大久保 冨美(おおくぼ ふみ)さん/とりの巣カフェ オーナー

COREZOコレゾ 「人口減少の地域に集客拠点をつくりたい!溢れる地元愛と超ポジティブなエネルギーが生み出した居心地の良い空間、自慢の景色、満面の笑顔で迎えられ、また帰巣したくなるカフェ・オーナー」 賞

大久保 冨美(おおくぼ ふみ)さん/とりの巣カフェ オーナー

プロフィール

徳島県三好市山城町大野

とりの巣カフェ オーナー

とりの巣カフェ

大久保 冨美(おおくぼ ふみ)さんは、親しくされている藍染作家の近藤 美佐子 さんのご紹介で、経営されている鳥の巣カフェに伺い、お話を伺った。

林業家のお父さまが目利きされたと云う三好市産の天然乾燥木材をふんだんに使った、木のエネルギーが溢れる建物である。

眼下には愛媛県の別子銅山から流れる砂金も取れると云う銅山川、対岸には天王山(大久保さんは、姿を恐竜に見立ててオオテラザウルスと呼んでおられる)を望み、大久保さんが眺めて育ったこの素晴らしい景色を多くの方々に見て、感じて欲しいと生家があった場所に建て、2015年にオープンされた。

2006年、三好郡三野町・池田町・山城町・井川町・東祖谷山村・西祖谷山村が合併し、三好市発足したが、合併当時、42,219人だった人口は、2024年には、22,572人とほぼ半減しており、大久保さんがこの辺りは、人より猪や猿の方が多い、と自嘲気味におっしゃるが、実際、とりの巣カフェがある山城町は、合併前の5,000弱から1,500人強に減っているようだ。

四国のまんなかに位置するこの場所に人が集う拠点をつくりたいと云う夢があり、市町村合併で三好市の職員を50歳の時に早期退職して、夢の実現に向けて動き出された。

しかし、その時点では、ここに建物も設計図も飲食や商売の経験も何の事業計画もなく、賛成する方は誰もいなかったが、ここに拠点をつくる想いだけで始めたのに、一年余り後には、建物が立ち、いろんな方々のおかげでオープンに漕ぎ着けて、今も続いているので、奇跡でしかない、と笑い飛ばされる。

同じ三好市でも大歩危や祖谷は全国的な知名度が上がり、外国人観光客でも賑わうようになっているが、このとりの巣カフェが面している道路は愛媛県新宮町へとつながっているが、目的がないと通らないルートなので、拠点をつくり、地道に続けることで、人に来てもらって、この風景や雰囲気を感じてもらい、ここに来る人が増えれば、この場所のエネルギーも上がる、と云う思いで続けておられるうちに、東京から有名ミュージシャンがネットで見つけて来てくださるようになった。

イベントスペースもあり、大久保さんが企画しているわけではなく、この場所で開催したいとおっしゃる方のおかげで、いくつかの定期的な教室、コンサート、セミナー他、イベントが開催されていて、その日も大阪の作家さんの展示会が開かれていた。

カフェメニュー

食事やスイーツのメニューは、お嬢さんのご担当だそうで、オープン当時から続く、とりの巣のようなパスタ、地元で採れる野菜を使った日替わりランチ、地元のそば米を使ったリゾット、鹿肉を使った焼きカレー、お麩を使ったスィーツ、とりの巣オリジナルコーヒーなど「優しい・田舎の食」を提供されている。

店名の由来

息子さんからの提案があり、「とりの巣」は、材料を集めてつくり、その巣で子育てをして、巣立っていく、そして、また、戻ってくると、巣づくり、子育て…、と繰り返されるが、このカフェも木材を集めて、この建物をつくり、食事や飲み物を提供して、「行ってらっしゃい」と見送り、そして、また「おかえり」と笑顔で迎えられる場所、戻ってこれる場所をつくりたかった大久保さんの想いと重なることから、「とりの巣カフェ」にしたそうだ。

「巣には集う場と云うイメージもあり、鳥は使者のようにいろんなところに飛び立って、仕事をしたり、情報を集めたりして疲れたら、ちょっと羽休めに戻ってきて欲しいな、と願っていたら、リピーターの皆さんがたくさん充電をしに戻ってきてくださるんですよ。」と大久保さん。

今後のとりの巣カフェ

雇用を生み出し、地域が持続できるよう地元に貢献したいという大きな目標があって始めたので、事業を拡大して、カンパニーにしていきたいそうで、そのために、ここに泊まってゆっくりしてもらえたらいいなと、とりの巣カフェをオープンして4年後にカフェの階下に同じく木材をふんだんに使って1棟貸切の宿泊施設を開設された。

今のところ、イベントを開催した皆さんやご存知の方にお泊りいただいているだけなので、ただお泊りいただくだけなく、地域の資源を掘り起こし、すでに実施している藍染体験のような体験メニューを開発、充実させて、今後は、もっと広く、多くの皆さんにご利用いただけるようにしたい、とのこと。

その他にも「とりの巣」オリジナルの商品開発、販売など、大久保さんの夢は尽きない。

大久保さんは、人生120年と思っているので、まだ半分、再スタートして何でもやっちゃえ!年齢関係なく、やりたいことをやる、チャレンジすることが大事だ!大変なこともあって、落ち込むこともあるけど、これってどうなる?と考えると、それもおもしろいし、「とりの巣」ではいろんな出会いがあり、自分たちだけでなく、偶々出会った方同士にいろんな展開が生まれていて、そんなご縁が繋がるのを見るのは楽しい、とおっしゃる。

お目に掛かってからお暇するまで、終始、満面の笑顔で楽しいそうにご対応くださり、こちらまで楽しくなってしまう。これこそがここに来られた方々の帰巣本能を刺激しているに違いない。

どんな苦境も楽しみに変えられる想いの強さと超ポジティブ思考、そして天性の明るさが成功の秘訣なのだろう。

このとりの巣カフェ・オーナーを育んだ砂金が取れる銅山川とオオテラザウルスの景観、一見の価値あり。

COREZOコレゾ 「人口激減の地域に集客拠点をつくりたい!溢れる地元愛と超ポジティブなエネルギーが生み出した居心地の良い空間、自慢の景色、満面の笑顔で迎えられ、また帰巣したくなるカフェ・オーナー」である。

取材;2024年10月
初稿;2024年11月
文責;平野龍平

 

 

 

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