小川 さだ(おがわ さだ)さん

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COREZOコレゾ「ジョーカーに手を出し、何度痛い目に遭っても、へこたれず、常に前向きに地域の活性化に取り組む、故郷を愛する龍神の化身」賞

小川 さだ(おがわ さだ)さん

プロフィール

和歌山県龍神村出身

龍神はーと 代表

一般社団法人熊野はーと 代表

一般財団法人龍神村開発公社 専務理事

受賞者のご紹介

堀田雅湖さんのご紹介で、白浜空港から飛んできた小川さださんと筆者の帰省のタイミングが合って、羽田空港でお目に掛かった。

一度お会いしただけで、COREZOコレゾ賞のことも良く分かっておられないはずなのに、地元の和歌山県龍神村でCOREZOコレゾ賞の表彰式をやりたいとおっしゃるので、2017年9月、30年振りぐらいで、事前調査も兼ねて、龍神村に訪れた。

龍神村とは?

龍神村は、和歌山県の中央部に位置し、県庁所在地の和歌山市から車で約1時間半、田辺市の中心部からも約1時間という、山間部にある。

2005年、合併により、田辺市龍神村となり、総面積は、25,513haで、田辺市全体の25%、和歌山県全体の5.5%と広大だが、その95%を林野が占め、古くから代表的な産業だった林業が衰退した後は、人口の減少が続き、2015年には、約3,500人となったそうだ。

日本三大美人の湯

龍神温泉は、約1300年の歴史を持ち、中性~弱アルカリ性、無色透明の炭酸水素塩泉で、「肌を白くする」という効能があり、川中温泉(群馬)、湯の川温泉(島根)と共に、日本三大美人の湯として知られ、自然豊かで、山と川の幸に恵まれた温泉保養地として栄えてきた。

龍神村には3~4回訪れていたが、山深い印象と国民宿舎で猪鹿鳥(雉)鍋を食べた記憶しか残っていなかった。小川さんは、かつて筆者が宿泊したことがあるその国民宿舎を建て替えた龍神温泉季楽里の専務理事もしておられる。

へんぴで不便な龍神が大嫌いだった

この美しい自然に恵まれた龍神で生まれ育った小川さんだが、へんぴで不便な故郷が大嫌いで、大阪の大学に進学し、そのまま大阪で結婚、出産して、二度と龍神に戻ることはない、と思っていたそうだ。

ご実家は、米や味噌、プロパンガス等の販売をしてこられ、小川さんが26歳の時、お父様の強い願いで家業を継ぐために戻ってこられた。

戻ってみると、龍神も人口の減少が進み、夏休み等にも、都会に出て行った若者は帰省せずに、他地域に旅行に出かけるという状況で、大阪に出た頃と変わらない不便な故郷に魅力を感じる事はできなかった。

Iターン移住者との交流が転機に

そんな龍神村にもIターンで村外から移住してきた人々がおられ、交流する内に、山の恵み、川や水の美しさ、豊富な農作物等々、素晴らしい「宝物」がいっぱいあることに気付いて、移住して来られたのを知った。

改めて、外からの目線で地域を見ると、それまで当たり前でつまらないと感じていたことが、かけがえのない魅力であることに気付き、若い女性が魅力を感じて暮らしたくなる村にすれば、若い男性の住民も増え、やがて、人口も増えるのではないか、と活動を開始した。

龍神はーとを立ち上げ

2002年、「村を愛する女性たちが畑から食卓へ、心と愛情をお届けします。」をコンセプトに、6名の村の女性で「龍神はーと」を立ち上げた。

当初は、「龍神はあと」と、優しいニュアンスで命名したが、メンバーが染めた草木染の「のぼり」を見た地元の男性が、「龍神は、後」と読み、「なるほど、龍神は、何でも遅れてるもんな。」と納得されてしまったことがあり、以降は、「龍神はーと」と改名した。

観光客に尋ねると、「お土産に何を買っていいのかわからない。」、「いいものやお店の情報がない。」という声が多かった。そこで、地域を見つめ直して、宝物を発掘することから始め、各家庭でしか味わえない食べ物や、観光客が知らないような地元の農作物、工芸品などにスポットを当てて、龍神のほんまもんの味やもてなしの心を商品化して、地域外の人たちに提供できれば、と取り組んできた。

柚べし

その代表的な商品が、その昔、携帯食として、鎌倉の武将が腰にぶら下げていた、と云う柚べし(ゆべし)だ。ゆべしといっても和菓子ではない。

龍神村はユズの産地で、冬になると保存食としてユズに味噌などを詰めた「ゆべし」を一般家庭でも作っていたが、高齢化に伴い、村内の生産者は、減少し続け、一時は、途絶えかけていた。その柚べし(ゆべし)づくりを復活させ、伝統的な食文化を絶やしてはならない、と生産を続けている。

無農薬で育てた地元産ユズを晩秋に収穫して、果肉をくり抜き、その中に、1年寝かした麦味噌、国産ピーナツ、ごま、七味、砂糖、きなこ等を詰め、せいろで蒸した後、寒空の下、毎日出し入れし、春まで小屋で乾燥させると、真っ黒な柚べしができあがる。

歯ごたえのある皮は、ユズの香りをたっぷり残し、口に含むと、ユズの酸味と熟成した味噌の塩味が複雑にからまって、他にはない風味で、スライスしてそのまま酒の肴やお茶漬けの友に、チーズと重ねてオードブルに、茶わん蒸しにあしらってもいける。今では、龍神村のお土産の定番となっている。

龍神味噌・龍神醤油

また、小川さんのお父様が自分の子供や孫たちにホンモノの味噌、醤油を食べさせたいと、始められた、味噌づくり、醤油づくりも引き継いでおられ、「龍神味噌」、「龍神醤油」として、商品化され、その他にも、無農薬無化学肥料栽培の「龍神産金いりごま」、「龍神産しいたけ節」、「熊野の赤山椒、青山椒」等、地元産の原料にこだわり、添加物は使わない、素材の味が生きる本物の味の商品ばかりがラインアップされている。

村内を転々とした辛い日々

2007年4月、龍神温泉に近い国道371号沿いに、待望の龍神材を使ったログハウス風のい常設店舗が完成した。それまでは、組み立て式の店舗や、移動式の店舗で販売してきたが、至る所で、「営業妨害」、「通行の妨げ」と排斥され、村内を転々とした辛い日々があった。

龍神の化身

地元の富田先生をそそのかして、龍神産里芋を使った焼酎造りに手を出し、痛い目に遭い、龍神温泉季楽里を運営する、龍神村開発公社の専務理事を引き受けて、痛い目に遭い、誰も手を出さなかった「ごまさんスカイタワー」の指定管理者を引き受けて、痛い目に遭い、その上、次世代に引き継ぐ、と称して、息子さんの直(なお)さんまで引きずり込んでしまった。

龍神村だけだと食材の幅が限られることや大量生産できないことなどから、地域の枠を広げた大きな組織を新たにつくる必要性を感じ、「龍神はーとだけではできないことを、協力しましょう。日曜日とか、工場が空いているときに使ってもいいよ」と云う、和歌山県田辺市内の食品加工会社や農家さんたちを巻き込んで、「一般社団法人熊野はーと」を設立し、代表になった。

この小川さださんと云う女性は、故郷の龍神村を心から愛し、その地域の活性化のためなら、誰に何を云われようが、どんな結果になろうが、打たれ強いというか、へこたれることを知らない、常に前向きな、まさに龍神の化身のような女性だ。

個人的には、COREZO賞の表彰式を見たこともないのに、開催を引き受けてしまった、この龍神様の化身のような小川さださんに、無事、何事もなく完了できることを祈るばかりだ。

COREZOコレゾ「ジョーカーに手を出し、何度痛い目に遭っても、へこたれず、常に前向きに地域の活性化に取り組む、故郷を愛する龍神の化身」である。

取材;2018.07.

初稿;2018.08.

最終更新;2018.08.

文責;平野龍平

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