坂東 俊(ばんどう しゅん)さん

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COREZO(コレゾ)「おいしい幸せと身体への優しさを両立しながら、理に適ったことをして、食材の良さを引き出だし、ワクワクする時間を提供する料理人」賞

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坂東 俊(ばんどう しゅん)さん

プロフィール

愛知県豊橋市

「野彩屋 primitive プリミティブ」 オーナーシェフ

料理人

経歴・実績

2004年 岡崎市内の高校を卒業後、茨城県の有機循環型農家「宇治田農場」にて1年間の研修・居候生活。2町歩の畑と1000羽の鶏に囲まれた生活を送る。

2005年〜2007年秋 豊橋市内の「山猫軒」(現在は名古屋に移転)にて住み込み勤務。

2008年〜2011年 東京・南青山の薬膳広東料理店に勤務

2011年〜2013年 銀座などを中心に展開する和食店にて勤務

2013年〜2014年4月 社内新業態のマクロビ対応店舗にて勤務

2014年 「野彩屋 primitive プリミティブ」開店

受賞者のご紹介

坂東 俊(ばんどう しゅん)さんは、愛知県豊橋にある予約制レストラン、「野彩屋 primitive プリミティブ」のオーナーシェフである。

「予約してでもわざわざ行きたい」と思って頂けるような極上のひと皿をつくりたい

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日東醸造の蜷川社長から、「おもしろいレストランがあるんですが、一緒に行きません?」とお誘いを受けて、ホイホイ、豊橋まで出かけて行った。

予約制にしているのは、「予約してでもわざわざ行きたい」と思って頂けるような極上のひと皿をつくりたい、という思いからだそうだ。

ひとりで5,000円のコースを食べに行く高校

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―料理人を目指されたのは?

元々、料理人を目指していたわけではなく、子供の頃、離婚前の両親が毎日必ず食事中に喧嘩をしていて、僕が口を開くと「黙ってろ!」と怒られたので、毎日が苦痛で、早く食べ終わって食卓を離れることだけを考えていました。

そんな僕が高校に入ってバイトを始め、もらった給料で一食800円ぐらいの洋食屋さんに入って食べたら、めちゃくちゃ美味しくて、同じお金を払うんだったら美味しい方がいい、とだんだんエスカレートしていって、初めてレストランに予約をして、おまかせコースを食べに行った時のことです。

「次は何が出てくるのだろう?」と、期待しながら次の一皿を待ち、食べる、というのを何度か繰り返している内に、まるで一本の舞台か映画でも観ているかのような時間があっという間に過ぎていたんですね。

その時のワクワク感は、今でもハッキリ覚えていて、しみじみ、「食べるのって、楽しいんだ!」と思いました。

それから、いつの間にか原付に乗って、ひとりで5,000円のコースを食べに行く高校生になっていました。

進学高校で唯一人進学しなかった…

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その内に、通っていた豊橋のお店からウチで働かないか、と誘ってもらいました。そんなのを食べに通っていたものですから、お店の人は、高校生だとは思ってなくて、大人にしてはえらく童顔だな、と思っていたそうです。

進学高校で唯一人進学しなかった僕は、茨城県の有機循環型農家で1年働いた後、そのお店で3年間、住み込みで働いて、東京に行けば、もっとスゴイ料理人がいるんじゃないか、見てみたいと思い、東京に出ました。

28歳の時、「野彩屋 primitive プリミティブ」を開店

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東京では、薬膳広東料理店と和食の店に勤務したんですが、内装工事をして1ヶ月しか使っていないという、居抜き物件の話があって、このお店を始めました。

―おいくつの時ですか?

2年前、28歳の時です。

―お店のコンセプトは?

最後に働いていたのが、マクロビ対応のお店だったので、マクロビと野菜をメインに健康志向の店を始めました。

もっとお客様がワクワクするような美味しい料理を提供したい

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独立してから1年が経とうとする頃、自分の料理への熱い思いやその原動力が、高校生だった自分が、初めてレストランに予約をして、おまかせコースを食べに行った時のあのワクワク感から来ていていることに気づきました。

外食にわざわざ訪れていただくんだから、もっとお客様がワクワクするような美味しい料理を提供したいと思うようになりました。

料理とは、理に適ったことをして、食材の良さを引き出す行為

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僕は、もともと理屈っぽい性質で、料理を科学するというか、「料理」は「ことわりをはかる」と書きますよね?「料理とは、理に適ったことをして、食材の良さを引き出す行為」だと、昔の人は、考えていたのではないかと思うんです。それで、空いた時間に、いろいろ料理の実証実験を始めて、つくった料理をfacebookに投稿していると、「それ、食べたい」という書き込みが増えてきて、最近では、その実証実験から生まれた料理を提供する機会が増えています。

―スペインに「エル・ブリ」という、超有名なレストランがありますね?

僕の目指しているのは、ちょっと違って、一番、凄い料理の技術って、食べた時にその料理の技術を全く感じさせないことだと思うんです。高い技術を駆使して、手間をかけた一品でも、お客様が召し上がった時に、「これは素材がいいから美味しいんだ。」と思って頂ければ、僕は、最高に嬉しいですね。

料理を科学

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―料理を科学とは?

例えば、肉は、60℃以上の温度で10分以上加熱すれば、細菌類は死滅します。60℃で肉の色が変色し始めて、ほんのりピンク色になっていきます。ところが、66℃になると、肉の成分であるアクチンが変性し始めます。アクチンというのは、水分をたっぷりつかんでいるタンパク質なので、加熱すると収縮して、水分である「肉汁」を外に排出してしまうんですよ。

だから、66℃を超えれば超えるほど、肉は水分を失い、硬くなってしまうので、60度~65度の温度で10分以上じっくり火入れすれば、肉は、ピンク色でも細菌類の心配もなく、美味しくいただけるという訳です。

この猪肉はそういう科学で実証されている低温調理法で調理しています。

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―猪肉は猟師の知り合いがいるのでよく食べるのですが、こんなピンクの状態で食べるのは初めてです。柔らかくて、臭いもなく、ビールがめっちゃ進みます。

有難うございます。肉の表面を強火で焼くと香ばしい香りが立ち上って美味しいのは、熱することで糖とアミノ酸が反応して、茶色く色づき、様々な香り成分を生むメイラード反応が起こっています。メイラード反応が進むのは155℃の温度なので、155℃以上で焼いてあげればいいのです。

―おっ、味噌や醤油づくりの過程でも起こっているあのメイラード反応ですね?

そうです。

伝統的な技を数値化、機械化して、それをまた伝統的な技にフィードバック

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―今後は?

まだ、自分がやりたいこと、やろうとしていることがやっと見えてきたところです。料理を科学しながら、毎回、コンスタントに再現可能な状態に持って行けるようになりましたが、そこから先、もっと技術を磨いて伸ばしていきたいですね。

日本酒の蔵元さんなんかも杜氏さんの伝統的な技や勘、経験は、コンピューター制御の最先端技術との対立構造になりがちだと思うのですが、伝統的な技を数値化、機械化して、それをまた伝統的な技にフィードバックするようなループをつくれば、もっと技術も向上するだろうし、盤石になるだろうと思います。

料理でそういうことをやりたいですね。

オーガニックガストロノミー

坂東さんは、10年間の修行時代に習った伝統技術の全てを今一度、「理に適っているか?」の観点から見直し、職人の技術の方が優れた結果を産むものは、昔ながらのやり方で、最先端の科学技術を使ったほうが優れた結果を産むものは、新しいやり方で、というように、最も食材の良さを引き出せる方法で「料理」しているそうだ。

現代科学では、「何が身体にいいか?」というのは100%解明することはできないが、「明らかに身体に悪いであろう」ものをお客様にお出しするのはプロとしての美学に反する、と考えておられて、飽食と不健康が溢れかえった現代社会で、「おいしいしあわせ」と「からだへのやさしさ」の二つを両立させて提供する、オーガニックガストロノミーを目指しておられる。

和食あり、洋食あり、ジャンル分けができないひと皿もあり、なんともバラエティーに富んでいる。どれも色彩が美しく、primitiveさんのお酒に対するスタンスは、「アルコールなんてもともと体に悪いものをわざわざ飲むんだから、ビオかどうかよりもうまいかどうかの方が重要」とのことだが、スパークリングワイン、赤白ワイン、ポンシュ、もちろん、ルービもバカスカのんぢゃった程、美味しゅうございました。ご馳走さまでした。

Primitiveって店名は、どんな思いをのせてつけられたのだろう?「昔ながらの」や「根源の」と「未発達な(これから進化する)」とをかけておられるのだろうか?大きなお世話だが、坂東さんにしか創れない料理の世界を築いていただきたい。

COREZO(コレゾ)「おいしい幸せと身体への優しさを両立しながら、理に適ったことをして、食材の良さを引き出だし、ワクワクする時間を提供する料理人」である。

文責;平野龍平

2016.03.最終取材

2016.10.初稿

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