日本の食品廃棄量が増えているワケ
スーパーに並んでいる刺身パックには添加物が常識
保存料を使うようになって、塩分濃度を上げたり、乾燥をしたりしないで、生のままでもすぐに腐らず、保存が効くようになり、私たちの食生活は一変して、多大な恩恵を受けているように見える。
スーパーに並んでいる刺身パックの裏をみると、「マグロ切り落とし」には、植物油脂、酸化防止剤、pH調整剤、「刺し身用いかそうめん」には、還元水飴、砂糖、調味料等の添加物が記載されている。発色をよくし、その色を長持ちさせる薬品もあるそうだ。
厚労省の「生食用鮮魚介類の加工基準」では、「加工にあたっては、化学的合成品たる添加物(次亜塩素酸ナトリウムを除く。)を使用してはならない」と定められているが、保存性を高めるために何かを加えた製品は、加工食品という扱いになって、鮮魚ではなくなり、それに、生鮮品だから何かを加えちゃいけないとかいう決まりも特にないとのこと。
「ネギトロ」などは、売り物にならない筋張った赤身をミンチにして植物油等を添加してトロのすき身のような食感と風味を出すそうだ。
腐敗菌もエサにしない食品と腐らない人間
賞味期限を延ばしたり、味噌や醤油を「減塩」すれば、防腐剤が必要になる。塩分が気になるなら使う量を加減すれば済む話だと思うのだが、それに、高齢になると、だんだん、血管が細くなり、全身に血液が行き渡らなくなるから、血液が行き渡るようにするために高血圧になるという医師もいる。
常温で何週間も放置してもカビも生えず、腐りもしない食品がある。腐らないということは、腐敗菌もエサにしない食品を食べているということになる。そのなのばかり食べているから、口に入れても食品が腐っているかどうかもわからないニンゲンが増えているのだろうか?
複数の葬儀社の方から聞いた話であるが、近年のご遺体は真夏でもない限り、ドライアイスを棺に敷かなくてもすぐには腐乱しないそうである。
腐らない食品というのも怖い話であるが、そんな食品を食べている人間も腐り難くなっているのだろうか?
冷蔵庫のない生活
今から10数年前に冷蔵庫がない生活をしている人に出会って驚いたことがあったが、「その方が、毎日、新鮮な食品が食べれるし、無駄がない。」とおっしゃっていた。
https://corezoprize.com/shigefumi-nakamura
実際、50年ほど前まで、電気冷蔵庫は一般家庭にはまだ普及しておらず、氷で冷やす冷蔵庫があればいい方で、当時を思い返すと、食材は、毎日、近所の市場でその日食べる分だけ買って、次の日の朝には食べ切ってしまうというような生活だったように思う。
本来なら、冷蔵庫や保存料の普及、保存技術の向上が食品廃棄量の減少に寄与するはずなのに、年々増え続けているのは何故か?
一般家庭では、賞味期限や消費期限が伸びたことにより、不要不急な食材まで買い込んで、死蔵するようになり、気が付いたら期限がとっくに切れていて、返って食品廃棄が増えているという話もある。
食品流通業界の3分の1ルール
家庭で調理をしなくなり、スーパーやコンビニの惣菜中食や弁当で済ます人が増えているので、それらの生産量も増加し、そして賞味期限が切れると次々に廃棄されている。
さらに、食品流通業界には3分の1ルールというのがあって、消費・賞味期限の他に、納品期限、販売期限が定められていて、その期限が切れた在庫は、卸売、メーカーに返品されて、店頭に並ぶ前の食品も廃棄されているそうだ。そのルールが流通大手の支配により、さらに厳しくなる傾向にあり、それは、消費・賞味期限の延長=添加物の増加を意味している。
今や、食品廃棄物は毎日3,000万食、金額にして年間11兆円にも上り、年間 5500万トンの食糧を輸入して、1800万トンも捨てていると云われている。
日本のGDPは、約500兆円である。
古来からある伝統的な食品保存法
塩蔵
浸透圧の原理を利用している。
塩分濃度10%以上は、細菌が繁殖し難くなり、塩分濃度15%以上は、ほとんどの微生物が増殖し難くなる。
保存期間が長期になると、乳酸菌などの有用な菌が繁殖し始め、独特旨味成分を生じるようになる。
味噌や醤油、漬物など
醤油の塩分濃度は約16%なので理にかなっている
海水塩分濃度は3.1~3.8%
糖像
食品中の砂糖濃度が65%以上になると、大部分の微生物の増殖が抑えられる。
ジャム等
酢漬け
食品の酸性度を高めて(pH4.0以下)保存する。
酢漬け等
発酵
乳酸発酵;乳酸菌という微生物を使って腐敗菌の増殖を抑え、食品を保存する方法。
酢漬けと同様、食品のpHを4.0以下に抑えることで保存が可能になる。
ヨーグルト、チーズ等
乾燥
水分がなくなると微生物も繁殖できない
昆布、干し椎茸、スルメ等
燻製
燻煙により煙中の殺菌成分が食品に浸透すると同時に、長時間の燻煙によって食品の水分量が減少することで起きる水分活性の低下により保存性が高まる。また、下処理として塩漬けする場合が多く、これによる脱水・加塩も保存性の向上に寄与している。燻煙の前には一般的に乾燥処理を行う場合が多い。
かつお節等
保存料
下記によると、
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/shokuten/hozonryo.html
保存料は、食品の腐敗や変敗の原因となる微生物の増殖を抑制し、保存性を高める添加物。微生物を殺すことを目的とした殺菌剤とは異なる。
保存料の種類
安息香酸、安息香酸ナトリウム(安息香酸Na)
エゴノキ科アンソクコウノキの樹脂にも含まれるが、現在は化学的に合成されている。水によく溶け、各種の微生物に対して増殖を抑制する効果がある。食品のpHが低い(酸性が強い)ほど効力が増大する。
使用対象食品:キャビア、マーガリン、清涼飲料水、シロップ、しょう油。安息香酸ナトリウムについては、菓子製造用の果実ペースト及び果汁にも使用できます。
しらこたん白抽出物(しらこたん白、しらこ分解物、プロタミン、核蛋白)
サケ科サケの精巣(しらこ)の中にあるプロタミンやヒストンという特殊なタンパク質を取り出したもの。ネト(微生物が増えることによって生じるネバネバ)の発生を遅くする効果がある。
使用対象食品:一般食品、特にデンプン系の食品、魚肉ねり製品、調味料など。中でも、魚肉ねり製品に使用した場合、弾力増強効果や塩味を和らげる塩なれ効果もある。
ソルビン酸、ソルビン酸カリウム(ソルビン酸K)
ナナカマドの未成熟果汁中に存在するため、「ソルビン酸」の名はこのナナカマドの学名 Sorbus commixta から付けられた。現在は、化学的合成品が使用されている。抗菌力はあまり強力ではないが、水によく溶け、カビ、酵母、細菌と幅広い効き方をするため、さまざまな食品に用いられる。
使用対象食品:チーズ、魚肉ねり製品、食肉製品、魚介乾製品、つくだ煮、煮豆、しょう油漬、こうじ漬など
プロピオン酸、プロピオン酸カルシウム(プロピオン酸Ca)、プロピオン酸ナトリウム(プロピオン酸Na)
自然界にも微生物の代謝産物として存在し、みそ、しょう油、パン生地、ぶどう酒、チーズなどの発酵食品に含まれている。カビや芽胞菌(耐熱性の細胞を作る細菌)の発育を阻止するが、パンの発酵などに用いられる酵母にはあまり影響を及ぼさないことが特徴。
使用対象食品:チーズ、パン、洋菓子など
ポリリジン(ε-ポリリジン)
放線菌という細菌の一種の培養液を精製して得られる。成分は、必須アミノ酸の一種であるL-リジンが鎖状に繋がったε-ポリリジンという物質。ほとんどの細菌、酵母に対して有効だが、カビにはあまり効果がない。
使用対象食品:一般食品、特にデンプン系の食品
添加物肯定添加物メーカーWebサイト
http://www.ueno-fc.co.jp/foodsafety/c_6.html
添加物危険視記事
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150403-00010008-bjournal-bus_all
まとめ
食品保存技術が進歩したのに食品廃棄量は増えている原因は何か?
腐らない食品を食べる意味?
長年、安全性が検証されてきた、古来からある食品保存法を活用するには?
続く…
COREZO(コレゾ)賞 事務局
初稿;2015.04.06.
最終更新;2015.04.06.
文責;平野 龍平
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