種タネの話25、固定種、在来種の野菜を食べる方法、その2

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固定種、在来種の野菜を食べる方法、その2

家庭菜園では満足できなくると次は畑を借りて…。

株式会社黒怒会長、佐野 正則(さの まさのり)さん

佐野 正則(さの まさのり)さん
COREZO(コレゾ)「社会悪=ブラック・黒に常に怒りを持って行動し、自立・自給・持続可能な人間本来の暮らしをデザインする、世直し事業家」賞...

佐野さんの安全な食に対する基本的な考え方

第1段階

自然に生えているものを自分で採って自分で食べる。

第2段階

自分で作って自分で食べる。

第3段階

自分が信頼できる人に分けてもらう、あるいは作ってもらう。

昔でいう『おすそ分け』の考え方。

第4段階

安全なものが欲しければ、信頼できる人から買う。

スーパーや自然食品の店で買ったり、田舎のおばあちゃんが作った野菜を買ったり、漁師さんから魚を買う場合等、ここで初めて経済行為が生じる。

できる、できない、ではなく、やるか、やらないか

「私は、安全な食を販売する商売をやりたくて始めたのではなくて、必要に迫られて始めました。最初は小売だったけれど、自分の売りたい商品を作ろうと思えば、力を持たなくてはいけない、そうすると、卸に転身せざるを得ませんでした。そうして、必要に迫られてやってきましたが、肝心なのは、自分の考え方をどこまで貫けるかということです。」

「できる、できない、ではなく、やるか、やらないか、です。始めた当時は、お上のおスミ付きで、大手の会社が作ったものなら添加物が含まれていようが何の問題にもならず、それはヘンだからと変えようとしても、まず不可能でした。だから、やるか、やらないかの精神しかなかったのです。どこまで本気になれるか、現状を踏まえて何をするか、今も基本的な考え方は変わっていません。思ったことを続けようとしたら、足助での野菜作りまでやることになりました。」

農業に取り組んだワケ

「私は、卸売業者として商品のことはよく知っているつもりですが、原料素材の生産の現場については全くの素人でした。もっと安全で、高品質な食品を、と生産者にお願いしておきながら、現場の実態を知らないのでは話になりません。さらに自然食を極めるためには、自分自身が農作業を体験して学ぶことが必要だと感じていました。」

「また、その当時、狂牛病が問題になり、一般の皆さんにも知られるようになりましたが、私は、ずっと、日本の農業の安全性や食品表示の曖昧さについて、危機感を抱いていました。本当に安全な食品を安心して食べるためにはどうしたらいいのだろう?と思い悩んでいましたが、『自分が作ったものを自分で食べる』という食の原点に立ち戻ってみようと考えたのです。」

農業を体験してみることを勧める理由

「私も農業なんてやったことがなく、タネというのは1袋『何グラム』という単位で扱うのかと思っていたら、『デシリットル』でした。畦(あぜ)とは何か?畝(うね)とは何か?土寄せとは何か?基本的な知識も何もなかったのです。何年も有機農業に取り組んでいる人に教えてもらいながらやりました。」

「最初から、『農業をやるんだ』と大上段に構えても、何が必要かすらわかりません。私が農業を教わっている人の軽トラックにはいろいろな道具が積んであって、まるで宝物箱のようです。そこから、その都度、必要なものを、『ハイ』と出してくれるのですが、やっているうちに、どんな時にはどんな道具が必要かがわかってきます。」

「私たちのレベルだと、この土地ならこれくらいの道具が要るな、土が固いからこういう道具が要るな、と必要なものから買い揃えていけばいいのです。また、キュウリとかナスは、毎日大きくなるので毎日採らなくちゃいけないけれど、イモ類は放っておいてもできるので非常にラクだし、収穫も一気にできる、というようなこともわかると、力の入れ加減もわかってきます。いずれにせよ、自分で見て、五感を研ぎ澄まして感じてみることが肝心で、そこから見えてくるものがあるはずです。」

都会の人たちが農村へ入れる状況をつくることが重要

「私たちが借りていた農地があった集落も過疎化が進んで、7~8軒しか残っていません。じいさん、ばあさんばかりで後継者もいないので、いずれは廃村になることも覚悟しているようです。それならば、都会の人でも、理解のある人に土地を貸して入ってもらうことを考えてもいいような気がしますが、それが、なかなか難しいのです。」

「農村社会は閉鎖性が強く、『都会者』や『他所者』の受け入れを拒否する社会です。そこら辺りの意識を変えようと、行政も絡めていろいろ頑張っていますが、これが、なかなか難しい問題で、『お百姓さんは都会の人に土地を解放してほしい』ということをスローガンにして、取り組んでいかなければならないと思っています。」

自分が食べるものぐらいは自分で作ってはどうか?

「戦後、日本は、高度経済成長を目指して、経済力は手にしましたが、それと引き換えに、人間にとって多くの大切なものを失ったのではないでしょうか。私たちが始めた頃は、安全な食品を手に入れることが難しかったのですが、今は、食の安全性に対する意識も高まってきたので、安全な食品に限れば、かなり容易に手に入るようになりました。だから、安全性の部分は他に任せて、私たちはむしろ、食にしても本物の分野、日本の伝統的な食文化の研究やその伝承、さらに踏み込んで、人間の暮らし全体にわたる提案をしたいと考えています。」

「私の実体験からの提案の一つは、稼げるような農業はしなくてもいいので、自分が食べるものぐらいは自分で作ってはどうかということです。自然を身近に感じる農的な暮らしの中に、人間本来の暮らしを感じられると思います。」

まとめ

農業や農作物の種も経済と効率が最優先された結果、在来種、固定種の野菜は、ほとんど流通しなくなって、私たちは選択の自由や権利を失っているのである。

F1種の野菜の種を採種しても、次の世代はまともに姿形がバラバラにしか育たないので、F1種の生産農家では採種せず、毎年、種苗会社が人為的に交配した種を買い続けるしかない。

種を採って栽培できないF1種の野菜は、未来に命を繋ぐことができない野菜であり、私たちはそういう野菜を食べていることになる。

近代農業に必須の三点セットは、F1種、化学肥料、農薬で、これらを農家は毎年購入しなければならず、それだけコストがかかる。

大きな成果を期待して近代的農業を採り入れた地域や国々でも、今では、病虫害、土壌汚染、多額の負債、貧富の格差拡大といった問題を抱えるようになっているという。

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COREZO (コレゾ)賞 事務局

初稿;2015.06.14.

編集更新;2015.06.14.

文責;平野龍平

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