COREZOコレゾ「栗の名産地小布施で、減農薬、無農薬での栗栽培に挑戦し続ける、地域の次世代リーダー」賞
平松 幸明(ひらまつ こうめい)さん
プロフィール
長野県小布施町
平松農場 園主
ジャンル
食づくり
農業
栗農家
経歴・実績
受賞者のご紹介
平松幸明(こうめい)さんとは、第3回2014年度コレゾ賞の小布施まちづくりフォーラムに林英寿さんの代わりにご出席して下さったご縁で知り合った。
栗の名産地、小布施
平松農場は、栽培面積4.5haを有し、栗、りんご、あんず、ネクタリン等を主に栽培しておられる。
栗の名産地、小布施
ご存知のように小布施は栗の名産地であり、栗菓子で有名な町だ。その中でも平松農場の栗はおいしく、高品質で評判だと云う。
ー何故、小布施が栗の名産地になったのですか?
「小布施町は、酸性河川である『松川』の扇状地なので、その土壌は弱酸性を帯びていて、一般的には、その土壌と内陸性気候的な気象条件が栗に適していると云われていいます。」
「しかし、その扇状地の中でも栽培適地差があり、等高線に沿って中央から下端の間が特に栗には適していると思います。というのも、昔からの栗の分布を探ってみると、その辺りに栗林が多く分布しているからです。平松農場には、地面が大きくうねっている所があり、それは、松川が氾濫した際、氾濫した水が流れて川になった場所ではないかと考えられます。」
「農作物の栽培は土づくりが命なので、小布施栗の独特な風味は、限定された地域の土壌と気候条件だけでなく、作り手の努力が加わって作り出されれていると思います。」
栗の害虫
ー栗は皮が固く、害虫には強そうに思いますが…?
「ところが、栗栽培の一番の最大の敵は害虫で、栗の実に卵を産み付けるタイプと外から食害するタイプがいます。」
「食害を受けると、虫の排せつ物等により、栗の実のでんぷん質が変質したり、腐ってしまいます。食害に遭った実は美味しくありませんし、菓子などに加工する際、そんな栗が混じると品質の低下を招き、味も悪くなるので、農薬散布が欠かせないのです。」
「しかし、どんなに農薬散布をしても、食害を完全には防げません。食品の安全性が求められる中、フェロモンを使って虫を攪乱し、害虫の被害を減らす工夫等々、減農薬、無農薬での栽培に取り組んできました。」
「いろいろな対策、工夫をしても、虫食いの栗が発生しますが、栗農家は少数派なので、収穫後、虫食いを判別する機械が商品化されていないため、肉眼で判別するしかありません。外から食害するタイプは、肉眼でも虫が空けた穴を確認できますが、卵を産み付けるタイプは、穴が小さいため、見つけるのが難しいんです。収穫期にはパートの方を雇うのですが、短期ですし、結構大変な作業なので、毎年、続けて来て下さる方が少なくて…。」
収穫後、農薬での燻蒸処理
「栗の実に卵を産み付けるタイプの害虫には、収穫後、農薬で燻蒸する方法を取ってきましたが、法律が変わって、かなり強力な農薬を使えるようになり、燻蒸作業する人にも健康被害が出る心配も出てきました。」
「農薬燻蒸したところで、卵を産み付けられた栗が元の状態に戻るわけでもありませんし、選別しても、栗を割ってみないとわかりません。栗菓子屋さんでも、割って、変色していれば見分けがつきますが、割ったところには現れていないこともあり、結局、食べてみないとわからないのです。」
「それで、ウチは個人取引が多いのですが、昨年(2014年)、お客様に、燻蒸処理をしないで出荷するので、もし、虫食いの栗が混じっていた場合は、知らせて欲しいというご案内を入れて発送しました。もし、苦情が多ければ、何らかの対策をしなければならない、と思っていましたが、ご連絡は思ったより少なく、それも、農薬を使わないでがんばって欲しい、という好意的なコメントばかりだったので、今年(2015年)も燻蒸処理はしないことにしました。」
ー2015年は栗が不作だと伺いましたが…?
「ええ、そうなんですよ。栗の開花時期に雨が多かったから、不作だったように云われていますが、仲間にも確認しましたが、そんなに雨が多かったという、記憶はないんですよ。自然を相手にしていますからねぇ、まだまだ、わからないことだらけです。」
繭蔵を利用したサテライトオフィス
また、平松さんは農業だけでなく、地域活性化、観光振興にも取り組んでこられた。
2005年、市村良三小布施町長が小布施文化観光協会長を辞任された後、後任として平松幸明(こうめい)さんが選出され、当時、弱冠37歳で、30代の観光協会長が誕生したと話題になったそうだが、さすが小布施であり、選ばれた平松幸明(こうめい)さんもヒトカドの人物である。
「実家の繭蔵を利用したサテライトオフィスの計画があったのですが、いろいろありまして…。今は中断していますが、別の利用法も考えながら、いつかは実現したいですね。」
小布施内外の若者だけでなく、年長者の信頼も厚い。
COREZOコレゾ「栗の名産地小布施で、減農薬、無農薬での栗栽培に挑戦し続ける、地域の次世代リーダー」である。
COREZO(コレゾ)賞 事務局
初稿;2015.11.25.
最終取材;2015.11.
最終更新;2015.11.25.
文責;平野 龍平
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