意外に知らない塩のことその9、塩田でも繁殖する菌とは?

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塩田でも繁殖する菌とは?

塩の防腐作用

塩は、その防腐作用により物が腐って消えてしまうことを防いだために、神秘的な力があると信じられ、魔除けや厄除け、清めにも使われるようになったと云われている。

塩の防腐作用は塩の浸透圧によるもので、浸透圧により微生物中の水分が細胞外に引き出されて、微生物(細菌、カビ、酵母菌など)は死滅する。浸透圧は塩だけではなく砂糖でも生じるので、砂糖漬けでも食品が保存できる。

塩は、砂糖よりも少ない重量で大きな浸透圧が得られるのでより防腐効果が高いといえる。

水分活性

塩や砂糖の防腐作用を具体的に表すには「水分活性」という言葉が使われれるそうだ。

「水分活性値」は 、食品中の「移動 (蒸発)できる水」である自由水の量を表す値で、「自由水」に対して「移動できない水」 は、食品中のたんぱく質や炭水化物に吸着結合しているののであり、「結合水」と呼ばれる。

水分は食品の保存中の腐敗にも関係し、品質を劣化させる原因となる。食品中に微生物の腐敗菌が大量に増殖することで、食品腐敗が起こる。微生物の生育には適切な量の水分が必要になるが、微生物が利用できるのは「自由水」のみであり、水分が多くても、「水分活性値」が低ければ微生物は増殖しにくく、食品の保存性はよくなる。

水分活性値は、腐敗だけでなく食品の酸化や褐変、酵素活性など、多くの化学的や物理的変化にも関わりがあることが知られ、食品業界では、保存性を表す指標として、含水量より一般的に使われるそうだ。

乾燥させることによって食品中の自由水は減少し、「水分活性値」も下がって保存性が増すが、砂糖や塩を利用すると、水分が比較的多くても「水分活性値」を下げられるので、干魚・塩漬魚・塩辛・佃煮・ジャムなど、天日乾燥や塩や砂糖を加えて常温で保存する工夫は、経験的に「水分活性値」を低下させたものといえる。

好塩菌

通常、微生物は塩分濃度が高い場合、繁殖できないので、食品が変質することはないが、中には、塩分濃度の高い状態でも好んで繁殖する微生物もたくさんいて、このような微生物を好塩菌といい、カリウム塩類などを細胞の中に蓄積し、細胞の外の浸透圧とバランスさせて生き続けることができるらしい。

好塩菌は生育できる塩分濃度によって何種類かに分けられ、塩分濃度が15~31.2%でも生きている菌もあるらしく、身近な例として、味噌、醤油の製造に使われる微生物がある。

好塩菌の中には、腸炎ビブリオ、ブドウ球菌、病原性大腸菌(O-157もこのひとつ)のように、食中毒を起こさせる種類の菌もいて、塩分濃度が高くても温度などの条件が良ければ繁殖するので、衛生的な環境で製造することが重要になるそうだ。

天日塩田では、好塩菌が繁殖することがある

天日塩田では、好塩菌の繁殖によって結晶池が桃色から赤色になることがあり、この好塩菌は食中毒を起こさせるようなことはないが、このような天日塩は、製品として出荷する前に洗うことでこの菌も色も大部分落とせるとのこと。

製品となった塩の中で微生物が繁殖することはあり得ない

加熱して煮詰められてつくられる塩は滅菌されているので、菌はほとんどいないと考えてよいが、全工程中、無菌状態で製品化されるわけではないので、微生物を皆無にすることはできないし、非加熱の天日塩には、洗浄されていれば、その数は少なくなっているはずだが、何らかの微生物が入っている。

しかし、製品になった塩の環境では、微生物が繁殖することはあり得ないので、塩の品質を表す項目の中にも、微生物に関連する項目はない。

塩蔵品でも保存には注意が必要

塩が直接の原因である食中毒の報告はないが、塩蔵品では、ごく稀に食中毒が発生している事例があり、魚の塩干物が好塩菌の繁殖によって腐敗すると、ピンク色に変色するそうだ。

微生物はあらゆる所にいて、熱をかけたりして完全に滅菌されていない限り、その微生物の繁殖に適した環境が整えば増殖する。

たとえ塩蔵品であっても、微生物の入っている塩が使われたり、なんらかの原因で好塩菌が付着していた場合、その繁殖に適した環境条件が揃うと増殖して、食品の品質劣化を起こすことがあるので、注意が必要だが、冷蔵庫に保存することである程度防ぐことができるそうだ。

また、塩の品質と塩蔵品の品質との関係でいえば、せんごう塩の場合よりも天日塩の場合の方が塩蔵品中の胃ガンを発症させる原因物質の一つであるニトロソアミンが多くなるという報告があるそうだが、どの程度増えるのかは不明だ。

塩漬け肉では、肉を赤く発色させるために硝酸塩や亜硝酸塩を添加することがあるが、それらはニトロソアミンを生成させる物質で、普通に食べている分には問題ないが、多くの量を長期間食べ続けることは避けた方がよいらしい。

加熱したせんごう塩を使って衛生的な状態で食品を製造すれば、微生物の汚染に対してより安全といえるが、非加熱の天日塩でも衛生的な環境で使用するとか、長期間の保存には冷蔵庫を使う等、取り扱いに注意すれば、まず問題はないとのこと。

まとめ

塩田でも繁殖できる好塩菌が存在する。

非加熱の天日塩には微生物が付着している可能性がある。

製品となった塩の中で微生物が繁殖することはあり得ない。

塩蔵品による食中毒が発生しているので注意が必要。

参考

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COREZO (コレゾ)賞 事務局

初稿;2015.04.25.

編集更新;2015.04.25.

文責;平野龍平

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