2013.02.14. 朝日新聞 夕刊「窓」
「窓」―「3なし」のコレゾ賞
【大矢雅弘】伝統文化やまちづくり、農業、観光……。さまざまな分野で「真に大切なこと」を守り、伝えようとしている人々こそが地域や国の貴重な財産であり、日本を元気にする原動力になる。
そんな風に考える兵庫県西宮市の平野龍平さんは、COREZO(コレゾ)財団をつくった。
有名、無名は関係なく、よりよい暮らし方や生き方、考え方の手本やヒントになる活動で「これぞ」という人たちに賞を贈るためだ。
かつて吉本興業関連の旅行会社で社長を務め、観光地域の振興事業を数多く手がけた。これまで訪れた国内外のさまざまな人々との出会いも賞を設ける発想につながった。
昨年12月に表彰・懇親会をした第1回コレゾ賞は、北海道標津(しべつ)町から沖縄・石垣島までの総勢69人が選ばれた。権威なし、名誉なし、賞金なしの「3なし」賞で、順位もない。
福岡県八女市の馬場猛さんは「自然に寄り添う、水車動力と天然素材だけのお線香つくり」賞だった。
化学物質を混ぜた安価な海外産に押されているなか、水車の力を使い昔ながらの天然原料のスギとタブノキの葉だけで生産している。
平野さんは「人々が大切なことに気づいて行動を始めれば、少しずつでも世の中は変わる」と話す。心意気に拍手を送りたい。
2013.02.14. 朝日新聞 夕刊「窓」(デジタル版より)
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