種タネの話13、品種改良、ポマトを生み出した細胞融合とは?

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Evernoteに保存Evernoteに保存
  • 3

ポマトを生み出した細胞融合とは?

ポマトはご存知だろうか?ジャガイモとトマトの細胞を融合させて作った雑種植物だそうである。

細胞融合

隣接している細胞間の細胞膜が消失し、一つの細胞になることを細胞融合という。

自然界では受精の際に細胞融合がおきるが、異種細胞間では一般に自然に融合することはないが、細胞融合は、人工的に2つの異種細胞どうしまたは細胞質や核を融合する技術で,通常の交配では交配不可能な種同士の形質を兼ね備えた細胞種の作成を可能にした。

植物細胞の細胞融合の方法

まず、植物細胞の細胞壁同士がペクチン(植物の細胞壁の構成成分として、セルロース等他の成分と結合して、植物細胞をつなぎ合わせる働きをしている天然の多糖類)という物質でつながっているため、ペクチナーゼ(ペクチンを分解する触媒能を持つ酵素の総称)でバラバラに分離する。

次に、植物細胞の細胞壁はセルロース(植物細胞の細胞壁および繊維の主成分である多糖類)で出来ているのでセルラーゼ(セルロースを分解する酵素の総称)で分解して、細胞壁をもたない細胞膜がむき出しの植物細胞(プロトプラスト)をつくる。

そして、高濃度のポリエチレングリコール(PEG)を含む培養液中で培養すると、プロトプラストどうしが結合してDNA が取り込まれやすくなって、PEG を取り除くと融合して一つの細胞になるそうだ。

何故、ポリエチレングリコールで細胞の融合が起こるのかはまだ完全に明らかにはされていないそうで、おそらくPEGによって水分子が奪われることにより、脂質二重膜の内側の疎水的相互作用が不安定になるからではないか、と考えられているとのこと。

細胞融合のメリット、デメリット

遺伝子組み換えに較べて一気に大量のDNAを移動させることが出来る。

両種の遺伝子を持っているので、この細胞を培養して植物体を分化させると、両種の形質を合わせもった雑種細胞が得られる。

1982年にはポリエチレングリコール等の薬剤を使わず、電気刺激により細胞融合が起こることが発見され、細胞融合による雑種植物の作出は植物育種分野におけるバイオテクノロジー技術の主役だったが、遠縁の植物同士の細胞融合により作り出された体細胞雑種は染色体が脱落したり、不稔になることが多いことや、両親の好ましくない形質まで受け継いでしまうなどの問題点があり、実用にならないものがほとんどであったため、主役の座は、1994年に実用化された遺伝子組み換えにとって代られたそうだ。

ポマトとは?

1978年、細胞融合を使ってドイツで開発された最初の雑種。

本来、ジャガイモとトマトの一挙両得を狙ったものではなく、暖地性のトマトにジャガイモの耐寒性を持たせる目的で開発されたが、地上部は両方の中間的な形質が現れてトマトのような実はならず、地下部もごぼうのような根が伸びるだけで実用的な作物ではなかったため、一時期未来の植物と注目されたポマトは消えていった。

ジャガイモの根っこにトマトの茎を接ぎ木しても2週間ほどでトマトとポテトの雑種を作り出すことが出来るという。

まとめ

日本でも、細胞融合による雑種形成で、ハクラン(ハクサイとキャベツ)、オレタチ(オレンジとカラタチ)、ヒネ(ヒエとイネ)などの作出に成功したという例もあるが、実用化、商品化されたものはまだないとのこと。

COREZO (コレゾ)賞 事務局

初稿;2015.06.01.

編集更新;2015.06.01.

文責;平野龍平

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Evernoteに保存Evernoteに保存

フォローする

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です