醤油そのものが売れない時代って?

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醤油そのものが売れない時代

卵焼きは卵焼きのもとでつくる時代

日東醸造の蜷川社長から伺った話。

蜷川 洋一(にながわ よういち)さん
COREZO(コレゾ)「創業時の風味を復活!おいしい仕込み水と空気、環境がある山間の閉校活用のしろたまりづくり」賞 蜷川 洋一(になが...

蜷川社長は、三代目として家業を継ぐと、顧客ニーズを敏感に察知して、消費者の購買意欲を刺激する魅力的な商品を次々に開発し、今や、商品アイテム数は500以上にのぼるそうだ。

また、業務用商品にも力を入れ、相手先の要望に応じてオリジナルの調味料を開発、製造するOEM事業に力を注ぎ、売上比率で6割を超える同社の主力事業に育て上げられた。

そして、心に期するところがあり、初代の頃のしろしょうゆの風味を復活させたいと取り組んでこられた先代のお父様の意志を引き継いで、開発、商品化されたのが「しろたまり」である。

ある時、その「しろたまり」を使った卵焼きがTVで紹介され、注文が殺到したそうだ。しかし、しばらくすると、「TVを見てしろたまりで卵焼きを作ったけど、おいしくない。」というクレームに近い電話が相次いだ。

その内容を聞くと、卵に「しろたまり」だけしか入れていない云うのだ。そこで、「しろたまり」だけでなく、砂糖を少し加える味付けの仕方を案内するよう、指示をした。

電話対応をしている社員を見ていた蜷川社長は閃いた。「卵に入れるだけでおいしくつくれる卵焼きのもとをつくれば売れる。」と…。

そこで、「足助仕込三河しろたまり」にだしは加えず、シンプルに鹿児島県種子島産の「粗糖」、伝統海塩「海の精」、「国産米米酢」を入れた「卵焼きのもと」を開発して発売したところ、しろたまり(税別340円)そのものより割高(税別400円)でもはるかに売れているという。

醤油製品の内、醤油加工製品が9割を占める

しろたまり関連商品の内、「白だし」等のしろたまり加工商品が9割を占め、しろたまり本体は1割程で、それもプロの料理人さんたちの需要に支えられているという。しろたまり以外の白醤油でも同様で、醤油メーカーも売れ筋の加工商品を開発できないと生き残れない時代だそうだ。

日東醸造さんの売上の内、しろたまりとしろたまり関連加工商品は1割、残りの9割は・・・。すなわち、蜷川社長入魂の「しろたまり」は1%なのである。

ちなみに、しろたまり関連商品を調べてみると、三河白だし、日東のそばつゆ、日東のそうめんつゆ、酒粕入旨塩麹鍋つゆのもと、旨塩麹鍋つゆの素、寄せ鍋つゆ、チゲ鍋つゆ、しろだれ、卵焼きのもと、卵かけご飯のたれ、目玉焼き丼のたれ…、とこんなにもある。

「そりゃ、私だって、『しろたまり』だけで商売をしたいですよ。でも、『しろたまり』発売以前からいる社員の雇用と社員の家族の生活を守る責任がありますから、消費者の購買ニーズにあった商品を開発して販売せざるを得ないのが現実です。ウチだけでなく、業界全体でも加工商品が9割を占めていると思いますよ。」と蜷川社長。

もはや、めんつゆやだし醤油は買ってくるもので、卵焼きの味付けすらしない(できない?)主婦が増えているということのようである。自分で調味や調理もしないのに何百万もするシステムキッチンは必要なのだろうか?

食品廃棄物保存庫と化した冷蔵庫

TVの報道番組をそれとなく見ていると、世の旦那方が一番無駄で疑問に思っているのが、1回も使わずに食料品棚や1〜2回使って冷蔵庫に山のように放置されている『ナントカの素』だそうだ。大概が賞味期限切れで、捨てられる運命にあるらしい。

筆者の実家は、徒歩2〜3分のところに朝9時から夜10時まで営業している大型スーパーがあるのに、冷蔵庫と食品置き場と化した6畳の部屋には賞味期限切れ、消費期限切れの食品や調味料が山積みになっていて、冷蔵庫も食品廃棄物保管庫と化している。帰る度に母と棚卸しをしているが、しばらく帰らない内に元に戻っている。

冷蔵庫内の総点検をしては如何だろう?

毎年生産された醤油の5割以上が捨てられている現実

醤油屋さんから聞いた話によると、毎年生産された醤油の5割以上が捨てられているそうだ。

3分の1ルールでスーパーの店頭にも並ばずに捨てられる醤油はどれぐらいあるのだろう?

毎年、日本では食品が金額ベースでいくら廃棄されているかご存知?
日本の食品廃棄量が増えているワケ スーパーに並んでいる刺身パックには添加物が常識 保存料を使うようになって、塩分濃度を上げたり、乾燥...

回転寿司屋のしょうゆ皿に、餃子のタレに、旅館や料理屋の刺身のしょうゆ皿に、なみなみと注がれ、使い切られずに捨てられて行く醤油はどれぐらい?

家庭で死蔵されて捨てられる醤油はどれぐらい…?

場合によると、水よりも安くスーパーの特売で売っている醤油は捨てても惜しくないのだろうか?

*総務省統計局「家計調査報告」による家庭での消費量(平成23年)
料飲店や加工食品から摂るしょうゆも加えた一人当りの年間総消費量(年間出荷量を総人口で割ったもの)は6.5Lになる。(平成23年)

ウチは3人家族で、今ではほとんど外食をしないで、家で調理しているが、1年間でこいくち1.8Lとしろたまり1.8Lは使い切れない。ということは、1人1L程度ということになり、外食分を足したとしても、1人で6.5L(乳幼児も要介護の高齢者も含めての話)というのは、とんでもない量で、そんなに消費できるはずがない。

捨てられているのは5割どころではないだろう。

醤油加工品の原材料に入っているものって…

だし醤油等醤油加工品の原材料表示をご確認頂きたい。

あんなものやこんなもの、いろんな添加物がてんこ盛りなのである(しろたまり関連商品にはそういった類のものは使用していないそうだ。念のため)。しかも、ベースとなる醤油に使われている添加物は表示義務はない。

国が認可したものだから安心?中国産は食の安全性に問題があるので、できるだけ国産の方がいいって?チキンエキス、ポークエキス、ビーフエキスって何?どこの国でつくられているの?

気になり出したらキリがないが、今や、何を食べるかではなく、できるだけ何を食べないかの方が重要になっている。

あんなものやこんなものがお好みな方はどうぞお好きなだけ…。

自分でつくればおいしくて安上がり

ワタクシも以前は、めんつゆやだし醤油を当たり前のように使っていたが、真っ当でおいしい醤油やみりんに出会い、これでだし醤油やかえしをつくったらさぞかしうまかろうと思ってつくってみたら、市販のものとはケタ違いにうまいし、ストレートタイプのめんつゆ(塩分濃度が低いのであんなもんやこんなもんがたんまり)なんかよりコストパフォーマンスは高いぐらいだ。それに大事に冷蔵庫に保管して使い切るので無駄もない。

つくり方は簡単なので、別の機会にでもご紹介する。

プロの味も業務用調理液でつくる時代

日東醸造のOEM事業では、業務用の調味液や調味料をつくっておられるのであるが、今や、外食産業でも酢豚のもとや八宝菜のもとを使って調味するのが当たり前の時代になっている。専門料理店でも自前でスープを取っているところは希少だ。もはやプロの味もそれなりのお金を払わないと食せない時代なのだ。

ま、払っても平気で業務用レトルト食品を並べるお店や旅館もたくさんあるが…。

今どき、豆味噌とたまり醤油そのものだけをつくる希少なメーカー

青木 弥右エ門(おあき やえもん)さん
COREZO(コレゾ)「代々受け継がれてきた製法を頑固に守り、ものづくりにこれでいいという終着点はないと、加工品は一切やらず、豆味噌とたまり...

まとめ

加工食品、調味料が増えていることも食品廃棄物の増加につながっている。

毎年生産された醤油の5割以上が捨てられている。

今や、何を食べるかではなく、できるだけ何を食べないかが重要。

自分でつくれば、安心、安全で、おいしく、経済的。

規格や基準、制度が誰のためにあるのか、よーく考えて頂きたい。

COREZO(コレゾ)賞 事務局

初稿;2015.04.07.

最終更新;2015.04.07.

文責;平野 龍平

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