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COREZOコレゾ 「親身になって担当宿泊施設との信頼関係を築き、モチベーションと付加価値を高めて、利用客の満足度と注目度を上げ、施設、利用客、自社OTA、三方ハッピーにして、地域の魅力向上にも貢献する営業職の鑑」 賞
小川 美紀(おがわ みき)さん/楽天トラベル 営業
プロフィール
徳島県吉野川市
楽天グループ株式会社
四国営業グループ 徳島県リーダー
トラベル&モビリティ事業 ホテル・旅館コンサルティング部
「小川 美紀(おがわ みき)」さんと「峡谷の湯宿 大歩危峡まんなか」さんとCOREZO
ご縁があって徳島県三好市大歩危の「峡谷の湯宿 大歩危峡まんなか」さんの大平会長、大平社長には、20年以上前からお世話になっており、COREZO賞表彰式でも第1〜2回、10回、今回の15回と4回も開催してくださっている。
その度に手伝ってくださったのが、OTA(Online Travel Agent=インターネット上だけで取引を行う旅行会社)楽天トラベルのミキティーこと、小川 美紀(おがわ みき)さんだった。どうして手伝ってくださるのかよくわからなかったが、「手伝いたいので」とのことで、ご厚意を有難く受け取っていたら、「峡谷の湯宿 大歩危峡まんなか」さん訪問時によくお目に掛かるようになった。
小川さんは、高校生のリクルートの仕事から「徳島を元気にする仕事」と云うキャッチコピーに触発されて楽天トラベルに転職して、徳島県の担当となり、旅行業は初めてだったが、仕事をする内に、会社と会社と云うより、人と人のつながりが大事だと思うようになったそうだ。
当時、徳島県の大歩危峡・祖谷地域では、他の大手OTAと比べると取扱高が少なく、自社のお客様にこの地域を知ってもらうには、自分自身がもっとよく知って、もっともっと好きにならないと自信を持って勧めできないので、地域のイベントにも積極的に参加するようになった。そうする内に、地域の皆さんとのつながりができ、素朴で温かい人情にも触れ、さらにこの地域が好きになった、とおっしゃる。
大平社長によると、小川 美紀(おがわ みき)さんは、楽天トラベル社員でありながら、何よりも担当している施設のことを考えて対応してくれる心強い営業担当者だとのこと。
常日頃から的確で親身なアドバイスをいただく中で、信頼関係が生まれ、お返しする気持ちも込めて、楽天トラベルさんに注力するようになったそうだ。
楽天トラベル
今では、楽天トラベル他のOTAを利用している方は多いと思うが、楽天トラベルは、非公表ではあるが、日本のOTA取扱高では、1、2位を争っているようだ。
楽天トラベルで、徳島県 の大歩危・祖谷・剣山・吉野川地域の宿を検索すると、なんと、「峡谷の湯宿 大歩危峡まんなか」さんがTOPヒットする。
この掲載順位には、口コミ、対前年比、楽天トラベルの施策への取組み度、広告費などの要素もあるが、最も重視されるのが、集客の占有率らしい。
他社予約サイトでは、決められた情報を入力してお客様を待つのみだが、楽天トラベルでは、HTMLで自施設のトップページを構成できるため、自由度が高く、自社のオリジナルでアピールや表現ができ、また、多数の方法(無料)でお客様に自らPRできる大きな利点があるとのこと。
また、楽天独自の掲載順位のアルゴリズムがあり、楽天で売る→次月の掲載順位が上がる→露出が増える→売り上げが上がる→次月の掲載順位が上がる→露出が増える→売り上げが上がる→という他のOTAにはない好循環が得られるメリットも大きいという。
楽天トラベルアワード
そうこうするうちに、「峡谷の湯宿 大歩危峡まんなか」さんは、2013年度より、「楽天トラベルアワード」を次々に受賞するようになり、2016年には、当時の最高賞である、レジャー部門四国地区ダイヤモンド賞(2024年現在はない)まで受賞された。その後、「楽天トラベルアワード」が改正されたが、毎年、「ゴールドアワード」を受賞され、通算11年連続、そして、日本の宿TOP47も7年連続でW受賞されている(2023年度時点)。
楽天トラベルアワードは、「楽天トラベル」において顕著な実績をあげ、高い評価を得られた宿泊施設に贈られる賞とのこと。
このアワード受賞目指した理由を「峡谷の湯宿 大歩危峡まんなか」社長の大平修司(おおひら しゅうじ)さんに尋ねた。
東京で修業をしていた現大平社長が家業に戻り、宿泊施設を任され、取り組んだのが一般客の集客だったが、約30室、100名収容の外観も客室も地方によくあるビジネスホテルと云う印象で、地域内の他ホテルでは、ケーブルカー利用の峡谷や山上の露天風呂をウリにするなか、そのような特色もなく、施設も老朽化が進んでいたため、清掃、接客、食事…、できるところから徹底して改善していかれた。
既存の旅行会社からの団体旅行は、料金をたたかれ、減少傾向にあったため取り扱いを縮小した一方で、OTAが台頭してネットでの個人予約が増加傾向であり、小川さんとの信頼関係が築けたこともあって、それまで主力だったOTAから「楽天トラベル」での集客に注力することにされた。
そして、他OTAでは、取扱額が評価の基本となっている中、楽天トラベルでは、最も重視されるのが集客の占有率とのことで、規模の小さな宿泊施設でも評価されることもあり、楽天トラベルのカンファレンスに出席して、楽天トラベルアワードの表彰式を間近に見た大平社長は、 従業員のモチベーションを上げるためにも受賞を目指そうと決意したそうだ。
楽天トラベル担当者と宿泊施設の関係
小川さんがおっしゃるには、カンファレンスに出席して楽天トラベルアワード受賞を目指す施設は多いが、徐々に熱が冷めていき、本気で獲ろうという施設はごく僅かだし、当時、まだ全国的に有名な観光地でなく、売り上げの立ちやすい規模でもなかったので、この地域で獲るのは厳しいことを十分説明した上で、大平社長の本気度を確認して、全従業員の前で「ひとりひとりの日々のがんばりが口コミにも現れるので、全員で獲りに行きましょう!」と、具体的なレクチャーをされたそうだ。
また、訪問の度に従業員の皆さんとの積極的なコミュニケーションを心掛けて、細かな改善点をアドバイスし、大平社長と従業員の皆さんも「すぐにやる」ことで応え、さらに日々、お客様からいただく声を毎朝礼で共有し、改善を積み重ねることで、モチベーションも上がっていった。
コメントの評価が上がるにつれ、スタッフの皆さんが自信を持っておもてなしをされるようになり、この施設で働くことに誇りのようなものも感じられるようになった、と小川さん。
そんな担当者にも恵まれ、取り組み始めて1年目の2013年にアワード銀賞を初受賞し、2016年にはその当時の最高賞であるダイヤモンド賞を受賞した。その後、制度変更があったが、結果として、2023度まで11年連続受賞しておられると云うことである。
楽天トラベルアワード受賞のメリット
利用者の立場からすると、楽天トラベル等のOTAは目的地域の宿泊施設の比較がネット上でできて便利なので、つい利用してしまうし、ポイントがもらえるので利用評価をする人も多いとのことで、2024年4月の時点で、まんなかさんの顧客の評価は4.67と、アワード受賞施設の中でも高いが、1点が3件、2点が8件あり、コメントを確認すると、それって?という内容ばかりだが、どうしてもクレーマー的な低評価は避けられないため、できるだけ評価の数を増やすことが大事で、全1,555件の評価の母数が高評価につながっているようだ。
また、アワード獲得には、具体的に当該ホテルの評価が数値化されるので、一喜一憂することもあるが、問題点がわかるため、すぐに改善可能で、スタッフ全員の励みにも繋がり、一丸となって、目標に取り組めるようになったとのこと。
楽天トラベルの取り扱い増の取組みにはそれなりの戦略と努力が必要で、アワード獲得の裏を返すと、楽天トラベルへの貢献度を評価してもらうための取組みになるのだが、一般の消費者には知る由もなく、結果として、自社サイトやその他のOTA経由の取り扱い増にもつながり、また、かつてはアワードの表彰式には従業員を順番に行かせることができた(現在は制度が変わった)のでモチベーションの維持、向上にもつながっていった。
自社で集客するには相当の広告宣伝費が掛かるが、「まんなか」さんのように規模が小さく、施設に特色がなかった宿でも、高評価を得て、広報宣伝までしてもらい、売り上げ増につながっているので、現状では、送客手数料を支払っても、自社ブランドを確立するための最も合理的な手段、方法のひとつと考えている、と大平社長はおっしゃる。
2023年度の楽天アワードの1位は、大平社長の知り合いのホテルだったのだが、この宿も大平社長と同じように考えて、2018年度から取り組み始め、2019年に初受賞してから6年で現在の最高賞を極めたようだが、徹底して楽天トラベルに選択と集中をしたそうだ。
「まんなか」さんは、楽天トラベルの徳島県全体でも上位に掲載されていて、2023年度の「Hotel & Ryokan of the Year」では、2位に「グランドニッコー東京ベイ 舞浜」、10位には、「京急EXホテル札幌」が選出されており、大手やホテルチェーンにとっても相応のメリットがあることが推測できる。
宿側は、じゃらん、楽天、Booking、一休、Expedia、るるぶ他のOTA からの送客には手数料が発生し、それら複数の予約サイトやオンラインプラットフォームの宿泊情報を一元管理して、リアルタイムで同期させるサイトコントローラーやホテル・旅館の予約から客室管理、請求までを処理する宿泊施設の基幹システムであるPMS(Property Management System)にも費用が掛かるが、省力化につながるメリットもある。
さらには、トラベルコやトリバコ、トリップアドバイザーなどの料金を比較するメタサーチをどう上手く活用するかの戦略にも迫られるが、それでも他のOTAにない楽天トラベルの特徴を知って、上手く活用すれば宿側にも大きなメリットが生まれると云う。
「まんなか」さんの改善の積み重ね
筆者には、温泉や大浴場に入りたいという欲求がほとんどなく、温泉旅館より自由に過ごせるホテルの方が好みだが、温泉好きにとってみても、「まんなか」さんの温泉は他所の泉源からタンク車で運んできた汲み湯だし、露天風呂の眺望も国道の橋桁が目に入り、特段優れているわけではなく、設備はかなり老朽化していて、山側の客室は景観が良いとは云えないのだが、小川さんからのアドバイスやお客様の声を積極的に受け入れ、日々、改善を積み重ねて、客室、食事処(レストラン)、ロビー他の改修も進められている。
「まんなか」さん流のおもてなし
そんな「弱み」があっても、「まんなか」さんは、リピーターが2~3割を占めているそうで、あの有名旅館、由布院玉の湯の溝口会長がこの宿を利用されたことがあり、「行き届かないところもあったけれど、従業員の皆さんが一生懸命なのがとてもいいですね」とおっしゃっていたが、いつ利用させていただいても、どの従業員の皆さんも親しみ易く、付かず離れずのホスピタリティが心地よくて、泊まり心地の良い宿だと思う。
2023年度に改修した客室
大平社長厳選のマニアック家電を設置
女性用、男性用それぞれにこだわりのコスメを設置
高級一流ホテルで見かけるハンガー類を設置
痒い所に手が届く備品類
全てのタイプのスマホ充電コード、延長コンセント他、痒い所に手が届く必要な備品が全ての客室に設置されている。
水廻り通気口
清掃を怠りがちな通気口にも塵埃一つない
朝ごはんをお櫃で提供
2019年黄綬褒章受章の東京會舘元日本料理総料理(現顧問)鈴木 直登(すずき なおと)さんがおっしゃるには、
「炊き立てのご飯って、どんなご飯かご存じですか?ご飯を炊いた釜から直接、茶碗によそったのは、炊き立てのご飯ではありません。」
「日本の炊きたてご飯っていうのは、炊いたご飯を釜からおひつに移して、おひつに余分な水分を吸わせてから、茶碗によそったのを炊きたてのご飯、って云うんですよ。おひつに移すことによりご飯の粒が立ち、茶碗にくっつかないんです。」
「ご飯が冷めると、おひつの木が吸った水分は、ご飯に戻されるので、パサパサにならず、冷めてもおいしくいただけます。」
とのこと。
お櫃の手入れは手間がかかり、怠るとすぐに黒カビが生じるため、高級旅館でもご飯をお櫃で提供しているところは滅多にないが、「まんなか」さんは、朝食のごはんはお櫃で提供されている。
小川さんと「まんなか」さんの今後の取り組み
大平社長は、OTAの担当者である小川さんと出会い、信頼関係を築けて、改善を続けてこれたからこそ今があり、今後も小川さんとの信頼関係を大切にして、「まんなか」ブランドを確立していきたい、とおっしゃる。
小川さんによると、11年連続で楽天トラベルアワードを受賞するのは並大抵のことではなく、楽天トラベルアワードの常連であることから、楽天トラベルの上層部にも認知されているそうで、日々、重ねてこられた努力への勲章とも云えるだろう。
小川さんは、この地域には、風景だけでなく人の心も含め、失くしてはならない貴重な日本の原風景が残っていて、そんな日本人が気づいていないこの地域の魅力に近年増加している外国人観光客の皆さんが気づいてくださっているのは嬉しい反面、トラブルも増えているので、未然に防いで送客できるよう、インバウンドに特化した自社販売サイトを拡充していきたい。「まんなか」さんには、今後も「まんなか」さんに合ったお客様を送客できるよう、プランを一緒に考えていくのは勿論のことだが、自社のSNSでの発信にも力を入れて自社での集客も増やして欲しい。また、この仕事を通じて素晴らしい人とのご縁をたくさんいただいて、もうサッカーで云うアディッショナルタイムに入ったが、残された時間で何ができるか精一杯考えてチャレンジしたい、とおっしゃる。
大平社長と小川さんが出会い、築いた信頼関係は、宿泊施設「まんなか」さんの付加価値を上げ、OTA楽天トラベルの取扱いシェアを増やし、正しい情報の発信と的確なプランの提供による施設とのミスマッチのない送客で利用客さんの満足度も上がり、さらに施設の注目度も上がると云う、三方よしのハッピーなサイクルを生みだしていて、さらに地域の魅力向上にも貢献しておられるのである。
COREZOコレゾ 「親身になって担当宿泊施設との信頼関係を築き、モチベーションと付加価値を高めて、利用客の満足度と注目度を上げ、施設、利用客、自社OTA、三方ハッピーにして、地域の魅力向上にも貢献する営業職の鑑」である。
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