道畑 美希(みちはた みき)さん/フードビジネス・コーディネーター

COREZOコレゾ「食・農体験、実務者の講義等を通じて、学生に生産現場から学ばせるフードビジネスの専門家」賞

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道畑 美希(みちはた みき)さん

プルフィール

兵庫県神戸市出身、東京都在住

フードビジネス・コーディネーター

東洋大学国際地域学部 国際観光学科 元講師

※2020年1月現在、既に東洋大学は退職されています。

Foodbiz-net.com 代表

ジャンル

食・農

食文化

フードビジネス・コーディネーター

経歴・実績

1961年 兵庫県神戸市生まれ

1987年 京都大学農学部修士課程修了後
、外食企業に入社

商品開発、経営企画を経て、独立

以後、フードビジネスコンサルティングに関わる

2001年 イー・ウーマン「働く人の円卓会議」議長

2009年 東洋大学国際観光学科 講師

受賞者のご紹介

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道畑 美希(みちはた みき)さんは、関東を中心に全国、世界を股にかけて活躍するフードビジネス・コーディネーター。フードビジネス・コーディネーターって何?ってことだが、それはまた後ほど・・・。

2013年3月、2012年度のCOREZO(コレゾ)賞を受賞して頂いた馬場水車場の馬場猛さんが、「森の名手・名人」に認定され、東京で表彰されるとおっしゃる。「森の名手・名人」は、公益社団法人国土緑化推進機構?とやらが、昔から日本人が伝えてきた知恵や技(わざ)、心を、ご自身の体験や経験とともに先人達から受け継ぎ、長年、森と関わり、森とともに生きてきた人たちを選定しているらしい。

「何の賞か知りませんけど、そりゃー、お祝いせなあきませんね。」というようなことで、表彰式会場の江戸東京博物館ホールで行なわれた表彰式に出席させてもらって、その後、馬場水車場を東京で応援しておられる方々?との祝賀会のような宴会があり、同席させて頂いた。

その皆さんも表彰式にも出席されていたようで、名人と取材した高校生の対談みたいなのがあって、その進行役のミョーにエバったオッサンが、でしゃばり過ぎ、しゃべり過ぎだったので、もっと表彰者に喋らさんかい!というので、大いに盛り上がった。

その祝賀会?に参加していた内のお1人が、道畑さんだった。酔っぱらっていたのでよく覚えていないが、関西弁で、ノリの良さはもちろん、鋭いツッコミもあって、このネーサン、ただもんやないんちゃう?と、気になっていて、後日、上京した際に、再度、お目に掛かることができた。

例によって、何の下調べもせずに、お会いしたのだが、予感はテキチュー、きっちり、オモロイ、ネーサンだった。

キョートー大学農学部修士課程修了

ー 来しなの電車の中で、iPhoneで、ちょこっと「道畑美希」ってググッたら、キョートー大学農学部修士課程修了らしいですやん?

「ハハハハ、バレました?」

ー 笑い事やありまへんがな、どこの高校でしてん?

「親和女子ですわ。」

ー どおりで、藤原◯香に似てると思いましたわ、六甲でっしゃろ?あの傍に住んでましてん。

「ハハハハ、似てへん、似てへん、私が通っていた頃は、大倉山でしてん。卒業してから、神戸外大の跡地に移転しましたね。

ー ハハハハ、似てへん、似てへん、で、親和って進学校?

「やる子はやるちゅー感じですわ。」

ー 思いっきりやる神童やったちゅー訳でんな?

「ハハハハ、やってない、やってない・・・。」

農学部に進学したワケ

ー で、何で農学部でしてん?

「予備校の先生から、農学部に行ったら、戦時中でも食べるのに困らんかったと聞いたんで・・・。」

ー ほほーっ、さっすが、戦時中の子は考えることがちゃいまんなぁ、で、何のベンキョーしてはったん?

「農芸化学科ちゅーとこで、男34名のとこに女が4名でしたわ。バイテク、細胞、農薬、遺伝子組み換え、発酵、肥料、応用生命科学、植物栄養学、活性酸素・・・、みたいな、平野さんが嫌いそうなこともいろいろとベンキョーしてましてん。」

ー そーゆーこともベンキョーしてくれる人がおらんと、何がエエか、アカンかわかりまへんがな。で、成果はあったんですか?

「人と違うことをやれ、ちゅーセンセやったんで、原核生物と真核生物って知ってます?」

ー ミクビッてもらっちゃーアカンよ、受験は化学と物理やったんで、サッパリわかりまへん。今から思えば、生物はベンキョーしといたらよかったと思いますわ、F1種とか、固定種とか種の話を聞いても、根本的なことがわかってへんから、いちいち調べんとアカンし、調べても理解に苦しみまんねん。

原核生物の藍藻類における過酸化水素消去系進化ちゅーのをケンキュー⁉︎

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「核膜があるのが真核生物、ないのが原核生物なんやけど、核膜がないということは、構造的に区別できる核を持たない細胞から成る生物で、細菌類と藍藻類が原核生物、それ以外の生物は全て真核生物なんです。その原核生物の藍藻(らんそう)類における過酸化水素消去系進化ちゅーのを研究してましてん。」

ー んー、思いっきり、サッパリ、キッパリ、わかりまへんなぁ。

「藍藻(らんそう)は藍色をした光合成をする最も単純な藻類と考えられてましてんけど、ふつうの藻類には、核も葉緑体もミトコンドリアもあるのに、藍藻にはありませんねん。現在では、藻類ではなく、細菌類に近い生物だと考えられていて、シアノバクテリア(藍色細菌)とも呼ばれてますねん。藍藻類は太古の地球で光合成により酸素を生成したのですが、代謝の過程で発生する活性酸素の一種である過酸化水素の消化系進化を研究してましてん。」

そのケンキューで大儲けしたとか?

ー よっしゃー、ま、今日はこれぐらいにしといたろ、で、そのケンキューで大儲けできたんでっか?

「これが、ハハハハ、人と違うことをするちゅーのは、実利には結びつかんもんですわ。」

で、就職したのは?

ー で、卒業して、何してはったん?

「当時、勢いのあった企業で、『就社ではなく就職してくれ』というようなリクルートのコピー見て、ここや!と思て、入社しましてん。」

ー ははーん、『おいしい生活』とか、気の利いたキャッチコピーを連発してたとこでんな?そこで、何してはりましたん?

「c◯saとか、ギュー丼の吉◯家とかの外食産業のメニュー開発、ハサップとかの品質管理、店舗開発、導線を分析してキッチンの設備設計、バックヤードシステムの開発とか、洋食のファミレスで出す和食弁当なんかの商品開発とか・・・。」

ー そりゃ、「藍藻類における過酸化水素消去系進化」のケンキューが役に立ちましたやろ?

「そんなもん、何も活用できひんわ!その企業のトップとも直接話ができたりして、何でもやらしてもらえましたけどね。」

一世を風靡した企業が凋落した原因とは?

ー あれだけ一世を風靡したのに、何で凋落してしもたんやろ?

「んー、文化戦略とかで、時代の波に乗ったけど、雰囲気とかデザインとかセンスとか外見の見映えを優先していましたからねぇ、その上、バブルで急成長したので、末端の従業員のモラルやモチベーションが低かったですね、現場を廻っていて感じましたわ。社員教育や管理が疎かになっていたんでしょうね。」

フードビジネス・コーディネーターとして独立して…

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ー で、いつ独立しはったんですか?

「4年半勤務して、辞めて、道畑事務所を立ち上げました。」

ー 独立して、何か勝算はあったんですか?で、どんな仕事を?

「なーんもありませんがな、フードビジネス・コーディネーターとか、ゆーても誰も知らんし、コンサルとかアドバイザーとかを始めて、前の仕事のつながりからボツボツ仕事が入って、今に至るちゅーことですわ。」

ー ザックリしすぎでんがな、もうちょっと、具体的に、詳しく・・・。

「食のビジネスの実務をやってみて、研究対象であった植物、農産物が、人々に満足と喜びをもたらすもんやと実感したんですわ。それで、農と食、それから、人を繋げたいと思い、この仕事を始めましてん。」

「今では、人々の健康につながる食の安全性、安定供給、食文化の伝承、また、環境問題等もクローズアップされてきていますやろ?フードビジネスでは、それらの多くの課題を解決しながら、利益を出すことが求められますねん。それには、外食企業と産地との連携、サプライチェーンの構築が重要だと考えています。農産物の生産現場を知るには、植物、農産物を研究していたことが、役に立ってますわ。『藍藻類における過酸化水素消去系進化』のケンキューが、直接、役に立ったワケとちゃいますけどね。」

「具体的には、調理器具メーカー等の販促用のメニュー・レシピの開発、料理写真の撮影、大手鉄道会社のエキナカや高速道路会社のSA等の店舗の業態・メニュー開発、業務用メーカーの商品開発やコンサル、海外農畜産物輸入のコンサル、日本からの輸出促進、地域農産物のブランド化戦略、業務用食材のネット通販サイトの企画・運営など、多岐に渡ってますねん。」

大学の教員になったのは?

ー 大活躍でんがな?大学のセンセになりはったんは?

「前からやりたいって、方々にゆーてましたら、お声が掛かって、2009年から、東洋大学国際地域学部国際観光学科の講師をしています。」

ー フードビジネスやのに国際観光学科?

「国際地域学部は、国際的視野に立った地域づくりや観光振興など、地域の創造的活性化を目指してはりますねん。これから力を入れるべきインバウンド観光の資源としても、食農連携は、非常に重要な役割を果たしますやん?観光やってはったら、知ってはりますやろ?食と農だけでなく、観光との連携を深めていきたいとも思てます。」

フードビジネスは、生産現場を知るところから始まる

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ー 道畑センセは、具体的にはどんなことを教えてはるのですか?

「レストランマネジメント、メニュープランニング、地域産品のマーケティング、ブランディングとかですわ。フードビジネスは、生産現場を知るところから始まります。ゼミで、長野県飯山市の田んぼのオーナーになっているんで、学生たちと農作業をしたり、京都の亀岡とかに、農と食の体験に連れて行ったりしています。まずは、食べ物がどうやってできて、どんな人の手や思いがかかっているか、ということを学ぶことが第一歩です。そこから、ビジネスでも、地域振興でも、情報発信でもなんでもやったらええんですわ。」

実務者の方々を講師として招いて実践的な講義

「それから、力を入れているのが、テーマに応じて、外部のフードビジネス経営やマーケティングに携わる実務者の方々を講師として招き、実践的な講義をしてもらうことです。平成24(2012)年度には、『フードビジネス経営論』として、『外食産業におけるグローバル戦略と起業について』をテーマに、7人の講師をお招きし、シリーズで15回の講義をしてもらいました。」

ー さすが、道畑センセ、聴きに行きたくなるそうそうたる講師陣ですね?

「多くの方々にご協力頂いて、お招きしています。毎回、毎回、もったいない話ばかりで、学生たちには、わかってんのんかい?と言いたい時もあります。」

「学生たちのアルバイト先で一番多いのが、飲食関係です。しかし、その現場の現実を目の当たりにすると、就職先に外食産業を選択しません。企業に就職するのが当たり前になっていますが、起業も含めて、若者がもっと食に興味を持ち、積極的に参画してくれれば、フードビジネス業界もさらに活性化し、グローバル戦略の道筋も見えてくるのではないかと期待をして、いろいろ企画しています。」

今の食を取り巻く環境、問題とは?

ー 食の専門家として、今の食を取り巻く環境をどのように思てはります?

「日本では、消費者視点に立って、と言いながら、企業は、次々と、新しい商品を市場に投入しています。技術革新もない小手先だけの商品開発だから、当然、他との差別化は難しく、CMをガンガン流して、イメージだけで売ろうとします。」

「特に食品の商品寿命は、極端に短く、コンビニなどでは、1週間やそこらで『売れない』というレッテルを貼られたものは、商品棚から抹殺され、100円均ショップへ直行し、それでも売れなければ、廃棄処分ですよ。とんでもないエネルギーの無駄遣いでしょ?そんなものを消費者は望んでないのに・・・、消費者よりも企業存続と株主のためですよ。

「そして、ツケは確実に消費者に回り、地球環境にも回ってくるんですわ。本当に欲しいものは何か、必要のないものは要らない、と明確に発することが、私たちが、せなアカンことですわ。」

「新鮮で、素材がおいしいものは、調理をしてもおいしいですよね?食への信頼は、生産者を含めたフードビジネスの業界が築かなければなりません。当たり前のことですが、ウソをつかないことです。ファーストフードやコンビの弁当が悪いとは言いませんが、今や、中高年層がコンビニの利用客数、売上を増やしている時代です。」

「消費者には、食べることにもっと興味を持って欲しいし、食への関心を持って、自身の健康を維持するのに、何が必要で、どれがおいしくて、安心か、食に対してもしっかりした自分の尺度を持てば、だまされることもありません。」

今後の展開、抱負

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ー いやーッ、タダもんではないとは思てましたけど、ホンマ、タダもんやなかったですねぇ。多分、おそらく、きっと、ないと思いますが、今後の抱負が、もし、万が一でもありましたら、聞かせてもらいましょか?

「ありまんがな、あるっちゅーねん。アジアでメイドbyジャパンの居酒屋を運営している企業のお手伝いをしていて、日本の食材が売れる手応えを感じています。また、こんな仕事をしているので、世界を巡って各国の食の現場を見ていますが、日本の農業の生産技術は素晴らしく、世界に誇れるものです。」

「今後は、もっと日本の農産物や食材だけでなく、農産技術も世界に売り込みたいし、また、これからさらに高齢化していく日本では、ちゃんとした食材でちゃんと調理した高齢者に向けた宅配弁当をやりたい、と思っています。」

COREZO(コレゾ)賞・財団の趣旨をご説明し、受賞のお願いをしたところ、「その趣旨には賛同します。でも、何で、私がもらえるのか、よーわかりませんが、くれはるもんはもろときます。」と、道畑センセ。

その後、奇しくも日本の大手ホテルチェーン他で、次々に、食品問題が発覚したが、騙す方も騙す方だが、騙される方も騙される方なのである。ちゃんと、食に対する自分の尺度を持ってたら、支払った代金でその食材が食べられるかどうかは、わかるやろっちゅーねん、ね?道畑センセ。

COREZOコレゾ「食・農体験、実務者の講義等を通じて、学生に生産現場から学ばせるフードビジネスの専門家」である。

後日談1.第1回2013年度COREZO(コレゾ)賞表彰式

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後日談2.第1回2013年度COREZO(コレゾ)賞表彰式

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後日談3.大歩危・祖谷地区とのインターンシップ

2014年3月、COREZO(コレゾ)賞のご縁で、ゼミ生を徳島県の大歩危・祖谷地区にインターンシップで受け入れてもらうことが決まったそうだ。

COREZO (コレゾ)賞事務局

初稿;2013.11.21.

最終取材;2015.02.

最終更新;2015.03.14.

文責;平野 龍平

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