安保 成子(あぼ せいこ)さん/ABO NON KIKAKU 代表/有松絞り

COREZOコレゾ 「時代に合わせて革新し続けることで伝統も続く 有松絞りの無限の可能性を拡げる NON KIKAKU デザイナー・作家」 賞

安保 成子(あぼ せいこ)さん/ABO NON KIKAKU 主宰/有松絞り

プロフィール

ABO NON KIKAKU 主宰

有松絞りデザイン

和文化伝統コンシェルジュ

名古屋市新事業支援センター専門家相談員

名古屋市生まれ

美術を学んだ学生時代から手仕事へ興味を持ち有松へ。

​有松絞りの会社に9年間勤務。絞りのデザイン、制作に携わる。

愛知県絞工業組合の後継者育成事業で技術を学ぶ創作絞り集団I.S.U参加

1992年第1回国際絞り会議㏌有松参加、以降1996年インド、1999年チリ・ペルー、2005年東京、2018年有松に参加。

1997年 市民歌舞伎SiiS iSi歌舞伎衣裳制作

2000年 「創る人」栄NOVA店舗共同経営

2003年 サンゲツギャラリー Blue&White展(絞り照明展)

2007年 ウェスティンナゴヤキャッスルホテル ラウンジカーテン制作

2016年 どまつり公式みなひめちーむ100名絞り帯制作

2017年 エスプラナードギャラリー「絞り展」企画、参加。

2018年・2019年 料亭河文 絞り七夕飾り制作ディレクション 

2018年 レクサス緑店オーナーズルーム4点、応接室3点、絞り制作​・ディレクション

ホテル店舗などインテリア制作のほか、会議記念品やノベルティ制作。

また、教育現場で講演、ギャラリー展示やワークショップ開催などで子供たち次世代に伝統工芸の魅力を伝えている。

有松絞り

1608年、東海道の発展のために有松に移り住んだ竹田嘉兵衛はじめ8名が中心となり、町の発展のために旅人の土産品として絞り染めを考案したのが、有松絞りのはじまり。

有松絞商工協同組合 有松・鳴海絞会館のWebサイトによると、

絞りの町有松は、江戸時代の初め、徳川家康が江戸に幕府を開いてまもない慶長13年1608年)に、絞り開祖竹田庄九郎らによって 誕生しました。
有松絞りの歴史は、尾張藩が有松絞りを藩の特産品として保護し、竹田庄九郎を御用商人に取り立てたことからはじまりました。
旅人が故郷へのお土産にと、きそって絞りの手拭、浴衣など を買い求め、これが街道一の名産品となり、その繁栄ぶりは、北斎や広重の浮世絵にえががれたましたが、鳴海の宿は有松を描いたもので、「名産有松絞り」と記してあります。
昔の繁栄と、日本建築の美しさを今に伝える町並みは、200年を経過した貴重な文化財です。その景観は、名古屋市の町並み保存指定第一号として、また全国町並み保存連盟の発祥地としても知られています。

幕末に尾張藩の専売制が撤廃されると、有松・鳴海の絞りの技術者が各地に流出し、江戸時代の後期から明治にかけて、日本各地に絞りの産地が生まれたが、戦時統制下の影響を受けて衰退し、現在では、高級絹絞り「京鹿の子」の京都と木綿布を藍染めにする庶民的な絞り染めの有松が絞り染めの二大産地となった。

有松絞りの技法は100種類にも及ぶといわれ、誕生から400年経った現代でも、有松絞りが生み出す生地の模様・表現は時代に似合う製品となって、国内・海外で多くの有松絞りファンを魅了している。

絞り染めは、布の一部を縛るなどの方法で圧力をかけ染料が染み込まないようにすることで模様を作り出す模様染めの技法の一つで、絞りと略され、模様染めの技法としては素朴なものであり、日本だけでなく世界各地に自然発生的に生まれたと見られる絞り染めの産地があり、特にインドやアフリカ地域で伝統的絞り染めが発達しているそうだ。

現在、世界で生産される絞りの中でも日本国内のものは特に技法の種類も多く、日本語以外の言語には絞り染め全体を表す言葉が存在していなかったことから、国際的にも絞り染めは「shibori」と表記される。

1992年(平成4年)には、名古屋市の名古屋国際会議場、有松・鳴海地区で、「第1回国際絞り会議」が開催され、「ワールド絞りネットワーク」の設立、新素材を用いた製品の開発や国外の見本市への出品など、有松・鳴海絞り振興のための取り組みが行われている。

 ABO NON KIKAKU

安保さんは、大学卒業後、インテリア関係の仕事しておられたが、友人の影響で、工芸の技術を身につけると、場所がどこでも何かできそうでおもしろいのでは、とひらめき、思いついた工芸の中で、絞りなら有松かな、と生まれて初めて訪れ、歩き始めて50mのところで、「働きながら有松絞りの技術を身に付けられます」と云う貼り紙を見つけて、その場で電話をして働き始める、というスゴい行動力の持ち主。

有松絞りは分業制が確立されていて、それぞれの職人さん、デザイナーさん他、有松絞りに関わる方々を差配してまとめるプロデューサー的な仕事をするのが絞り屋さんと呼ばれる会社だそうだ。

​その有松絞りの会社に9年間勤務して、絞りのデザイン、制作に携わった後、高校、大学で学んだ美術や前職で学んだインテリア、ご自身が興味を持って取り組んできたことを融合してみようと独立された。

「この絞り、いいね」と云ってもらえるのは嬉しいが、「これ素晴らしいけど、絞りだったんだ」と、新しい発見をしてもらえるようなモノを作りたい、とおっしゃる。

安保さんは、日本の誇れる伝統工芸品である有松絞りの無限の可能性を感じ、服飾だけでなく、インテリアなど自由に楽しんでいただきたいと思い、有松絞りの生地・模様を生かした規格品外の製品づくりをしておられ、その思いが「NON KIKAKU=規格品外」に込めらている。

  

子供たちに伝えたい

絞りの技法は素朴で、世界各地にあり、同じように絞っても人によって出来栄えが異なり、それがおもしろさでもあるので、絞りをほどいた瞬間のつくる喜びを誰もが感じられるのが有松絞りの良さであり、それを伝えたいと、創作活動だけでなく、小・中・高の家庭科の授業やワークショップで教えることも大切しているとのこと。

少しでも興味を持ってもらうことで裾野を広げるとともに、海外に行った時、自分が住んでいる地域の文化を現地の方々に話すことができれば、コミュニケーションの幅が広がり、親密度も深まることも伝えておられる。

伝統工芸の今後

有松絞りに出会って、絞りからは、人がものをつくると云う、根源的な力強さを感じたので、大量に同じ製品を作るのではなく、一点物でも規格品外でもいいじゃないか、今の競争社会で生きる人も同じで、他人と同じことができなくても、規格外の個性の方が大事じゃないか、と云う思いも「NON KIKAKU=規格品外」に込めている。

伝統工芸は、その土地にあるものを活かして、無駄がなく、捨てるところもなく、地域の環境にも負荷をかけないものづくりで、今で云うところのSDGsにも繋がる。それをもっと多くの方々に知っていただくためにも、有松絞りに限らず、安保さんの周りにはそれぞれが創意工夫をして伝統工芸のものづくりをしている方がたくさんおられるので、そう云う人たちが繋がれるネットワークができればいいな、とおっしゃる。

2024年6月に新たに工房を開いて、藍を建て始めたばかりなので、今後、どのようにこの工房を活用していくかを構想中だとのこと。

COREZOコレゾ 「時代に合わせて革新し続けることで伝統も続く 有松絞りの無限の可能性を拡げる NON KIKAKU デザイナー・作家」 である。

2023年度 第14回 COREZO賞 記念品

安保さんがお引き受けくださり、制作中とのこと、感謝!

購入できるのは、表彰式ご出席者のみなので、念のため。

有松絞り藍染めハンカチ

素材 綿100%  サイズ 45X45cm

COREZOのシンボルマークと、次世代へコレゾほんものがつながっていくイメージでデザイン。COREZOの頭文字と最後のCとOにも見えるようにしました。

完成イメージ

制作過程

アウトラインを縫い、帽子絞りで防染してから、天然の材料だけで建てた灰汁発酵建て藍染で何度か染めて糸をほどいて仕上げます。

 

有松絞り・灰汁発酵建藍染め

有松絞りとこの藍染め方法は、江戸時代に生まれました。400年の歴史を日常づかいでモダンに!ぜひご愛用ください。

有松絞りは江戸初期に産業として発達し、絞り浴衣や手ぬぐいは、東海道のお土産や尾張藩の名産品として全国に名を馳せました。 藍染めは今では稀少になったタデ藍を発酵、乾燥させた蒅(すくも)、灰汁、ふすま、貝灰、日本酒。天然素材だけを使う灰汁発酵建藍染め(あくはっこうだてあいぞめ)で、1枚1枚丁寧に染めたジャパンブルーのハンカチになります。 藍染めは『抗菌』『防臭』にすぐれ、武将や旅人に愛されました。肌触りも良く肌荒れにもいいとされます。

さりげないお洒落を楽しめます。大切な方へのプレゼントにもどうぞ。

藍染製品 使用上のご注意

・この商品は摩擦により色落ちをする可能性があります。


・ 濡れたまま他のものと長時間重ねて放置すると色移りする可能性があります。


・ 水洗いで軽く洗い日陰に干すことをおすすめします。


・ 洗剤使用の際は漂白や蛍光剤の入らない中性洗剤をご使用下さい。

取材;2023年9月
初稿;2023年11月
文責;平野龍平

 

 

 

コメント