中村 訓(なかむら さとる)さん

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COREZO(コレゾ)「業務用に作られた野菜の売れ残りだけでなく、自分で育てた野菜を食べてみませんか?おいしい固定種、在来種の野菜を身近にするタネ屋さん」賞

satoru-nakamura中村 訓(なかむら さとる)さん

Contents

プロフィール

静岡県浜松市出身・在住

光郷城 畑懐(こうごうせい はふう)・有限会社浜名農園 代表

ジャンル

在来種、固定種の種苗販売

家庭菜園応援団

経歴・実績

1968年 浜松市生まれ

東京農業大学卒業後、有機農産物の販売に従事

もっといろいろな種類の美味しい野菜があったはずと、在来種、固定種を探し始める

1997年 種苗業の三代目を継ぎ、全国へ、在来種、固定種の通信販売開始

土壌の重要性を知り研究、開発に約10年をかける

2005年 店名を『芽ぶき屋』から、『光郷城 畑懐(こうごうせい はふう)』にリニューアル

2007年 交換不要のプランターの土「畑懐の土」の生産、販売を開始

あなたらしく生きるをテーマに家庭菜園のノウハウの指導提案に力を注ぐ

年間約2,000人の方に種苗をお届けする家庭菜園応援団

受賞者のご紹介

固定種・在来種って何?

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中村 訓(なかむら さとる)さんは、固定種・在来種に力を入れて販売している浜松の種苗店、光郷城 畑懐(こうごうせい はふう)の代表。

固定種・在来種って何?てことだが、今や、スーパーに並んでいる野菜、外食、中食産業で使われている野菜の99%以上が「F1」と呼ばれる一代交配種だそうだ。ホームセンターや種苗店さんに行って、野菜の種を見れば、自慢げに◯◯交配とかF1と明記されている。

これは種苗会社が同じ野菜の遠縁にあたるいろいろな品種をかけあわせて作った種で、一代交配種や一代雑種と呼ばれる一代限りの種で、翌年、その野菜の種を蒔いても同じような野菜は育たないそうだ。

その長所として、姿形・大きさが揃い、曲がったり、割れたり、粉をふいたりすることが少なく見栄えが良い、早く大きく育つ、収穫量が多い、収穫時期が一定する、糖度が高い等の特徴がある。でも、見栄えや生産性、効率、流通性を重視することで失ってしまったものも多くあるようだ。

粉をふかないキュウリ

粉をふくことが少なくなったというのは、土壌中の珪酸吸収力が弱いカボチャを台木にして作られたキュウリのことで、実を守るために出すロウ質の白い粉(ブルーム)を形成できなくなり、この粉を残留農薬と勘違いしていた消費者には、きれいなキュウリと歓迎され、実を守るブルームが出せなくなったキュウリは、実を守ろうと皮を硬くするので、出荷できるまでの生育期間が長くなった反面、日持ちが良くなり、流通業者にも歓迎され、見映えと日持ち優先で、不味いキュウリがさらに不味くなったという話もある。

「雄性不稔」とは?

しかも、今の一代交配(F1)種のタネは、「雄性不稔」という自分では子孫を残せない欠陥種だけをバイオテクノロジーで育てて、交配して作ったタネが主流になっていて、私たちが普段口にしている野菜のほとんどは子孫を残せない遺伝子を持った野菜だという。

普段食べている農産物やそのタネについてどれだけ知っているか?

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佐野 正則(さの まさのり)さんへの取材時に、自社の実験農場で「在来種」を育てておられたと伺った。その前には、自然農の村上 真平(むらかみ しんぺい)さんからは、「F1種」の話を伺い、それ以前にも、農業をしておられる皆さんから、遺伝子組み換え作物、バイオメジャーの独占、ジャガイモの発芽を抑制(芽止め)するための放射線照射、ミツバチの大量失踪等々の話を伺っていて、断片的でなんとなくの知識はあったのだが、自分たちが普段食べている農産物やそのタネのことについて、何も知らんことに気が付いた。

気になり出すと、気になってしかたがない。佐野 正則(さの まさのり)さんのご紹介記事を書くのに、一から調べて、勉強することにした。ネットで「在来種」、「F1種」と検索すると、野口 勲(のぐち いさお)さんのサイトが次々と上位にヒットする。

野口さんも文科系だったらしいが、タネの話は生物学?農学?遺伝学?社会学?としても、また、一般教養?としても大変奥が深く、理解するのに苦労をした。佐野さんが在来種のタネを仕入れておられる中村 訓(なかむら さとる)さんをご紹介頂けることになっていたが、その前に東京へ行く用があり、ダメもとで一面識もない野口さんに連絡をしたところ、幸運にも、会って頂けることになり、その上、講演まで拝聴し、お話を伺うことができた。

で、タネの知識をデキの悪いアタマにちょこっと入れた上で、中村 訓(なかむら さとる)さんにお目に掛かった。

ー 実は、先日、野口 勲さんにお目に掛かって、お話を伺うことができました。野口さんは、中村さんのことをご存知で、訪ねたこともある、とおっしゃっていました。

「そうでしたか。ええ、こちらに訪ねて頂いたことがありますよ。同じ在来種、固定種を扱うタネ屋同士、情報交換もしています。」

在来種、固定種を扱うようになったワケ

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ー どうして在来種、固定種を扱うようになられたのですか?

「ウチは、私で三代目になりますが、元々は、菊の苗を栽培していて、花卉農家に販売したり、タネ屋に卸したりするところから商売が始まりました。」

「学生時代には東京で暮らしていたのですが、外食が多くて、時々、野菜を食べたくなっても、おいしい野菜には、なかなかありつけませんでした。そのうちに、有機野菜や無農薬野菜が話題になって、実際に食べてみると、確かにおいしい。で、そういうことにも興味を持ち始めました。」

「当時、東南アジアでの森林乱伐が問題になっていて、社会的なシステムはよくわからないままにも、酸素を作っている森林の伐採が進むことには疑問を感じていました。環境にマイナスにならないような生き方をしたかったこともあって、有機農産物の流通団体で働くようになったのですが、そこに入ってくる野菜も、スーパーで売っているのも品種がみんな単一品種になってしまっていて、例えば、大根だと青首大根、トマトだと桃太郎という品種しかなく、野菜の品種を選んで買うこともできなくなっていたのを知りました。」

「子供の頃の記憶を辿ると、昔は、もっと色々な野菜があったし、もっと個性的な味だったような気がするけど、どんな味だった?って、思い始めましてね、調べてみると、当時でさえ、昔の品種は栽培されていないし、流通もしていない、種の種類も量も極端に減っていたんです。」

「でね、根が食いしん坊なんでしょうね。自分で種を探して、集めてきて、栽培して食べてみた。すると、これが、実においしかったんですよ。」

「これは、世間の皆さんにも、もっとおいしくて、多様な品種があることを紹介しなくてはと思い、浜松の実家に戻って、「在来種」や「固定種」のタネを扱い始めたのが、1996年頃でした。2005年には、店名も『芽ぶき屋』から、『光郷城 畑懐(こうごうせい はふう)』にリニューアルしました。」

固定種、在来種とF1種の違い

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ー 改めて、固定種、在来種とF1種の違いを教えて頂けますか?

「野口さんのお話も聞かれたとのことですので、繰り返しになるかもしれませんが、簡単に説明しますと、固定種というのは、遺伝学という学問で使われる言葉で、遺伝子情報が固定しているという意味です。」

「例えば、大根のタネを取って蒔いて、育てて、収穫した大根が太いのや細いのや短いのや姿形がバラバラだと、『これはまだ固定していない』という言い方をします。そこから、好みの姿形、味のタネを選んで取って栽培します。また、同じことを何年か繰り返すと、だんだん姿形が揃った大根ができてきます。それを『その種が固定してきた』と言います。」

「在来種は、読んで字の如しで、その地域に昔からある野菜を指します。京都には京野菜と呼ばれる野菜がありますよね、例えば、九条ネギや聖護院大根、壬生菜なんかがそうです。学問的に言えば、在来種も固定種の一種です。昔からその土地で代々作ってきたものだから、長い年月をかけて種が固定されているんですね。」

「F1種というのは、ハイブリットとも呼ばれる、一代交配種のことなのですが、例えば、Aのキュウリはとてもおいしいけれど、病気に弱い。Bのキュウリはあまりおいしくないけれど、病気に強くて、収穫量も多いとします。この二つを掛け合わせたら、おいしくて、病気に強くて、収穫量も多い品種ができるのでは?ということで、Aの雌しべにBの雄しべをかけて新たな品種を作る。これが昔からやっている交配という技術です。」

現在の小松菜はチンゲンサイとの掛け合わせ⁉︎

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「野菜や農作物は、食べて私たちの健康に役立つものであるべきですよね?ところが、今の交配種は、作業性・効率やサイズが揃うこと、病気に強いことばかりを重視する傾向にあります。」

「例えば、小松菜は、栽培よりも最後に束ねて袋に入れるところが一番大変で、茎が固くて太い方が、作業効率がいいんです。しかし、本来の小松菜は柔らかくて痛み易く、1株1株、葉が横に広がって育つので、収穫量も多くない。そこで、在来種の小松菜とチンゲンサイと掛け合わせると、茎が太くて固く、立って育ち、病気に強い上に、収穫量も多いという、生産者と流通に都合のよい品種ができました。それが今の小松菜で、一気に広まりました。そういう遠縁の種類を掛け合わせて、双方のいいとこ取りをして改良した品種をF1種と呼んでいます。」

今と昔の小松菜を作って食べ比べると…

「ウチの店で、今と昔の小松菜を作って食べ比べてもらうと、10人中9人の方が昔の小松菜の方が、断然おいしいと言われます。昔の小松菜には爽やかな風味もあって、味が複合的なんですよ。でも、昔の固定種の小松菜は流通していないのが現状です。」

業務用に作られた野菜の売れ残りをスーパーで買って食べているって?

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ー 現在、全野菜の流通量に対する末端の消費者が直接購入する割合は3割程度だそうですね?

「外食やコンビニ弁当や惣菜等の中食の需要がどんどん増えているので、それぐらいかも知れませんね。確かに、流通やそういった業界が種苗会社や生産者に対して大きな影響力を持つようになっています。昔はひとカゴいくらだった野菜が、今は大根1本100円で売りたいから、形も大きさも揃えて欲しいという要望が出されれば、種苗会社や生産者もそうせざるを得ません。」

「ま、言い換えれば、私たちは業務用に作られた野菜の売れ残りをスーパーで買って食べているようなものなのです。そんな時代に生きていることをよく認識しなければなりません。また、実は、病気に強い品種に関しては、農薬をかけたくない有機栽培農家からのニーズも大きいのです。」

ー 驚いたことに、野口さんがおっしゃるには、元々、相性がいいのでしょうけど、自然農をやっている人たちは、在来種、固定種に関心が高いが、有機農をやっている人たちは、自分の有機農法でどれだけいい野菜を作るかに一生懸命で、在来種、固定種への関心は低いそうです。そういう理由もあったのですね?

「そうかも知れません。せっかく有機で育てるのだから、病気に強いことよりも先に考えることがあると思いますが、生産者には生産者の事情がありますからね。」

種の海外生産が増え続けている理由

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ー 在来種は何種類ぐらい取り扱っておられるのですか?その内、国内産の割合はどれぐらいですか?

「約300種類ですね。全国各地の採種農家から取り寄せていますが、タネを採るのは丁寧な作業が必要で、手間もかかるので、若い人はやりたがりません。年々、高齢化が進んで、国内で採種ができる農家は減ってきているので、今では3割ほどを海外に委託して育種、採種しています。日本の大手の種苗会社では、育種しているのはほとんどF1種ですが、既に、7割ぐらいが海外生産になっています。ま、ウチは比較にならないぐらい規模が小さいですけどね。」

今や、農家では採種できず、タネ屋から買い続けなければならなないワケ

「固定種は、遺伝的に固定されているので、毎年、種を取って育てても同じようにできますが、遠縁の品種を掛け合わせたF1種は、ご存知のように、種が取れたとしても、その次の第二世代は姿形がバラけてしまって、売り物にはなりません。市場からは、同じものが求められるので、農家は、毎年、タネ屋から買い続けなければなりません。いつの間にか、そういう仕組みになってしまいました。だから、ウチはタネ屋としては異端児なんですよ。」

ひとつひとつの細胞の大きさと生命力が違うって?

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ー 先程、在来種の方がおいしいという話をされましたが、他に違いはありますか?

「おいしさというのは人それぞれ違うと思いますが、今、市場に出回っている大きくてきれいな野菜は、概して、水っぽいと言うか、味が薄いような気がします。太っていても痩せていても細胞の数は同じなので、無理に大きく太らせた野菜と比べると、健康な野菜ほど、密度が高く、しまっています。」

「植物も動物も生き残るために環境に応じて変化していく訳で、敵もいるから自分も生かされているという世界観もありますよね?以前、同時期に、同じ野菜の今と昔の品種のタネを蒔いたのですが、その後、台風がやってきて浜松に上陸しました。今の新しい品種の方は台風が来る前に芽が出て、風雨にさらされて、ダメになりましたが、昔の品種の方は、普通だったら、とっくに芽が出ているはずなのに、台風が過ぎ去ってから、芽が出たんですよ。」

「不思議な話でしょ?ある種の予知能力のようなものが備わっているのかもしれませんね。種の多様性の中で、どうすれば生き残れるか、生存競争を勝ち抜いて来た訳ですから、昔の品種の方が、生き延びようとする能力というか、生命力があると思います。人為的に交配された種は生きることに弱いんでしょうね、きっと。」

一番大事なのは、人類の繁栄とその継続

「長い年月をかけて、生き残る術を身につけて来た種は強いですよ。何千年も前の遺跡から出てきた種もちゃんと発芽するのもありますからね。生命が種の形で成長しないで生きているんですよ。だから、種は命の中でも最も活性化している状態だと思います。」

「私たちにとって一番大事なのは、人類の繁栄とその継続です。人類がこの先も継続していくためには、未来に継続する命を食べていかなければいけないように思います。交配種も遺伝子組み換え種も、その時だけ、その代限りのものですから、在来種、固定種の野菜が復活して、もっと普及していって欲しいと願っています。」

手軽に在来種を栽培して、食べる方法

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ー 消費者も、自分が食べるものはどうでもいいのですが、せめて、自分の子供たちに食べさせている今の野菜をはじめとする農作物がどんなものか、どのようにして作られているのか、現実をよく知らないといけませんね。ホンモノの食品を突き詰めていくと、最後は必ず原材料のところに行き着きます。農業をやったことのない都会生まれの都会育ちの人間にとって、農業は一番縁遠い産業で、わからないことには、思考停止に陥りがちです。在来種の野菜を食べてみたいと思いましたが、佐野さんもおっしゃっているように、今や食べたいものは自分で作るしかない訳で、言うだけかい?と言われるのもシャクなので、小さな畑も借りました。

「そうですか、いいことですね。ウチでは、手軽に家庭菜園でも在来種を栽培して、食べてもらおうと、土とプランターバッグを開発して、販売しています。」

使用済み培養土が年間約68,000トンも捨てられているワケ

ー えっ?どんなものですか?

「昔からの固定種や在来種の野菜を育てるには、豊かな土壌が必要なので、種を販売するにあたっては、土もセットで用意しなければと思い、土作りも始めました。こちらにある『畑懐(はふう)の土』がその土です。いわゆる培養土なのですが、培養土とは、あらかじめ必要なものがブレンドされている花や野菜を育てるための土のことで、色々な種類がホームセンター等で売られています。」

「ウチの培養土の特徴は、①誰でも簡単に元気で健康な作物が栽培できる。②交換不要で、ぬか床のように年々、土が熟成する。③栄養価高く、美味しく安全な野菜が育つ。の3つです。」

「実は、プランターで園芸を楽しんでいる方の約80%が毎回新しい培養土を買っています。というのも、2回目以降の栽培は、必要な肥料を足しても1回目のようにうまく元気に育たないからなんです。そのため、古い培養土は庭や畑に捨てられ、都会では、少しづづ燃えるゴミとして処分しているのが実情で、年間約68,000トンもの残土が捨てられているのです。」

「2回目以降の栽培が上手くいかないのは、土がやせるからで、肥料分やミネラル分の消耗、微生物生育環境の悪化や土の粒子構造の悪化が原因だと言われています。再生剤というものも売っているのですが、それを入れて、条件を整えても、また生育不良がおこります。ところが、古くなったプランターの土を庭や畑、山に戻して、1〜2年休ませた培養土に肥料を混ぜると、1回目のように元気に植物が生育するのです。」

ぬか床のように年々、熟成させることができる土って?

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「土はやっぱり生きている!って、改めて気が付きました。自然には、元に戻ろうとする力、自然治癒能力や自己調整機能があります。それで、それらをもっと積極的に伸ばす良質な堆肥づくりを目指して開発しました。」

「ウチのうちのオリジナル培養土は、近郊から集まる枝や葉、幹を熟成し、堆肥を作ります。そこに天然ミネラルと山土を混ぜ数年の時間をかけてじっくり寝かせて作っています。この元土の畑懐の土(畑)をそのままプランターに入れて苗を植えたり、種を蒔きます。植物が枯れたら、古い根を取り除き、こちらの育てる素の畑懐の土(懐)を土に混ぜ、しばらく置いてから、新しい苗を植えたり、種を蒔きます。」

「2作目以降は、この(懐)のみを使います。土に混ぜるのは『土の再生剤』と同じですが、植物が成長すると色々なものが土から無くなります。そのすべてを補い、再生させるのではなく、ぬか床のように年々、土を熟成させて、土中のミネラル、微生物、腐植、地力の全てを熟成します。」

土もぬか床と同じように、土中の微生物のバランスが大切

「土もぬか床と同じように、土中の微生物のバランスが大切なのです。近年、O157がよく問題になっています。昔からいた菌のはずですが、どうして悪さをするようになったかというと、消毒すればする程、それを抑えていた有効菌が生育しにくくなったことが原因で、畑もよい微生物が生きやすい環境を整えないと安定していかないのです。」

「ウチの畑懐の土は、一般に売られている培養土と比べて糸状菌の数が1ケタ少ないのです。糸状菌というのはカビ菌の系統で、病原菌が多く、病気にかかりやすいインバチェンスという花を定植して比べてみると、他の培養土では病気が出たのに、ウチの畑懐の土では発生しませんでした。検査データの結果がそのまま花にも出た訳です。」

土の違いで野菜の味は違う?

「土の違いで野菜の味が違うのかという実証実験をして、実際にお客さんに食べ比べてもらうと、あまりにも美味しい!という意見が多いので、食品分析センターに分析を依頼しました。すると、二十日大根では、一般的な畑栽培よりも20〜100%アップのミネラル量があることがわかりました。カルシウムに至っては2.5倍も多く含まれていました。ごく一般的に売られている牡蠣殻を土に混ぜたところで、すぐに植物がカルシウムとして吸収できる訳ではなく、微生物に食べて、細かくしてもらわないと吸収できる状態にはならないのです。」

「また、味が良いのは、アミノ酸の量やバランスではないかとも考えています。これらは、未だ分析をしていませんが、アミノ酸は植物も作りますが、微生物も作ります。そんな有効微生物が土壌にいるというデータはあります。」

『畑懐(はふう)の土』とプランターバッグを使った栽培方法とは?

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ー おっ、そんだけおいしいと言われると、その土で作った在来種の野菜を食べてみたくなりますねぇ。栽培の仕方を教えて下さい。

「ハハハハ、簡単ですよ。陽の当たるベランダでもあれば、このプランターバッグに、あっ、プランターがあればそれでもいいんですよ。『畑懐(はふう)の土』を8分目位入れて、前日に水をたっぷりやっておきます。翌日、野菜の種類によっては溝を作ってやった方がいいですが、水菜や小松菜なら、パラパラと種と種の間隔が1cmぐらいになるように蒔いて下さい。狭いところがあったり、重なったりしても構いません。で、『畑懐(はふう)の土』を種が見えなくなる程度に掛けて、水をやるだけです。」

「蒔く種はケチらないで下さいね。これも不思議なんですが、あまり種をケチって粗く蒔くと、芽の出が悪いです。競争して我勝ちにみんなで芽を出すのか、さらに、他よりも早く大きく育つ競争をして、勝ち残った元気なヤツに子孫を任せるのか、よく解りませんが、ある程度の量を蒔くことをおすすめします。」

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「1週間もすれば芽が出てきますので、適当な大きさになったら、元気そうなのを残して、混んでいるところを間引いて下さい。間引いたのも食べて下さい。おいしさの先取りです。」

で、まんまと、中村さんの術中にハマってしまったゾ。畑を始めるまで待てなくなって、『畑懐(はふう)の土』とプランターバッグ、京水菜、丸葉小松菜、天王寺かぶの種を買っちまった・・・。

育てるという行為をすれば、きっと何かしらの発見がある

「ハハハハ、思うツボというか、とにかく身近に植物と接してもらいたいのです。何でもいいから、育てるという行為をしてもらいたい。きっと何かしらの発見があると思うのです。育てるという行為は、判断能力を伸ばしたり、自立ということにもつながるでしょうし、それができる環境を皆さんと協力して作っていけたらいいですね。」

「どうやって育てるの?と心配される方も多いのですが、ご自分の子供さんはなんとか育てられている訳でしょ?ま、親が環境さえきちんと整えれば、子供たちは勝手に育っていく訳ですよ。野菜も同じです。土がよかったら、50%成功。蒔き時期や品種にこだわれば、さらに25%成功。残りの25%は自分で水をやったり、どれだけ愛情を注げるかですね。」

どんな野菜のどんな品種を作るかという目的が大事

「初めて家庭菜園を始める方はスーパーで売っている野菜を目指しちゃうんですが、家庭菜園で、家族が年間食べる食糧を作ることはほぼ不可能に近いです。それをわかった上で、どんな野菜のどんな品種を作るかという目的が大事なのです。家庭菜園なら、土にもお金を掛けられますから、おいしくて、1枚の葉っぱで料理の栄養価が跳ね上がるぐらい滋養分の多い薬草的なレベルの野菜を作ることも可能で、それが醍醐味だと思います。私たちの命を育む母なる大地なのだから、資産として考えましょうよ、という言い方をしています。」

ー 最初から、あんまり張り切り過ぎてしまうと、収穫できるまでに疲れちゃうってことですね。ところで、この「土のうた」という小冊子は?

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「これは、土の大切さを知ってもらいたい、野菜を育てる楽しさを知ってもらいたい、食べ物で生かされていることを感じてもらいたい、と思い、カミさんに絵を描いてもらって、『畑懐(はふう)の土』の販売に合わせてつくりました。土の説明時に差し上げたり、お子さんと見えられたお客様に差し上げたりしています。」

人間は食べ物でできているのに、その食べ物に対する無知がいけない

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「人間は食べ物でできています。その食べ物に対する無知がいけない。決して、交配種を悪者にするつもりはありませんが、在来種、固定種の野菜と食べ比べてみて下さい。今は、ほとんど流通していないので、自分で育てて食べるしかありませんが、同じ野菜、同じ食べ物でも、格段においしいですよ。」

「スーパーで買って来たのよりおいしいと言う発見だけでも、食に対する考え方が違ってきます。先程も申し上げたように、私たちは業務用に作られた野菜の売れ残りをスーパーで買って食べているような時代に生きていることをよく認識しなければなりません。確かに、今の食を取り巻く環境をみると、『自分が食べたいものは自分で作って食べる』時代になっているのかもしれません。」

ー 野口さんの話を伺って、農地を借りて、畑で在来種を作って食べてみたいというところに一気に行ってしまいましたが、中村さんのお話を伺うと、ぐぐっと敷居が低くなったというか、それやったら、家でも簡単にできるやん、いっちょやってみるか、という気になりました。そんな人が増えて、在来種への関心が高まり、生産量も増えればいいですね。是非、COREZO(コレゾ)賞を受賞して頂いて、他の受賞者の皆さんにも今の話をして頂けませんか?

「私でよろしければ、喜んで。」と、中村さん。

COREZO (コレゾ)「業務用に作られた野菜の売れ残りだけでなく、自分で育てた野菜を食べてみませんか?おいしい固定種、在来種の野菜を身近にするタネ屋さん」である。

後日談1.第2回2013年度COREZO(コレゾ)賞表彰式

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お約束通り、種の話をして下さった

中村 訓 (なかむら さとる)さんに関するお問い合わせは

メールで、info@corezo.org まで

※本サイトに掲載している以外の受賞者の連絡先、住所他、個人情報や個人的なお問い合わせには、返答致しません。

COREZO (コレゾ)賞 事務局

初稿;2013.10.02.

最終取材;2013.12.

最終更新;2015.03.15.

文責;平野 龍平

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