組換え農作物が本格的に販売されたのは1996年で、この時点での遺伝子組み換え農作物の世界の作付面積は170万haだった。農業は、病気・害虫・雑草との戦いだといわれ、これら遺伝子組換え農作物なら、農家を悩ませてきた害虫退治や雑草取りによる手間やコストを削減することができると、特に、米国、カナダ、アルゼンチン、中国で大歓迎され、2001年には、5,260万ha(日本の総作付面積の約12倍)、2011年には、世界29カ国で、1億6,000万ha(内、途上国が8,000ha)と、急激に拡大している。
遺伝子組み換え農作物の短所と危険性
遺伝子組み換え農作物は、遺伝子が単一で、多様性がないため、耐性がない病虫害に弱いという側面が有り、全滅する危険性も大いにはらんでいる。また、短期的には収穫量が増えるのだが、農地が痩せ、さらに大量に化学肥料を投入することで、悪純化に陥りがちで、ある途上国では広範囲の農地が荒廃してしまった例もあるそうだ。また、雄性不捻のF1種は花粉をバラまかないが、GM種は花粉をバラまくので、他の品種と交雑する可能性が有り、既存の植物の遺伝子汚染が深刻な問題になるだろうとのこと。
わが国において、販売が認められている遺伝子組換え農作物
日本では1996年、厚生労働省(当時、厚生省)が遺伝子組換え食品として安全性を確認したものについて輸入が可能になり、その年の後半から市場に出回るようになった。これらの遺伝子組換え農作物は、さまざまな加工食品の原材料となって販売されてきた。
わが国において、食品として安全性が確認され、販売が認められている遺伝子組換え農作物は、ダイズ、トウモロコシ、ナタネ、ワタ、ジャガイモ、テンサイ、アルファルファ、パパイヤの8作物(2012年3月時点)。
http://www.maff.go.jp/j/fs/f_label/f_processed/gene.html
http://www.mhlw.go.jp/topics/idenshi/dl/h22-00.pdf
遺伝子組換え農作物を原材料とした加工食品
これらを原材料とした加工食品は広範囲に及び、ダイズであれば、醤油、みそ、油、豆腐、油揚げ、おから、納豆、きな粉などの原材料となる。これらの加工食品がさらに利用されて、菓子や惣菜などの原材料となることもある。トウモロコシは、コーンスナック菓子、トウモロコシ缶詰、コーンフレーク、コーンスターチ、などになる。
中でもコーンスターチはこれを素材として、ビールなどのアルコール飲料や、糖類(果糖ブドウ糖液糖など)に加工されて清涼飲料水などに用いられており、二次加工、三次加工と広範囲に及ぶ加工食品の材料になっている。さらに、家畜用の飼料や工業用でんぷんなどにも利用されている。ジャガイモは植物防疫上の理由から、日本へはそのままの形で輸入できないが、冷凍フライドポテト、マッシュポテト、馬鈴薯でんぷんなどとなって輸入され、ポテトスナック菓子の原材料などにも利用される。ナタネやワタは、主に搾油用に使われる。
遺伝子組み換え農産物の使用についての加工食品の表示
遺伝子組み換え農産物の使用についての加工食品の表示については、主な原材料として大豆(枝豆、大豆もやしを含む)、とうもろこし、ばれいしょ、なたね、綿実、アルファルファ、てん菜、パパイヤを使った加工食品には、遺伝子組換え農産物の使用の有無についての表示義務があるが、主な原材料とは、使った量を重い方から順に並べたときに3位以内であって、すべての原材料の重さに占める割合が5%以上である原材料をいう(ただし、水は除く)、と規定されている。
遺伝子組み換え農産物の使用表示の疑問点
ということは、20%使っていても4位なら、表示義務がないということだ。さらに、遺伝子組換え農産物を原材料として使っていても、組み込まれた遺伝子やその遺伝子が作るタンパク質が製品中に残っていない、例えば、油やしょうゆには表示義務がないのだ。「そんなもん、ショーユギョーカイではジョーシキ」だって、BLK蜷川さんのおっしゃった通りだった。
http://www.maff.go.jp/j/fs/f_label/f_processed/gene.html
さらに、家畜飼料については、遺伝子組み換え農作物の使用に関しては全く野放し状態だそうだ。
遺伝子組み換え農産物と除草剤の関係
あるバイオメジャー企業の除草剤製造工場では、廃液を一度に流すと周辺の植物に悪影響が出て、環境汚染で訴えられては困ると、ダムをいくつも作って徐々に毒性を薄めながら環境に流していたそうな。最初のダムは、生物が生きられないはずの環境なのに、生きているバクテリアが見つかった。このどんな植物も枯らしてしまう程、強力な除草剤に耐えて生きている微生物はスゴイと、その細胞の中の自社の除草剤に対して耐性を持つ遺伝子をトウモロコシや大豆などに組み込んだ種を開発した。この種を売ることで、必然的に自社の除草剤も売れるという完璧なマッチポンプの仕組みが出来上がったのだ。
近所のホームセンターに立ち寄ってみると、遺伝子組み換えのタネとセットで売られている、接触した全ての植物を枯らす非選択的除草剤である「ラウ◯ドア◯プ」等、化学薬品各社のグリホサート系除草剤(特許権が切れている)が山積みにされていた。
この最強といわれた除草剤にも耐性を持つ20種以上の雑草が出現してきたそうで、さらに強い除草剤の開発、複数の除草剤の併用の研究が進んでいるそうである。
で、み〜んな、な〜んも知らんと使っているのである。化学?って、科学?って、スゴいゾ。
ターミネーター・テクノロジーとは?
さらにエゲツナイのが、ターミネーター・テクノロジーだ。遺伝子操作により、次世代の種を付けても発芽ができない技術である。この遺伝子を組み込まれた種は、花が咲き、飛び散った花粉がついてできた種は、次に地面に蒔かれて発芽しようとした途端、組み込まれた遺伝子から毒素が出て自殺させられてしまう。この花粉と交配したこれ以外の植物も同様に、発芽の際に自殺してしまうという何とも恐ろしい技術だ。
このターミネーターという特許技術は巨大な富を生むが、農家の自家採種を不可能にして、バイオメジャ-一社による世界の同業支配に通じ、さらに、こんなものが環境中にどんどん広まれば、遺伝子汚染が進み、生態系への致命的な悪影響が引き起こされると世界中で猛反対されて、商品化を見合わせるという声明を出しているが、他のバイオメジャーでも同様の研究開発を進めていて、既に別の特許も取得しているという。
一社による農業支配ではなくなればいいだろう、どういう条件だったら地球上で栽培してもいいか、決めてくれと国際会議に出しているそうだが、今のところはまだOKになっていない。やがてはこれもバイオメジャー各社の圧力で使われるようになるのではないかという懸念がある。
GMO・バイオメジャー企業の社員食堂ではGMO農作物は提供していない?
この技術を開発したGMO・バイオメジャー企業の社員食堂で提供する全食品からは、現実的に可能な限りGM大豆とGMトウモロコシが除去されているという話もあって、なんじゃ、そりゃ?!の世界なのである(ネットで見つけた英国のニュースより)。
日本での遺伝子組み換え農産物開発
また、日本でも既に農水省は、大手種苗メーカーに雄性不捻の遺伝子を組み込んだカリフラワーとブロッコリーを花粉が外に飛び出す開放系の畑で試験栽培を認める文書を出しているらしい。
遺伝子組み換え農産物の国内繁殖、交雑の実態
さらには、既に2004年の時点で
西洋ナタネは、食用油の原料として年間200万トンが主にカナダ、米国から遺伝子組み換え品種が輸出国側での分別が不可能という理由で種のまま不分別で輸入されているが、受け入れ港である千葉、横浜、名古屋、神戸の各港周辺で、輸送の途中でこぼれ落ちたと思われる除草剤耐性を持つ遺伝子組み換えナタネが繁殖していることが、市民団体が今年8~10月に実施した調査で明らかになった。
と報じられている(2004年11月20日付新聞報道)。
遺伝子組み換えナタネは、在来種のナタネや近縁のアブラナ科の野菜(白菜、カブ、高菜、からし菜等)と交雑しやすく、現状を放置すれば、こうした農作物への遺伝子拡散が懸念されている。
雑草って一体何?
「雑草って何ですか?ある特定の人にだけ都合の悪い植物でしょ?稲だって雑草扱いにする国もあるんですよ。人間が要らんことすればする程、土も自然も地球も全てがダメになります。」
と、自然農を営まれている村上真平さんがおっしゃっていたのを思い出した。
https://corezoprize.com/shimpei-murakami
結局、自分が食べたいものは自分で作らないと食べられない時代になってしまったということだろうか?
タネ・種の話については、下記の受賞者の皆さんのご紹介ページの内容も併せてご覧頂きたい。
https://corezoprize.com/kazuya-takahashi
https://corezoprize.com/masanori-sano
https://corezoprize.com/satoru-nakamura
https://corezoprize.com/kaoru-ishiwata
COREZO(コレゾ)賞 事務局
初稿;2013.11.20.
最終取材;2013.09.
最終更新;2015.04.03.
文責;平野 龍平
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