庄田 全彦 さん/全窯(庄田窯)陶器製スピーカー 岐阜県中津川市 

COREZOコレゾ タイムドメイン理論に出会い、オーディオ業界の既成概念にとらわれず、画期的な素焼き陶器製スピーカーを開発した、陶芸作家」 賞

庄田 全彦(しょうだ たけひこ) さん/全窯(庄田窯)

プロフィール

岐阜県中津川市

全窯(庄田窯) 窯元 陶芸作家 陶芸教室主宰

陶器製スピーカー 製作

YouTube動画 COREZOコレゾチャンネル

「タイムドメイン由井さんと出会って生まれた『珠』」庄田 全彦(しょうだ たけひこ)さん / 全窯(庄田窯 )①

「陶芸作家だからこそ開発できたスピーカー」庄田 全彦(しょうだ たけひこ)さん / 全窯(庄田窯 )②

受賞者のご紹介

陶器製のスピーカー

庄田 全彦(しょうだ たけひこ)さん は、岐阜県中津川にある全窯(庄田窯 )の窯元であり、陶芸作家さんですが、陶器製のスピーカーを開発、製造しておられる。

2021年5月、タイムドメイン社の由井社長からその陶器製の「珠」という素晴らしいスピーカーが生まれたと伺い、ご紹介いただいて、庄田さんを訪問することになった。

実際に出てくる音を聴かせてもらうと、由井社長が「音像定位(方向)は左右のスピーカーの音量で決まるが、音像定位(音像)は時間と音量で決まる」おっしゃるタイムドメイン理論をしっかり実現しているスピーカーだと感じた。

タイムドメイン社由井社長との出会い

庄田さんは音楽にも造詣が深く、全窯(庄田窯 )の敷地内には作品のギャラリーを兼ねた音楽ホールもつくられていて、そこでタイムドメインのスピーカーの試聴会が開催されたのがタイムドメイン社の由井社長との出会いで、設置するつもりだったグランドピアノではなく、yoshii9を購入することになったそうだ。

由井さんがオンキョー勤務時代にオーディオの研究を始められてから45年余、その研究成果をSL-1、GS-1、yoshii9、MINI、lightという製品にしてこられた。かつては日本を代表するオーディオメーカーの一つであったオンキョーも上場廃止となり、オーディオ部門は他社に譲渡されたようだ。SL-1とGS-1は、由井さんが一人で開発されたが、FRPのホーンは、伊勢でFRPボートを造ってたおばさん、フエーズプラグはゴルフクラブのメーカー…、というように、伝ってくれたのはオーディオに全く縁の無い人達だった。

facebookつながりから開発が始まった

研究の結果、由井さんには、(音の)縦振動が忠実度を阻害することは分かっていて、筐体に関してはいろんな形で対応してきたが、必要な強度があり、板状材料では出来ない形状が望め、何より内部ロス(叩いても音がしないということ)がある陶器で、と考えていたが出来なかった、というのも全国の目ぼしい窯元を訪ねたが出来る人がいなかったからだ。
「これまでの研究で気になってた問題は、製品開発することで凡そ解決してきたが、オーディオ壊滅の中、大事なことをし残していることに気付いた」と、facebookに少し書いたら庄田さんから連絡があって、7年ほどかかっていろんな陶器モデルを作ってもらった中で、由井さん、庄田さん、ご両人が気に入ったのが下の画像の「華」だったそうだ。
陶器球型スピーカー「珠」は、由井さんが見た夢の話を庄田さんに伝えたことから開発が始まったと云う。ベストセラーであったlightは、生産委託していた中国と米国(中国がダメになった場合の保険をかけておられた)メーカーがなくなり、製造できなくなって困ってたが、性能抜群で、多くの用途に他と組み合わせても使うことができる逸品が完成した、と由井さんも大喜びだった。

庄田さんは、「音場の広がり、音源との距離感がどれだけ正確に再生できるか」を目標に開発されたそうだ。オーディオ機器の評価でよく目にするのは、原音忠実再生だとか、自然な再生音とかだが、実際の音源を知らないのにどうしてそんな評価ができるのか、と思う。由井社長によく聴かせてもらうのは、駅そばの踏切を通過する電車をiPhoneで動画撮影した音で、タイムドメインのスピーカーなら、どれでも誰にでもわかるぐらい非常にリアルに聞こえる。街中でも、自然の中でも、自分がその場で実際に経験した風景、状況を録画して、再生してみれば、その再生装置の正確さがわかるのではないかと思う。

由井さんによると、「庄田さんはオーディオ業界の人ではないので、既成概念にとらわれることなく、陶芸の匠としての卓越した技術とセンスで考えうる限りのチャレンジをされたからこそ生まれた製品だ」とおっしゃる。庄田さんによると、「+と−の配線の色すら知らなかったので、周りのいろいろな人が手助けしてくださったし、陶器は金型も要らず、思いついたことはすぐにでも試せるので、ありとあらゆることをやってみて、試作品をつくる度にいろんな気付きがあり、もっと開発に時間をかけたかった」とおっしゃる。

陶器製球型スピーカー「珠」

「珠」は釉薬をかけていない素焼きの陶器だ。これも由井さんから提案があって、試してみたら更に良い効果があり、素焼き故の脆さ、強度不足等の問題点を改善していったが、「陶芸の世界では素焼きでは価値を生み出さないのに、これが違う世界の人間が違う世界のものをつくるおもしろさかもしれない」と庄田さん。

試聴させていただくと、タイムドメインのスピーカーに共通するとても自然な再生音で、さらにクリアさが増した印象があり、さらに庄田さん所有のスーパーウーファSL-1を加えるとこれ以上は望めないほどの素晴らしい音になったので、是非、SL-1の復活も望みたいところだ。

「華」、「珠」は時間をかけて完成に漕ぎ着けたが、まだまだやり尽くせていないと思っている。次は、もう少し大きな「珠」にチャレンジしたい、とおっしゃるので、早速、1号機の予約をさせてもらった。

今や住環境もあり、イヤホンやヘッドホンで音楽を楽しんでいる方がほとんどだと思うが、タイムドメインのスピーカーこそ百見は一聴にしかずで、従来型のスピーカーに満足できなかった方には、是非とも聞いていただきたいし、趣味、嗜好の世界も広がるのではないかと思う。

COREZOコレゾ 「タイムドメイン理論に出会い、オーディオ業界の既成概念にとらわれず、画期的な素焼き陶器製スピーカーを開発した、陶芸作家」である。

タイムドメインスピーカーについては、下記の記事を御覧ください。

由井啓之さん

動画取材;2021.06.

文責;平野 龍平

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